太郎を偲んで

昭和57年7月15日生まれ。血統書の名前は駒錦。
 しっぺい太郎のように強い犬になるようにと「太郎」と名を付ける。
主人は生き物は死なれたときに辛いからと反対でした。
 しかし、夜遅くに裏門の階段に露出狂の男が立っていたり、酒癖の悪い男性に自動車を蹴飛ばされたりと嫌な事続きにとうとうOKが出た。
飼うからには納得のいく犬をと日本犬保存協会の支部長さんに頼んで彼の自慢の雄犬の仔を見せて貰った。母親がとても性格が良く優しい顔をしていた。
 どの仔にしようかと観察していると一匹がとことこと母親から離れて庭の隅の木下に用足しに行った、その様子の可愛いこと!
 低作さんに「この子犬はどうですか」と聞くと彼は抱き上げて耳の傾斜、尻尾の太さを見て太鼓判を押してくれた。もし彼がNOと言っても太郎との出会いを諦めつもりはなかった。
あまりに小さいので塀の隙間や門の下をくぐり抜けては大変と詰め物するのに大わらわ。
 通学道路側は生け垣で下が石の土手で少し高くなっておりますが子供大好きの太郎はかいずかいぶ木の間から首を出して愛嬌を振りまくものですから皆に可愛がって貰っておりました。
その内食べ物を下さるようになり中には乾燥剤の袋まで与えて有り、とうとう1メ-トルの高さの金網を張り巡らせてしまいました。
歯が段々痒くなってきて色んな物を囓ります、特にスリッパが大好き直ぐに見る影もなくなります。
さすがに主人の革靴は一度も囓られたことが御座いませんでした。
 履いて歩いていくのを奪い取ることは御座いませんが運動靴の紐には殊の外興味があって引っ張ろうとじゃれつきます。
 この写真は芝生に座った子供がわざとじゃらして遊んでおります。
思いがけなかった子犬の出現に息子達はメロメロです。
学校から帰ると一番に探すのが「太郎!太郎!」です。
餌やりと散歩は私。
小学生と中学生の息子達は道ですれ違う女学生にあれこれ云われるのが嫌みたいです。
 見て下さい小さな人気者を!
大きなボールに武者振りついて行っては見事にクルンとひっくり返るのです。
息子も太郎もあどけなくて可愛かった。
少年期の太郎、一寸お澄ましをして柴犬らしい顔つきになって参りました。
お人好しのぼんぼんで他の犬とすれ違っても吠えると言う事をしません、公園で放してあげた時、前方から来た甲斐犬に挨拶しに寄ったら犬の飼い主に思いっきり蹴られてしまいました。
悪戯盛りで小型の石灯籠を倒してしまい後ろの足の指の爪を剥がしてしまい二度と生えてきませんでした。大量の出血と悲しそうな鳴き声思い出すと胃がきゅっと痛くなります。

静岡支部の若犬賞を貰ったときの銅像がパソコンの横にあります。

冬には日当が良く見晴らしの良い犬小屋の屋根に寝そっべってお昼寝をするのが好きです。
大好きな息子達が遊んでくれるので色んな芸を披露しております。
散歩には自転車で参ります、どうしたわけか太郎は私が行こうと考えた方向に上手に曲がってくれますので下手な私でも安心して自転車に乗れます。
一度だけ曲がろうと思った車止めの柵の間が狭いなと思って直前になって方向を変えたとき、太郎と別の道になり転んで擦り傷を作ってしまい太郎に心配そうに嘗めて貰いました。
太郎の大好きな茹で牛骨、こんなに堅い物をと思うにですが、この細さですとお煎餅みたいにバリ、バリ、バリです。
 もっと太い骨をあげると骨の髄の所が好きで少しずつ囓っては引っぱり出して食べます、飽きると土の下に隠すのですが其の側から離れられずに「クーン」と鼻声を出すので直ぐに判ってしまいます。
 少し大きくなると、ボールを足で抱え込んだり、相手から奪い返したり、サッカーが大好きで、信じられないくらい強くなった。
 成人になった太郎、子犬の時に遊んでいたボールとは同じには見えません。
 柴犬のブリーダーの方達が太郎の子が欲しくて可愛い雌達を連れてくるのですが、自分を犬と思っていないのか、とうとう子孫を残せませんでした。
彼等は親友です太郎が家に侵入出来るのは此処まで。
 遊びに夢中になると時々後ろ足を1本だけ残して身を乗り出してくることも御座います。
 ここに上半身を載せるのは自分の特権と思っているので、ガラス戸が閉まっていると足で開けてしまいます。
「こら!」と叱られながら木の枠に付けた太郎の爪痕、大切な記念になりました。
夏、家の北側の庭は風通しが良くて涼しい。
 立派な雄がなんでしょうこのだらしのない格、もう安心しっきってお昼寝です。
 最高に気持ちがよいのでしょうね。
お腹をさすって貰うのも大好きです。
太郎の家です、低作さんのお友達が特別に作ってくれました。
 太郎は自由の男、雨が降らない限りは小屋では寝たりしません。庭中が彼の部屋、時間により、季節によって寝る場所が変わります。
 賢い犬で家中開け放してあっても上がってきません。姪の犬たちが遊びに来て家に入り込むと「クーン、クーン」と鼻声を出して抗議します。
 夏になると耳にアレルギーが出て医者にかかりっきり、前年からは心臓のお薬を飲んでおりますが、前立腺を手術する前の白髪は増えたけど未だ太っていて元気な時の写真です、歩き回るより寝ている姿が多くなってきました。
居間の近くの石の上、此処は日当たりが良いし室内の人間の動きも見守られるので安心できるようす。
太郎の診察券。No1787
総ての動物に対して優しくて良い先生でした。
心から感謝しております。