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【お知らせ】

 北上次郎との書評対談集、読むのが怖い! 2000年代のエンタメ本200冊徹底ガイド』(ロッキング・オン)、いよいよ発売。bk1はじめネット書店でもぼちぼち出荷開始。定価1,680円(税込)、四六判ソフトカバー(ISBN4-86052-050-5)。
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【3月11日(金)】



 《SIGHT》マンガ特集をぱらぱら読む。高橋源一郎×村上知彦対談のだらけっぷりがすごい。ある意味壮絶。あたりまえのことをだらだらしゃべる年寄りの茶飲み話になっちゃってますよ! 渋谷陽一も入ってるからよけいに同世代おじさんダラダラ話。 12ページも使って70年代マンガ語ってるのに知らない話がほとんど出てこない罠。
 90年代以降編(枡野浩一×南信長)とかと比べて情報量が1/3もありません。
 最初はなんじゃこりゃと思ったけど、読んでるとまあいいかって気がしてくるから不思議。なんかねえ、気の利いたことを言おうとか、自分をかしこく見せようとか、実のあることをしゃべろうとか、そういう邪念が一切ない世界。オレも50歳を過ぎたらこういう境地に到達できるんだろうか。
 えーと、高橋源一郎と村上知彦のことをよく知らない若い読者は、このふたりはバカなんじゃないかとか、ものを知らないんじゃないかとか思うかもしれませんが、そうではありません。ここは、40年以上にわたって山ほどマンガを読み、山ほどマンガについて考えた人だけがたどりつける場所なのである。たぶん。





【3月13日(日)】


「週刊ブックレビュー」のオンエアを見る。出演者紹介テロップの著書に「現代SF500冊」が(笑) 。だからまだ出てませんから! タイトル変わってますから! やっぱり確認すればよかったなあ。
『万物理論』の話は、「たとえば「しあわせの理由」という短編では――」ってところをつまんで、中身の話だけ生かしてるのでたいへん妙なことに。部分的自閉症者の話はやっぱりNHK的にまずかったのかな。収録中、「自閉症」って単語は出さないようにしてたのに。
 ほかにも、「東風荘」っていうインターネット麻雀のサイトで――ってところの「東風荘」が消えてたり、なるほどNHK的にはこうなるのかと目からウロコが落ちることしきり。



【3月15日(火)】


 新書館から驚愕のメールが着信。この日記でも何回か書いてたと思うけど、『ベストSF201』っていう、20世紀の海外SFブックガイド(1970年〜2000年に日本で翻訳刊行されたSFが対象)の企画がある。
 企画が立ち上がったのが10年以上前。最初の原稿を入れたのは1996年2月。
 最後の原稿を入れてゲラをぜんぶ見たのが2003年の10月。
 それから1年半、編者(伊藤典夫)の序文が上がらないって理由でずーっと止まってて、ほとんど忘れかけてたんですが、ついにその原稿が入ったと連絡が。
 新書館M氏は4月に出すとか息巻いてます。それは無理だと思うけど。5月ぐらいには出るかも。まあ、タイミング的には今年出るほうが売れるような気もする。

 本田透『電波男』(→amazon)がなぜか三才ブックスから送られてくる。開けてびっくり、最初のページに柳下毅一郎の引用が。 キモメンの理論的指導者って感じ? (柳下毅一郎によると、『電波男』はキモメン聖書で、柳下は洗礼者ヨハネらしい)
 ぱらぱら読んでみた感じ、歴史認識にはけっこう異論があるんですが(『王立宇宙軍』によって[SFじゃなくて]アニメが「オタク文化の頂点へと駆け上った」ってところとか)話はけっこう面白い。そう言えば、「日刊アスカ」は当時あっちこっちで話題になってたなあ。
 アンチ『負け犬の遠吠え』本としても痛快。ただし、論理的な説得力に欠ける点まで『遠吠え』と一緒なのはどうか。いや、こっちのほうが正しく「負け犬の遠吠え」なんだけどね。酒井順子の本がウケたのは、負けてない(と思ってる)のに負け犬だと言い張ったとこなので、やっぱり負けてるかもと思ってる(ような気がする)時点で負けてる気もする。



