パチパチの
ニューヨーク便り
 


IN & OUT    98.12.06

私も「イン・アウト」見ました。

前からこの映画のことは知ってたけど、あらすじ紹介なんかを読んであんまり好きになれなそう」、と思ってずっと見てなかったの。だけど、この間、知り合いの人に「脚本は『ジェフリー』と同じ人(Paul Rudnick)だよ」、って教えられて、見ることにしました。(ちなみに「アダムスファミリーII」も彼の脚本なんだって。あの映画も面白いよね。)

見た感想は・・・。うーん、タックさんと同感。キャンプな感覚は、面白いんだけどねー。たとえばアカデミー賞授賞式でのゲイ映画のプレビュー(ただし、最後の車椅子の人が取り残されるところは好きじゃない)とか、男らしくなるための暗示テープ(?)を聞いて最後に踊りだしちゃうシーン、それからラストのダンスシーン。あと、お母さんの描き方も好き。

でもやっぱり、ハワードがクローゼットなだけじゃなく、なぜ女性と3年間も交際してたのか、なぜ結婚までしようとしたのか、なぜ結婚式の最中にカムアウトしたのかってことが良く分からない。といわけで「ジェフリー」を観たときのような共感は持てなかった。てなことをアメリカ人の友達に話したら、「別にいいんじゃない?これは、ハリウッドのエンターテイメントなんだから。うちのおばあちゃんだってこの映画が大好きだよ」と言われた。他のゲイの子も、「うちのお母さんも面白がってた」と言ってた。

考えてみれば、これまでのゲイを扱った一般向けのコメディっていうのは、女のかっこをするとか女ぽく振る舞うことで笑いを取るものが多かったでしょ。こういうのって、ストレートからみた、あるいはストレートに媚びた、ゲイからするとちょっと胡散くさい、ゲイのステレオ・タイプで、笑わせてる気がする。

僕にとっては映画「バード・ケージ」も、あの「わかりやすさ」がストレートに媚びてる感じがする。まず、あの奥さんの方は、いっつも女のかっこしてるんだからおねえじゃないでしょ?。あのだんなさんの方(ロビン・ウイリアムス)は、うーん、おねえが不自然だと思う。っていうか、おねえが、隠してるのに出てるというより、「見て見て。私って、おねえ(のまね)が上手でしょ」って感じなんだもん。

IN & OUTは、もっと「本物っぽい」ゲイ特有のテイストやギャグで笑わせてる。おねえの出し方も、抑制が効いていて、さりげなく、ぽろっとでるところが奥床しい。まあ、バードケージとは設定が違うから比較してもしかたないだけど。ショウ・パブとタックス・ノットの違いかな−。

以前は、レズビアン・ゲイの映画祭なんかで、そういう「共感できる」ゲイ・テイストに溢れた映画を見て、「やっぱりインディペンデントはメジャーとは違う」って思って感動してたけど、今やこういうのがメジャーでもあるんだね。

しかもそういうテイストやギャグを大勢のゲイ以外の人たちが理解して笑ってるって、よく考えるとすごいよね。ゲイ・テイストってどういうものかが、ゲイ以外の人たちもかなり分かってるってことだもん。

日本で、ちょっと前に、一般の雑誌の「ゲイ特集」みたいなやつに「ゲイとホモはどう違うんですか」とか「ホモの人って女装してるんですか」みたいな質問というか「想定問答集」が載ってたけど、今はもうそんなのいらないのかなあ・・・。なんて言ってると必ずテレビや雑誌で、すっとこどっこいなことを言う人が現われるんだよね。

ところで、脚本のPaul Rudnickのインタビューがタイム・アウト・ニューヨーク(ニューヨークの週刊情報誌)に出ていました。彼はユダヤ人でゲイ。ニュージャージーで育ったそうです。メジャーで活躍してる彼ですが、今、オフ・ブロードウエイでは、彼の新作、"THE MOST FABULOUS STORY EVER TOLD"というお芝居が上演されています。これは、旧約聖書のアダムとイブをアダムとスティーブにしたものだそうです。これは見に行くつもり。あと来年は、彼の脚本の"ISN'T SHE GREAT?"という映画が上映されるそう。出演はベット・ミドラー(ゲイの友)とNATHAN LANE。これも見たい!(字幕のある日本で。)


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