パチパチの
ニューヨーク便り
 


MONSTER    98.11.18

モンスターは、クリストファー・ストリートの地下鉄の駅の近く、プライド・スタチュー(クリストファーの公園にあるゲイとレズビアンの像)の側のバーです。

名前は変なんだけど、実は居心地のいい店。結構広くて、一階がピアノ・バーで、地下が踊るスペースになってる。そういう店の構造のせいか、人種も年齢もタイプ(体型とか服装とか)いろいろんな人が来る。職業も、自分が知ってるだけでも、学校の先生とか、ブロードウエイやテレビにも出てる役者とか、80%ウエイターで20%役者とか、メイシーズの店員さんとか、いろいろ。というわけで、どんな人が来たってOKな感じがする。

最初は店のピアノ弾きが、殴り付けるようにがんがんピアノを弾くのに合わせて、ブロード・ウエイミュージカルナンバーを皆で歌っているのを見て驚いた。その日は月曜日だったんだけど、ニューヨークのゲイ・コーラスは月曜日がリハーサルの日で、その後必ずモンスターにくるそうで、特ににぎやかだったみたい。でも、毎日結構混んでる。

だれかが一人で歌うこともある。ある日モンスターに行くと、おとなしそうな太った若い男の子がピアノの側に立っていた。皆に「歌ってよ」、って言われてもなかなか歌わない。なのにピアノの側に張り付いていて、結局は歌うんだけど。とってもうまくて、皆いい声だねって誉められてた。

他の日に、誰かがだみ声で歌ってた「三文オペラ」の「マック・ザ・ナイフ」も、曲とうらびれた歌い方がぴったりだった。あと、姉御っぽいおばさんがひょこっと現われて、粋な感じでさらっと歌うこともある。ブロードウエイのミュージカルナンバーもこうして聞くと、はなやかなものっていうより、ちょっとさびしい普通の人々の心の慰めって感じがする。おじさんが、"This is the moment. This is the moment..."なんてレフレインを絶唱してたりして。

今度ニューヨークに来たら、寄ってみてね。


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