【3月16日(水)】


 NHKで、「名作平積み大作戦 」っていう読書バラエティ新番組が月末からスタート(3月30日水曜から毎週水曜・BShi・午後10時00分〜10時45分。4月2日土曜から毎週土曜・BS2・午後11時00分〜11時45分)。
 プレゼンター2人がそれぞれ1作ずつ名作をプレゼンし、書店員審査員が「こっちを平積みにします!」と勝ち負けを決めるシステム。 スタジオ観覧者募集中。あんまり集まってないらしいので、いま応募すれば洩れなく当選かも。

 トヨザキ社長に呼ばれてネタ出しミーティングに行ったら、大森は第5回で「高慢と偏見」をプレゼンすることに。相方は飯星恵子で「細雪」。テーマが「負け犬」って……「高慢と偏見」の5人姉妹は15歳〜23歳ですよ!

 ちくま文庫版の新訳を初めて読んだけど、セリフが全然ダメだと思いました。新潮文庫の中野好夫のほうがよかった気がするなあ(母親の愛読書だったんで、最初に読んだのは中学校のとき)。恋愛資本主義は200年前からあったよ! みたいな。「電波男」と一緒に読んでたから妙に笑えました。
 今日はその打ち合わせでいろいろとアイデア出し。
「そこではしのえみがツッコミますから大丈夫ですよ!」って言われても……。 収録は4/9。 どうなることやら。

 打ち合わせ終了後、東京會舘で光文社三賞の贈賞パーティ。ミステリー文学大賞受賞の西村京太郎先生の前にはお祝いの挨拶を述べようとする編集者たちの長蛇の列が。ミステリー文学大賞新人賞は新井政彦『ユグノーの呪い』が受賞。受賞者は1950年生まれってことで、(広義の)団塊の世代デビューの波はまだ続いている模様。



【3月18日(金)】


●amaztype
 デザイナーの鶴丈二氏から某所で教えてもらったamaztype。amazonの検索結果を書影でタイポグラフィ表示するサイト。いろいろ検索して遊んでみると楽しい。
 ちなみにこれが大森望の検索結果。カバーを見てもなんだったか思い出せない本があったり。
 SFで検索するとこうなります。知らない本を探せ!(ペリー・ローダン以外) おお、『渚にて』ってこんなカバーになってるのか。

●読みまつがい。
 喫茶店でスポニチの芸能面見てたら。「フジサンケイ生き生き」の見出し。 映画紹介欄なんで、『ローレライ』の話かなと思ったんだけど、紹介されてる映画は『ナショナル・トレジャー』。どういうことやねん。と思ってよく見たら、正しい見出しは、
「フサフサケイジ生き生き」でした。




【3月19日(土)】


 トキオ社長のお供で科学博物館の「恐竜博2005」へ。今日が初日なんで混んでるだろうと思ってたんだけど、タニグチリウイチのmixi日記を見るとそんなでもないらしい。多少は並ぶことも覚悟してたのに、1時過ぎに家を出て、2時前にはスーの前にいました。チケット売り場がちょい混みぐらいかな。展示の規模も小さいんで、上野近辺に行ったときにちょっと寄るぐらいのつもりで行くのがいいかも。いちばん賑わってたのはグッズ売り場。 海洋堂のスー限定版とTシャツ類を購入。

 東京駅で残りの家族ふたりと合流し、新幹線で宇都宮。お彼岸なのでさいとう実家の墓参り。ついでに、本の雑誌・70年代少女マンガ座談会対策として、ニラ小屋(ほぼ廃屋)に置いてある少女マンガ単行本タイムカプセルを開けて埃を払う。『栗の木のある家』とか、ほとんどネーム暗記してました。 『さようなら女達』『ポケットの中の季節』『おしゃべり階段』『道子』『砂糖ぬきのコーヒー一杯』『褐色の童話』などなどを読み返し、箱に詰めて本の雑誌社に送る。
 あと《だっくす》コンプリートとか。倉多江美特集って、分量的には意外とちょっとしかなかったのね。山の奥から《宇宙船》創刊号とかも出てきて、若き開田裕治氏の長髪写真にしびれる。




