2丁目の上のタンコブ日記

96.11.21 木


  どうせ夜になるまで帰らないだろうなとタカをくくって、グーグー寝ていたら、弦ちゃんは4時には帰ってきた。うーん、本性をかいま見られたかな


  タックスノットは木曜日の割りには混んだかな。


  韓国語で手紙を出さなければならない状況になってしまい、誰か韓国語のできる人を知らないかしらと、来る客、来る客に聞いていたんだけど、意外と、みんなそういう知り合いって持っていない。これじゃ、オンマ・キッチン(*1)にでも食事しに行きがてら、翻訳を頼めるかどうかを聞くしかないかなと諦めかけたら、遅くにやってきたシュンタが朝鮮語学科卒だと聞いて、神様はお見捨てにならなかったとカムサ、カムサ。


  自分の朝鮮語は使い物にならないけど、優秀な人材は友人に何人もいると心強いお言葉。原文を渡すと、2~3日中に翻訳したものを、うちにファクスしてくれることになった。


  ゲイバーって、居ながらにして、だいたいのことが間に合うのよね。ホント便利!


 (*1)オンマ・キッチン/2丁目にある韓国家庭料理の店。ここの韓国料理は、焼き肉屋系の料理とは系統が違うが、かなりうまい。2丁目界隈では知られた存在だ。来2チョの際は、ぜひお試しあれ。


 96.11.22 金


  なんとシュンタが昨日頼んだ手紙の翻訳を、もう持ってきてくれた。早ーい!


  家に帰ると、レキからのメールが届いていて、添付書類で写真が2枚ついてきた。彼は、僕がアンカットものを好きなのを覚えていてくれて、インターネットのゲイサイトを回っている時にアンカットものを見つけると必ずダウンロードして、それを送ってくれるのだ。

  持つべきは良き友。


  見せてあげたいけど(アンカットなんて見たくないってか)、ここに載せたら犯罪行為になっちゃうからねぇ。一人で楽しもうっと。


 96.11.23 土


  久々の大賑わいの土曜日だった。


  電機メーカーS社のゲイ社員の親睦会があったそうで、そのうちの5人が流れてきてくれた。今日は第一回目だとかで12人が集まったと言っていた。実際にはその何十倍もいるんだろうけどね。


  ウーム、日本も変わってきたものだ。一昨年のニューヨークのゲイ・パレードに行ったとき、IBMに勤めるゲイの社員ばかりのグループが参加していたのを思い出した。レインボウ・カラーに塗られた大きなIBMのロゴを横断幕に仕立てて、何十人ものゲイが沿道の人たちに手を振る様子には感動すら覚えたものだ。


  5人のうちの一人は「うちの会社が日本で最初のドメスティック・パートナーを認める会社になるように頑張る!」と頼もしいことを言っていた。実現したら、ホントにいいんだけど


  企業の中で、ゲイがオープンに生きていけるようになる日はいつ来るんだろう。


 96.11.24 日


  テッキー(*1)が昨日、弟からカミングアウトされたという。


 「えーっ! 下の弟さんもゲイだったの? よかったじゃない」

 「よくないっすよぉ。夕べは、なんか動揺して、吐くほど飲んじゃいましたよ。」

 「なに、そんなに思ってもみなかった展開だったの?」

 「いやぁ、小さい頃からバービー好きだったりしたから、ひょっとしてそうかなぁとかは思ったことはあったんだけど。そういえば、昨日は久しぶりに会ったんだけど、会うなり油取り紙出して、顔を押さえ始めたんですよぉ。考えてみれば、そのものって感じかも。」

 「あら、あなたと違って、下の弟さんはわかりやすいタイプのゲイだったのねぇ。で、真ん中の弟さんがゲイだっていう可能性はないの?」

 「えぇ? わかんないけど違うと思うなぁ。」

 「これで真ん中もゲイだったら、○○家もお家断絶ねぇ。」

 「タックさん、面白がってるぅ!」

 「そんなことないわよ。とにかくよかったじゃないの。」(変なまとめ方)


  僕は一人っ子ってやつだから、兄弟とかには勝手なファンタジーを持っていて、こんな話聞いたら、うらやましいとか思ってしまうのだけど、長男の彼にしてみると、もう少し複雑な思いがあるらしい。


