【2月18日(金)】


 15:30、聖路加ガーデンのソニー・ピクチャーズ試写室で、「バイセンテニアル・マン」……じゃなくて「アンドリューなんとかかんとか」の試写。ロビン・ウィリアムズのロボットなんかオレならほしくないが。この技術があるならやっぱりヴァーチャル・ガールでしょう(榎本加奈子じゃなくてエイミー・トムスン)。
 オープニングのタイトルバックはやたらにかっこいい。これだけのためにロボット工場の生産ラインひとつこしらえたの、みたいな。途中、「砂の器」になるので驚きます。ピノキオか。むしろ『ロボットの魂』かもしれない。短編版の原作(なぜか長編版の原作もあり、創元SF文庫近刊。訳者の中村融によるとけっこう面白いらしい)に存在しなかった要素はほとんど加わってないので、全体としては長すぎますが、ちゃんと泣かせにはなってるので、そういうのが好きな人にはウケるかも。ファミリー向けヒューマンコメディ?

 聖路加ガーデンに来たのははじめてなので、最上階の展望室を見学。47階だっけ。終わってからお茶飲もうと思ったら、映画が長すぎてディナータイムになってて入れず。SFオンライン組と一階のレストランで休憩。ここにいたことがばれるとたいへんらしい人が混じってたので誰とは言いませんが。話題は主に、SFオンライン賞とかオンライン書き下ろし小説とかの話。匿名希望の人と、築地の《女王ラーメン》でチャーシューメン食べて帰宅(チャーシューは上々)。




【2月19日(土)】


 1時ごろ目が覚めたので、池袋リブロの『どすこい(仮)』刊行記念手形会に出かける。本に手形押すのかと思ったら、特製どすこい色紙でした。整理券二百枚は一時間で完全消化。今回は整理券マニアの人がいなかったらしい(毎回ひとりかふたり、整理券だけもらってサイン会に来ない人がいるので、整理券コレクターの存在が疑われていたのである)。
 手形会終了後、椎塚&貘井コンビ@集英社、A木@新潮社、貫井徳郎など各氏と応接室(?)で一服。『どすこい(仮)』新潮ミステリ倶楽部化計画(笑)ってことで、背表紙に人差し指の指紋を押捺してもらいました。朱肉のノリがいいカバーは便利。

 手形会で100本の薔薇の花束をプレゼントして大ウケだったらしい饗庭理理氏ほか、こぐまさん、玉兎さん、れい。さんなどKGな人々のお茶会に合流。主にサッカーとパソコンの話をしていたような気が。

 KG組が食事に流れるところで離脱し、一度も入ったことがなかった池袋のジュンク堂を上から順番に見学。しかしほしい本は見つからない。馬場に出て、ユタに顔を出してから、「スリーピー・ホロウ」の先行オールナイト@日本劇場。試写で一回見てるんだけど、もう一本原稿書かなきゃいけなくなったので。でも新しい発見はとくになし。やっぱり横溝でしょう、これは。
 ロビーには「死人の木」の巨大模型が鎮座。宣伝用に日本でつくらせたものらしい。

 終電終わっちゃってるのでタクシー帰宅。ローマ×フィオレンティーナ戦は地上波中継なし。くそ、やっぱりスカパー入るしかないのか。




【2月20日(日)】


 ThinkPad535を修理に出した柳下毅一郎が代替マシンを借りにくる。6ギガの内蔵用ベアドライブを買って、HDを換装しようとしたら突然こわれたらしい。まるでMacintoshのような行動である。
 とりあえず6ギガのHDにWin95をインストール。うちの535はあいかわらずFDDを認識しないので、まず535EのHDを引っこ抜いて柳下の持ってきたHDと差し替え。FDでブートしてWin95を入れる作業の合間に、アジア杯一次予選最終戦のマカオ×日本戦。ホームのマカオは気合いバリバリ。それに対して日本はやる気なし。予選突破は事実上決まってるわけだが、きみたちが本戦に出られるかどうかは全然決まってないんだから、個人的にもっとがんばんなきゃだめなんじゃないの。
 だから稲本はバックパス禁止。カズは下がってくるな。ミッドフィルダーはたくさんいるんだから、きみが攻撃的MFの位置に来なくていいです。今日も俊輔くんがひとりでサッカー。あれで稲本の体と蛮勇があれば完璧かも。

 95インストールは無事終了したが、TPのドライバ類が入ってないので、Windowsフォルダをリネームして、うちの535EのWindowsフォルダをまるごとコピー。うちの535Eの不具合が忠実に再現されたHDが完成する(笑)。535の筐体にぶち込むと、筐体側の不具合もあってさらに挙動不審。まあしかしあとは柳下が自分でなんとかするだろう。

 柳下と駅前まで出て、24時間営業になったMAG TIMEで、週刊ポストと週刊現代の原稿を書き、午前1時に帰宅。今日はなぜか、日本テレビでユベントス×ベネチア戦の中継があるのでした。前半30分まではベネチアも健闘してたんだけどなあ。後半残り10分からのインザーギ三連発はさすが。デルピエロはまだ調子がよくないね。
 左の攻撃的MFでフル出場の名波はそれなりにがんばってたけど見せ場なし。まあ相手が相手だし、フル出場できただけでもめっけものか。

