パチパチの
ニューヨーク便り
 


EDIOS:TELOS    98.12.05

フォーサイス(コリオグラファー)率いるフランクフルト・バレエの公演、"EDIOS:TELOS"を見てきました。

場所はブルックリンのBAM(BROOKLYN ACADEMY OF MUSIC)。BAM(バム)という名前の響きと、「アバンギャルドの殿堂」といわれてることから、近代的な建物を想像してたんだけど、実は20世紀初頭に建った建物で、クラシックなオペラハウスって感じ。BAMは、もともとブルックリンの住民がマンハッタンに対抗して1861年に設立した文化施設で、1903年に火事で焼けて、今の建物はそのあと建て直したものだそうです。2階のロビーのカフェで、開演前や休憩時間にコーヒーやお酒が飲めるようになっていますが、広くて椅子やソファーがいっぱいあって、なかなか快適です。でも外の町並みはちょっと殺伐としてた。

今回の公演は、BAMが毎年開催するの"NEXT WAVE FESTIBAL"という催しの一部で、このFESTIBALが、BAMをして、アバンギャルドの殿堂と言わしめているらしい。今回は、他に「浜辺のアインシュタイン」という現代オペラ(これもBAMで公演された)で有名なロバート・ウイルソンとグラスのコンビによる3Dオペラもやるそうです。

ダンスの方は、最高でした。まず第一に、むちゃくちゃうまい。現代ぽいものが嫌いな人でも、ものすごいテクニックに、オリンピックでも見たときのような感動を覚えるはず。ヴォーギングっていうダンスがありましたよね。簡単にいうと、あれを全身の間接でやりながら、かつ、回転したり、ジャンプしたり、床を転がったりするって感じなんです。しかもすごいスピードで。いったいどうやって振り付けるんだろう、って感じですが、フォーサイス自らが開発したコンピュータ・ソフトを使ってるらしい。(ちなみにフォーサイスの趣味は数学なんだって。)

公演は三つのパートに別れてます。

パート1はモノトーンやアースカラーのレオタードスタイルでセットもシンプル。バイオリンのソロに合わせてダンス。

パート2はちょっとセットやコスチュームもちょっと変わったものを使っていて、朗読みたいなものや、町角のおじさんやおばさんの物まねを組み入れたりしていました。コスチュームはダンサーの動きにつれて、ふわーと広がったりするスカートみたいな感じのもの(男性ダンサーもこれを着ている)で、カラフルでとてもきれい。それで、皆でクルクル踊っていると、突然幾人かのダンサーが町角で悪態ついてるおじさんや、携帯電話を使ってる女の人の物まねをする(台詞は多分テープ)。さっきまでダンサー然としていた人が突然、背中を曲げてホームレスの人みたいになったりするのです。で、それがまた、すごくうまい。本物みたい。フランクフルト・バレーの人がニューヨークのホームレスに突然見えるなんて、不思議。やっぱり体を訓練してるから、踊りだけでなくて写実的な動きもうまいのかな。

で、パート3はまたシンプルなコスチューム(ただしパート1とは違ってカラフル。このパートのコスチューム・デザインは三宅一生事務所の人)という感じでした。

すごいテクニックと、新しいものの組み合わせって、すばらしいって思いました。フォーサイスは機会があったら絶対みた方がいいよ。

しかも、私は今回、当日学割で50ドルのところを7ドル位で入れた。安い!

 


menuへ戻る