  絶対、今度一緒に来てねと励ます。(テッキーは励ましとは受け取らなかったようだが


 (*1)テッキー/UCギャロップのメンバーで、東京国際レズビアン・ゲイ映画祭のスポークスマンとしても頑張っている。ルックスと頭の回転の良さとさわやか青年風の雰囲気がスポークスマンには打ってつけなのだ。要するに、テレビとかにもゲイとして出てるのだから世間的にオープンにしているわけで、弟さんもその番組を見ていてカミングアウトする気になったというのに、動揺して吐くほど飲むというのもなんか変よねぇ。あーた、もっとシッカリしてね!


 96.11.25 月


  今月も支払いを無事完了。はー。


  タックスノットが入っているビルのほぼ前に、小さな公共スペースがある。何カ月か前に、そのスペースが化粧直しされ、植え込みなどが作られたのだが、つい最近、その中央に銅像が建った。


  「交通安全の誓い」とプレートが付けられた、その銅像がこれだ。

 こういう公共のモニュメントはどこがどう決めて、誰に作らせるのかは知らないが、この「交通安全の誓い」はレトロというか時代錯誤というか、なんとも不思議な雰囲気を持っている。


  子供を交通事故から守ろうという願いを形にしたものと推測されるが、この女の子のおばさん顔といい、チョウチン袖と胸元のスカーフといい、今時こんな子供いるかぁ?といった感じ。これは戦後すぐに建てられたものですって説明されたら、なるほどと思えるほどのありようだ。

 確かに、これがニキ・ド・サンファルの作品みたいなのが建てられたら、「なんだ、こんな妙ちきりんなものを公共の場に作って! けしからん!」とか言う人が出てくるのかも知れない。


  だから、こんな風に何十年も前に建ったような雰囲気のものなら目障りではないだろうと踏んで、作ったのかしら。それにしても、この銅像はブッキーだわん。


 96.11.26 火


  ふと思い立ち、木場にある東京都現代美術館に行ってきた。実はこれが初めてなのだ。


  「シンディ・シャーマン展」と「デヴィッド・ホックニー版画展」の2本立て。

  3時間で、この かなり濃い組み合わせを見て、なおかつ、55分のシンディ・シャーマンのドキュメンタリーまで見たら、くたくたになってしまった。

 しかし、このドキュメンタリーは面白かった。シンディ・シャーマンの歴代の作品を見た後で、このドキュメンタリーを見ると、面白さは格別だ。彼女の世界が立体的に見えてくる。


  彼女は小さい頃から遊びで変装するのが大好きだったようで、ドキュメンタリーの中でも、おばあさんに変装した少女の頃の彼女の写真が出てくる。

  誰でも小さな頃に、すでに種は発芽しているんだなぁと感慨深いものがあった。見終わって、コーヒーを飲みながら、自分の小さい頃はどんなだったっけと思い出にふけってしまった。


  「自分の種を大事にしてる?」 この問いかけが今日の一番の収穫かな。


  ホックニーの方も好きな作品がたくさんあって良かったんだけど、シャーマンの方を先に見てしまったので、心が満腹でちょっともったいないことしたかなという感じ。両方とも1215日までなので、時間の取れる人は、別々に見に行く方が、それぞれの良さを堪能できるかもしれない。

96.11.27 水


  骸子(ダイス)1月号は「セルロイド・クローゼット」の特集だそうで、その企画の一部としてゲイ、レズビアン、バイセクシュアルを取り混ぜて総勢8人による座談会が開かれた。

  僕もその8人の一人として、この「濃すぎる」座談会に参加してきた。


  どんな記事にまとめられるやら。あれ、まとめる人は大変だと思う。


  前にも書いたが「セルロイド・クローゼット」は来年の2月に公開される予定。少し遅れてビデオでも発売されるという話だ。このドキュメンタリーはホントに良くできているし、資料的価値も高いから、映画好きのゲイ・レズビアンは必ず見て欲しい。