 さらに午前3:30からはバリャドリード×バルサ戦。後半はリバウドのひとり舞台。曲芸に二回挑戦し、二回目でみごと成功。しかし二回ともバイシクルシュートがちゃんと枠へ行ってるんだから凄いね。まるでエキジビジョン。あいかわらずゴールのない城くんですが、前節、前々節とくらべると出来は格段によかった。今日に限ってはビクトルより上かも。強引に自分で打つタイミングとパスするタイミングの選択がいまいちズレてる気もするけど、この調子ならゴールは時間の問題。ま、どうせだれも点とってないんだから、焦ることもない。だって城だし。


【2月21日(月)】


 週刊ポストの映画評(スリーピー・ホロウ)と週刊現代の書評(どすこい(仮))原稿。
 夜から、『SFが読みたい 2000年版』用の年間回顧座談会の原稿整理に着手。S澤編集長に各50枚ぐらいまで縮めてもらったんだけど(ベタ起こし段階では合計250枚ぐらいあったらしい)、これを各20枚程度まで減量するのがたいへん。まるまる8時間ぐらいかかり、午前8時ごろようやく暫定的に終わらせてメール送稿。しかし今週金曜日には下版・刷了とか言ってるのにだいじょうぶなのかっ。ま、先週末にやっと通常号を校了にしたばかりの編集部もたいへんなんですが。編集者二人じゃ、通常号+増刊はきついわな。水玉さんのカバーイラストはラブリーらしいのでお楽しみに。3月3日発売予定です。間に合えば、だけど。




【2月22日(火)】


 夕方起床。座談会原稿を微調整し、たこあしマル秘トーク@LOVE&PlayStationの岩井志麻子インタビュー原稿を手直し。岡山弁トークが爆笑です。近々更新予定なのでお楽しみに。

 講談社文三のS木氏が送ってくれた殊能将之の第二長編『美濃牛』のゲラを読む。今回は横溝ネタ。骨格はミノタウロスなので舞台は美濃。とか書いてると田中啓文のようだが、じっさい駄洒落小説と言っても過言ではありません。俳句もひねるので倉阪鬼一郎も必読だったり。しかしなんと言ってもコール・ポーターなのだ。構造的には京極夏彦作品にかなり近いかも。直接的に連想させるのは『絡新婦の理』ですが……とか書いてるとネタバレ領域に踏み込むので、詳細は刊行後に。えーと、4月初めに出る講談社ノベルスだと思った。SFファン向けのサービスも当然あります。




【2月23日(水)】


 15:30、六本木のGAGA試写室でクローネンバーグの『eXistenZ』をやっと見る。ほとんど予想通りの展開。ビデオドロームeasytypeっていうか。予想外だったのはゲームネタの濃さ。理不尽な強制イベントに対する怒りとか、フラグが立たないとNPCが次の行動に移らない不自然さとかがクローネンバーグらしいタッチで皮肉られてて、これは笑えます。アイドル中のNPC描写が最高。しかしあのゲームシステムでは、NPCじゃなくてPCのはずなんだけど。マルチユーザーのRPGとしてはクソゲーだね。ゲーマーの人は必見。

 六本木アマンドで、ソニー・マガジンズのS氏、イオンのT氏と打ち合わせ。『ダーウィンの使者』の再校ゲラを受けとる(刊行がまた延びて、4月10日になった模様)。青山ブックセンター地下の巨大寿司屋(兼しゃぶしゃぶ屋)で食べ放題コースの寿司を食べつつ、特撮映画メイキング本業界の話を聞く。




【2月24日(木)】


 夕方からふたたび六本木。講談社文三のS木氏に呼ばれて、西麻布のキァンティで殊能将之を囲む会。といってもあとのメンバーはU山部長だけですが。
 8年ぶりだか9年ぶりだかに会う殊能将之は――と言っても、「殊能将之」に会うのはこれが初めてなんだけど――昔と全然変わってませんでした。まあ去年電話をもらったときにもそう思ったんだけどさ。

『屍島』『カレイドスコープ島』『美濃牛』と来て、今年は横溝ブームだという話。そういえば「スリーピー・ホロウ」も横溝だし。わたしは角川文庫の横溝ブームのとき、代表作を何冊かまとめて読んで、「ふうん、意外とおもしろいじゃん」と思った程度なんで、たいして思い入れはないんだけど、やっぱり読み直してみなきゃダメかも。
 U山さんは殊能将之にベタ惚れのご様子。
「横溝賞なら賞金500万なのに、どうして賞金が出ないメフィスト賞に『ハサミ男』を応募したの?」みたいなことをオレが質問すると、U山さんが身を乗り出してきて、
「うちの娘のどこを気に入ってくださったんでしょうか」と気にする父親みたいでした。いや、たしかに『ハサミ男』は講談社ノベルス向きの小説だと思うけど。このうえは、法月綸太郎ともども新本格の中核を支える作家としてがんばってもらうしか。講談社ノベルスの良心?(笑)

 殊能将之はつい最近、iMac/DVを買ったんだそうで、ウェブも精力的に見てまわってるらしく、フィンランドの人がやってるバリントン・J・ベイリーのファンサイトとか教えてもらう(笑)。
「どうしてOutlookでメール出すとみんな怒るんですかね」とか、「Macの人はどうしてあんなにMicrosoft製品が嫌いなんですか」とか、いろいろ不思議なことが多いらしい(笑)。
 ファンダム系の昔話も少々。すっかり忘れていたことをいろいろ思い出したり。

 食事のあとは近くのSobarに場所を移し、さいとうよしこが合流。U山さんはかなりごきげんでした。


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