いい写真伝導師の三脚ワンポイントアドバイス

その25

一脚の役割とその使い方

 「一脚」とは一本足のことです。三脚は、その名のとおり、足が3本あります。だから、三脚は自立します。 両手が空きます。一脚は自立しません。手を放せば倒れます。畑の土にでもささない限り、自立できません。 保護者が必要です。保護者になるのは皆さんです。三脚は成人、一脚は未成年にたとえることも できましょう。
 自立できない一脚ですが、その役割はなんでしょう。ふたつ挙げておきましょう。

 その1   上下ブレを防ぐ
 手持撮影は、いつもカメラ振れの危険にさらされます。結果をだいなし にするカメラ振れのうち、一脚は、上下の振れを止めてくれます。振れのなかでは、これが 一番目立ちやすいでしょう。だれの目にもすぐ、「ブレだ!」と判ってしまう失敗、大敵であり ます。一脚は、その大敵を防ぐ効果を期待できます。前後のブレ、回転ブレなど、上下ブレ以外 にも、ブレはたくさんあります。上下ブレ以外のブレは、起さないように、撮影者が努力するし かありません。なにしろ「未成年」なのですから、多くを期待してはいけません。けれども 同時に、決して侮ってはいけません。子供の純真さにハッとしたり、小さいのに立派なお手伝い をすることもあるでしょう。一脚を使うことによって、手持ちよりも、二段階遅いシャッター をかなり安心してきれるとしたらどうですか?捨てたものどころか、なくてはならない道具 となること必定です。
 上下ブレの除去は、シャッターを切る瞬間ばかりでなく、ピントを合わす際にも、大いにプラスに 働きます。望遠・超望遠レンズを使うとき、あの微妙なピントの山を、一脚使用時は、手持ち撮 影時よりも、楽に、正確に捕らえます。一脚に機材を載せて、ファインダーをのぞいてみれば、 よくわかります。

 その2   機材の重量を支える
 機材の重量を支えます。手持ち撮影のときは、カメラ・レンズの目方は、撮影者がもちあげ つづけます。しかし、一脚を使うと、機材の目方は、一脚に預けることになります。撮影者は、 目方を支えることから解放され、そのぶん、撮影に専心集中できます。ベストシャッターチャン スを待ったり、構図を検討したりできます。ラグビーなど球技試合の中継放送で、一脚に超望遠 レンズを載せて取材している様子が写ることがあります。自由に選手の速い動きを追いたいから 一脚を使うのですが、もうひとつ、超望遠レンズの目方をすっかり一脚に預けきって、撮影に専 念できるというのも使う大きな理由です。ひとに代って目方を支えるというのは見落しがちな 役割ですが、過小評価できない大切な役割であります。

 そういう働きをする一脚をどう使ったらいいでしょう。
 注意ポイントはふたつです。

 はじめに、一脚の長さを調節します。ファインダーが自分の目の高さにくるようにして下さい。 立って撮影するか、座って撮影するかで、一脚の長さは違います。自分の一脚ならば、 一番細いパイプに、どこまで伸ばすと立って目の高さにファインダーがくるか、目印を つけておくといいでしょう。コンパスの針ででも、パイプをちょっとひっかいて印とします。

 注意ポイント 1.
 カメラとレンズを、手持ちの要領でもちます。カメラのボディーまたはレンズの鏡筒から、 脚が生えたと考えましょう。
 一脚に撮影機材をつけている、載せていると考えると、左手でどうしても一脚を把みたくな るようです。機材が一脚に載っている、だから機材を載せている一脚をしっかり把まなければいけ ない、とばかり、一脚を片手で把んでしまうのです。これがいけません。
 動かさないよう、一脚も、カメラもしっかり押さえようと思えば思うほど、カメラブレを起し やすくなります。左手は一脚のグリップ部、右手はシャッターボタンをそれぞれ把むとすると、 両手が離れて、カメラブレが起きやすくなります。一脚を握らない、カメラを手持ちのときの 要領でもつ。これが第一点。

 注意ポイント 2.
 注意点の二番目は、雲台を固定しないことです。
 自立しない一脚だから、しっかりカメラを固定したいから、ついつい雲台の可動部を固定したく なるようです。
 カメラの向きを変えたいとき、どうしますか?一番簡単な場合は、一脚を軸に回転だけで済む 変更です。しかし実際は、固定した雲台の操作箇所を解除して、カメラの向きを変え、変え終わ ったら、解除した箇所を固定しなおしています。しかもファインダーから目を離し、操作固定箇 所を見て、これをしています。こういう動作の最中にも、被写体は刻々変化します。モタモタ している間に、シャッターチャンスを逸してしまうのです。折角、変化に速やかに対応できる 一脚を使っても、その効き目がありません。
 雲台がグラグラするのがお気に召さない向きには、少々締めつけることをお勧めします。 動かそうとすれば、雲台は動くけれども、手を離すと、ガクン!とカメラがオジギしない程度 といったらいいでしょうか。こうすると、カメラを被写体に合わせるのに、いちいち雲台を ゆるめる、締めるをせずに、狙えます。手持ちのときのあの自由さを保ちながら、しかも機材の 目方を重いと感じることなしに狙えます。狙い続けてもくたびれません。ベストシャッター チャンスを待てます。
 「ザ プロポッド」のように、雲台なしの一脚もあります。これは必要があれば、好みの雲台 を組みつけて使って下さい。超望遠レンズのように、レンズの鏡筒に三脚座が備えられていれば、 雲台なしで機材を直接一脚に取り付けることができます。タテ位置・ヨコ位置の変換は、三脚座上 の固定ネジ操作で簡単にできます。三脚座の内径に沿って、レンズを回転させられます。 レンズにつけてあるカメラボディはタテ・ヨコ・ナナメ自在に回転します。しかもその目方は、 タテ位置のときも、横位置のときと同様、真上からすなおにかかります。
 超望遠レンズを使って、光軸がほぼ水平に近い状態で撮影するときは充分役立つはずです。 例をあげると、グランドで、サッカーの試合を取材するときなどは、雲台なしでいいことが あります。室内で広角レンズを使って、パーティーを撮るとなると、雲台付きのほうが便利 でしょう。
 一脚も、「習うより慣れろ」で、なじんでみて下さい。なじめば、まさかの失敗をしかねない 手持より、確実な結果を出しやすい一脚が、頼みの杖となるでしょう。

前へ メニューへ 次へ