【3月21日(月)】


 先週の金曜に、吾妻ひでおの大傑作『失踪日記』(→amazon)の書評を今週発売の週刊新潮に書いたんですが、日曜日の朝日新聞を栃木で見たら『失踪日記』書評が載ってて、あ〜あ、先を越されちゃったよとがっかり。
 さらに今日、渋谷に出たついでにブックファーストへ寄って、ようやく「新現実」吾妻ひでお特集号(→bk1)を買ったら、書評で書いた無頼派ネタを大塚英志に先に使われてるのだった。だれでも思いつきそうなことだとはいえ、これだとまるでパクったみたいじゃん!  ヴェネチアビエンナーレに触れてるとこまで一緒だし。
 やっぱり書評を書く前にチェックしておくべきだったと思いました。ちぇ。

 まあしかし、吾妻ひでおから原稿もらったのはオレのほうが早かったと知ってちょっとうれしい。もっともオレがもらった原稿はマンガじゃなくて、谷山浩子の解説と、ラッカー『時空の支配者』のカバー&本文イラストだけど。

 吾妻さんが東京ガスの下請けで働いてる話をだれに聞いたのか忘れてたんですが、そうか、高千穂さんだったのか。

 ブックファーストからNHK放送センターまで歩き、「名作平積み大作戦」の収録現場を見学。トヨザキ社長が『金色夜叉』をプレゼン。ゲストの青田典子を敢然といじりつづけるトヨザキ社長。この勇気を見習いたい。しかし、こんな凝り凝りのプレゼンを見せられるとやりにくいなあ。




【3月23日(水)】


「ライフ・アクアティック」の試写で六本木に出たついでに青山ブックセンター。カウンターで聞いたらまだ席があるというので、『世界の終わりの魔法使い』(→amazon | bk1)刊行記念・西島大介×庵野秀明トークショーを見物する。
 西島大介が庵野秀明を前にひたすら30分ぐらい庵野秀明を語りつづけた前半があまりにツボ。面白すぎるぞ西島大介。「ぼくばっかりしゃべってすいませんね」といいながらまったく話を振らない芸風。いいなあ。ひたすら笑い転げててすみません。
 なんていうか、庵野さんが精神科医で西島くんがカウンセリング受けてるみたいだったよ!

 終わったあとは河出書房新社主催(?)の打ち上げに混ぜてもらい、なんの関係もないのに奢っていただきました。ありがとうございます。しかし来てた版元は河出を筆頭に太田出版とか早川書房とかPARCOとか、うちの取引先ばかりだった。世間が狭すぎる!

「ライフ・アクアティック」はラストシーンに爆笑。そうか、チーム・ズィズーはチーム・バンザイだったのか! だからジェフ・ゴールドブラムが出てたんだな。中年おたくのツボをつきまくりの映画です。



【3月24日(木)】


 太田出版・KTO氏にもらった井口昇『恋の腹痛、見ちゃイヤ!イヤ!』(→amazon | bk1)を電車でぱらぱら読みはじめたらあまりの面白さにそのまま読了。この妄想恋愛の強度と潔さの前ではさすがの『電波男』も色褪せる。男らしいぞ井口昇。
 しかしこれを木村佳乃と森下千里に読ませて推薦文をもらうとは……。おそるべし!
 わたしはスカトロってまったく理解できないんですが、この本のスカトロ方向性(マイナー路線らしい)はまだわかる気がする。可憐だ……。



【3月27日(日)】


 神楽坂・玉乃葉みらくるで恒例の黒丸さん命日の会。アキラもなんかすっかりおっさんくさくなってきたなあ。まあ、順調におたく街道を驀進してるわけですが。
 添野家の令嬢とは、誕生直後以来の対面。箱入り娘なので、うちのキリカにまで泣かされてます。しかしかわいい。蝶よ花よと育てるとこうなるんでしょうか。いや、遺伝子の力かな。