  今日は弦ちゃんも休みなので、座談会が終わったら、家で「3人のエンジェル」を見る予定だった。そのことを同席したトール(小倉東氏)に話したら、あんな最低な映画見るんだったら絶対口直しが必要だからとバーバラ・ハマーの「ナイトレイト・キス」を貸してくれることになり、バディ編集部まで付いて行って、借りてきた。


  さて、問題の「3人のエンジェル」だが、あまりひどい、ひどいと聞かされていたせいか、見終わっても別に腹も立たなかったけど、あまりのリアリティのなさとゲイテイストのなさには驚いてしまった。

  だけど、どこか憎めない感じがしたのは、パトリック・スウェイジの役の取り組み方に好感が持てたからかもしれない。きっとパトリック・スウェイジって超マジメな性格なんでしょうね。


  口直しにと借りた「ナイトレイト・キス」はかなり硬派なアート作品といったもので、音の方は193040年代を生きたレズビアンやゲイのインタビューが中心に流れ、画面はそのインタビューの内容に寄り添ったり離れたりしながら、イメージが次々に


  とここまで書いてみたけど、バーバラ・ハマーの作品を言葉で表せるほどの文章力と熱意は、僕にはないと思い知ったのでやめます。ビデオで売ってるから、興味があったら見て頂戴!


  バーバラ・ハマーの映像の肌合いは、人によってはかなり官能的に感じられるものらしいけど、僕にはよく分からない。以前にもバーバラ・ハマーの熱狂的支持者から勧められて、普通の結婚式を延々と撮った作品を見たことがあったけど、その時にもなーんにも感じなかったから、僕には遠い存在の人みたい。


  でも、インタビューそのものの内容は面白かった。


 96.11.28 木


  昨日も座談会で一緒だった川口君(*1)が来店。来年の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭PR用のポストカードの話をする。3種類のカードを作る予定だそうで、そのうちの一つを僕がやることになった。

  かわいっらっしぃーのを作ろうと思う。



 (*1)川口君/東京国際レズビアン&ゲイ映画祭の実行委員長を務めるパフォーマンス・アーティスト。


 96.11.29 金


  シノシノが鼻息荒く店に入ってきた。彼と今関係を清算してきたと息巻いている。


  聞くと、彼が女神様とあがめる中島みゆきの「夜会」に一緒に行ったのだが、終わってから、余韻に浸りながら「よかったよねぇ」と聞くと、「全然おもしろくなかった。もう二度と中島みゆきのコンサートには行かない」と彼が言ったとかで喧嘩になり、そのまま別れることにしてしまったそうだ。


  もうすぐ付き合って1年。アニバーサリーを記念して「夜会」のチケットを用意し、せっかく楽しい夜にしようと思ったのに、あいつは人の気持ちへの思いやりがないと怒りまくっていた。


  営業的には「まぁ、そりゃ怒って当然よねぇ」とか言ってればいいのだが、それができない。

  「あんた、思いやりとかなんとか相手に求めてばかりいるけど、アニバーサリーだからといって、好きでもない歌手のコンサートに付き合わされて、「よかっただろう」を押し売りされれば憎まれ口の一つや二つは言いたくなるんじゃなーい。そういう気持ちも思いやってあげてから、「思いやり」とか口にすればぁ。」と、完全に突き放してあげた。


  荒療治が聞いたのか、帰りがけには「電話してあやまる」とか言い出していたが、どうなることやら。


 96.11.30 土


  ゲルゲルと大阪ファーファが連れだって来店。「あら、珍しい組み合わせねぇ」と声をかけると、妙に照れた様子。

  実は一月前頃から付き合いだしたばかりとのこと。あらぁ、思いがけない組み合わせにビックリ。(ま、思いがけない組み合わせの方が多いんだけどね、たいてい)


  さてさて、はじめから遠距離恋愛というのは関係作りにとっては、かなりの難問。そこを心して頑張ってね。


  いよいよ明日から事業系のゴミの収集有料化。まぁ現金なものでお金取られると思うと、ゴミをできるだけ少なくしようとするし、実際、閉店後に出したゴミは以前の土曜日の5分の1になっていた。

  うーん、やればここまでできるのねぇ。ゴミの完全有料化もゴミ問題の切り札としてはかなり有効かも。

  だけど、このシールを貼って出すというシステムでうまく行くかどうかは、ちょっと疑問あり。







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