 食後は飯田橋ヴェローチェでお茶。解散後、天気がよかったので飯田橋Canal Cafeの東京水上倶楽部までぶらぶら歩き、トキオと貸しボートに乗る。桜が咲いてないおかげでボートはがらがら。他に一艘も出てなかった。30分500円。漕げ漕げと息子はうるさいが、手漕ぎのボートは疲れるんだよ! 目立ちたいカップルのデートにはかなりお薦め。



【3月28日(月)〜29日(火)】


 『現代SF1500冊 乱闘編』のまちがいチェック済みプリントアウトを山岸真から昨日受けとったので、その修正作業。さらに、デザイナーから指定がわかりにくいと言われたので、全体の構成をもう一度見直し、細かく指定を入れる編集作業。なんか編集記号が乱舞するテキストになってしまった。こんなことなら最初からWordとかでつくっておけばよかったか。でもワープロソフトってよくわかんないしな。とりあえず本文はこれで一段落。あとは出校待ち。

 翻訳SF年表は三村美衣と林哲矢の協力を得て、1975〜1995に拡充。ものすごいデータ量です。1987年以前の出版状況についてもかなり書き足したので、『現代SF1500冊 乱闘編 1975-1995』になるかも。

 週刊文春から電話。有村かおりのデビュー短編が小説現代の今月号に掲載されてるんで、読んで感想を聞かせてくれとの以来。買って読んだらふつうにひどかった。とくに一ページ目で「銀の雨」が連発されるあたり。中身がないのはともかく、小説現代なんだから、文章はもうちょっとなんとかしなきゃ。だいたい「純愛不倫小説」ってキャッチもどうか。
 週刊文春の人から、文学賞の選考だったらどうしますかときかれたので、
「一次で落とします」
 と答えたら、
「ずいぶん厳しいですねえ」と言われたけど……落ちるでしょ、ふつう。作家としてちゃんと育てるつもりなら、こういう載せかたはしないほうがいいんじゃないかと思った。



【3月30日(木)】


 翔泳社から頼まれた、ばるぼらさんの『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』の解説を書きはじめる。

 依頼のメールを見たときは、てっきりhtml版「教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史ヽ(´ー`)人(´ー`)ノ」にちょこちょこ解説を付け足した本かと思ってたんだけど、届いたゲラを見て仰天。データ量は10倍以上に増強されて、もはや日本のインターネット史・決定版の趣き。これさえあれば他はいりません。
 といっても、ビジネスがらみの話は一切出てこなくて、個人サイトとかwarezとか喧嘩とか騒動とかの話ばっかりなんだけど、めちゃくちゃ面白い。
 ヒマがないのに思わず熟読してしまいました。傑作。オレが選考委員ならサントリー学芸賞とか毎日出版文化賞とか贈呈したい。刊行は5月かな。

 国樹由香嬢と斉藤友子がやってきたので、出前の寿司を食いつつバーレーン戦を一緒にTV観戦。 なにがなんでもレッド派のトキオ社長は無条件に赤チームを応援。
 ありがとう、きみの応援のおかげでレッドの人がゴールを決めたよ! ゴール前でフリーだったしな。
 子供たちが寝たあとは70年代〜現代の少女マンガ話。
 宮川匡代について思いきり熱く語る国樹嬢とさいとうよしこ。そんなにすごいのか。



【3月31日(木)】


 ロッキング・オンから『読むのが怖い! 2000年代のエンタメ本200冊徹底ガイド』(→amazon | bk1)の見本が到着。

 ジュンク堂池袋本店とか紀伊国屋新宿本店とかには昨日から並んでるらしい。bk1では24時間発送。今回はわりと強気の部数を刷ったらしいんですが、はたして大丈夫なのか。こうして出来上がった本を見ると、もうちょっと分量減らしたほうがよかった気がする。

 ジュンク堂はデータが入ったと思ったら「在庫無し取り寄せ」になっている。入荷して売り切れたのか入荷してないのかどっちなんでしょうか。



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