2丁目の上のタンコブ日記
96.11.11 月
キシピ&カズのハウス・ウォーミング・パーティのビデオにイントロとエンディングのタイトルを付けた。これで、やっと彼らにビデオを上げられる。(出来は、まだまだコンビニに買い物程度を脱していないけど)
12月のタックスノットは自分の作品を展示しようと思っているので、その準備にとりかかる。カウンター正面の壁にはNTTデータのために作った立体の部品を飾るつもり。後ろの壁に飾るものを今月中になんとかものにしなくてはいけないワケだ。うーん、何にしようかしらん。
弦ちゃんは風邪気味だとかで早めに店を閉めて、帰って来た。
96.11.12 火
今日はまず部屋の掃除から始めた。作品を始めるための通過儀礼みたいなものだ。
12月に店に飾るものとして何を作ろうかと、あれこれ考えたのだが、とにかく時間が取れないので、テーマは「一日で完成させられるもの」ということした。
結局、僕が持っている細々した人形やら置物などを写真に撮って、それを並べて、「僕の家族の紹介」ということにした。早速ビデオであれこれ撮りまくり、マックに取り込んで、構成して、プリントアウト。
8時間くらいでA4に15枚の写真を並べたものが3枚できた。どぎついカラーにして、昔のメンコ(そういうのがあったのよ!)のような色合いに仕上げた。作品とはちょっと言えないけど、ま、家族アルバムができたといったところか。
とにかく、これで12月はなんとかなったワ。はー。
96.11.13 水
今日は弦ちゃんお休み。早起きして、日焼けに行ったそうで、僕が起きたときには、もういなかった。
仕事部屋を徹底的に掃除する。終わってデスクの前に座って、一服するとなんだか何でもできそうな気分になる。こういう状態を続けられればいいんだけど…。
世界堂にマットを切ってもらいに行く。マットを入れて額装すると、けっこうサマになるから、ありがたい。これで僕の家族紹介もサマになるでしょう。マットの受け取りは明日。
バディの西野浩司さんと会う。なんかこうやって書くと別人みたい。もう彼とは15年くらいの付き合いで、いつも呼ぶ時は「ブン」と呼んでいるんだけどね。彼は小説はちょっとお休みして、しばらく編集業に専念するとか。
僕が来年のバディに連載をすることになり、その打ち合わせ。若い世代に向けての企画となりそう。
夜は弦ちゃんと一緒に店の伝票整理。3カ月分ためてしまったので、これが結構大仕事。これやっている時は、ああ、経営してるんだなって実感が湧いてくる。
96.11.14 木
昨日、整理した伝票持って東京商工会議所に行く。なんだか、これで長い間の便秘が治ったみたい。あぁ、すっきり。
弦ちゃんと一緒にマトリョーシカで食事。このロシアン・レストランは味でもサービスでも、何というか、ほどがいいのが気に入っている。セゾン・プラザのB2にある。
セゾン・プラザと言えば、ここのB2のトイレは発展トイレとして、結構、有名だったが、今日気が付いたら、B2にある各レストランでコインを借りなければ入れなくなっていた。公衆トイレ代わりに使われちゃたまんないっていう理由でそうなったのか、それともハッテンのありようが目に余ったからなのか、は不明。
トシカズが本高砂屋の「かぼちゃの里」という和菓子をくれた。毎月「〜の里」という名前でその時の季節の味を練り物にして発売してるそうで、11月はかぼちゃだとか。なかなかの味だった。
96.11.15 金
ヨシノリとケンジが箱根に行ってきたとかで、お土産に「黒たまご」なるものをくれた。硫黄で真っ黒になった温泉卵を模したお菓子で、念の入ったことにプラスティックの卵ケースに入っている。チョコレートが回りにコーティングしてあり、中にはちゃんと黄身もあった。
ホントにお土産用の菓子ってバリエーション豊かだわぁ…。
なんだか、この日記って、貰った食べ物の話ばっかりね。「到来物日記」、ゲイもしてみんとてすなり。
96.11.16 土
トコトコがやってきて、出たばかりのアニースを見せてくれた。その広告ページに面白いものがあったので、ご紹介。
社員募集の広告で、広告主は千代田生命武蔵野支社。
「レズビアン・バイセクシュアル社員急募。同じセクシュアリティの人たちだけの営業所開設を目指しています。お気楽にお問い合わせください。25〜50才くらいまで。高卒以上、経験不問。営業アシスタント。12万円〜18万円」
ねぇ! これってなんなの? 千代田生命はいったい何を考えているのかしら? 誰か実際に応募して、彼らの真意を調べてほしい。知りたい、知りたい!
ま、詳しいことはアニース1月号の広告ページを見てみて。
96.11.17 日
今日はゲンパパの2周年パーティ。インディアン姿で元気に出かけていった。
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トシカズが博多に社員旅行に行ったとかで、辛子明太子と梅ヶ枝餅をお土産にくれた。梅ヶ枝餅はほのかに梅の香りがする薄皮の大福風。サッパリした甘さがおいしい。
タックスノットのいわゆる常連が帰った後に、6人のノンケ軍団がやってきた。軍団と言っても、男女ペア3組という編成。カズ(*1)の歌仲間だった面々で、久々にカズの歌のテープを聞いたら、みんな涙腺がゆるんでしまい、カウンターの上はティッシュの山ができてしまった。グスン。
96.11.18 月
弦ちゃんはパーティの二日目。昨日は、帰るお客さんを送るため、店の急な階段を100回近く上り降りしたので、足腰が痛くてたまらないと嘆いていた。今日を乗り越えれば終わり。ガンバ!
来年のレズビアン・ゲイ映画祭のためのポストカードのデザインを考えるために、いろいろと実験をしてみる。自分が作った立体物のパーツをデジカメで撮って、それをマック内で再構成する方法をとってみようと思っているのだが…。
デジカメの長所短所をよくわきまえてからでないと、なかなかいいアイディアが湧いてこないようだ。どうも、いままでのやり方の発想に縛られてしまう。ウッ、いい気持ち。バカ。
朝の4時頃、弦ちゃんから呼び出しの電話。去年と同じように、パーティの最後には僕も加わって乾杯してのお開きと決めてあったのだ。
感激屋の弦ちゃんは、今年もまた大泣きだったようで、ゲンパパに行ってみると、もう目が大腫れ。
乾杯の時は、最後まで残ってくれたホントに親しいお客さんたちの拍手にまたまた涙、涙。
今日は、100年分くらい泣いたと言ってた。
よっぽど疲れていたのか、家に着いて横になったとたん、寝入ってしまった。無事に済んで、よかったね。
96.11.19 火
弦ちゃんは足が痛いと嘆きながら、店の掃除とクリスマスの飾り付けに出かけていった。
僕みたいに、明日できることは今日しないというタイプとは正反対の性格なんだわ、弦ちゃんって。
そういや、もうすぐクリスマスなのねぇ…。
僕は昨日の実験の続きをする。
夜中にテレビをつけたら、小津の「秋刀魚の味」をやっていた。何度も見ているのに、つい最後まで見てしまった。特別、ドラマティックなことは起こらないのに、最後まで惹きつけられてしまうのはどうしてなんだろう。全く不思議な監督だ。
小津の評伝の中で、小津が「伝家の宝刀は最後まで抜いちゃいけない。でも、最後まで抜かないで行けたら、これほどいいことはない」ってなことを言っていたのを思い出す。なんか「深い」わぁ。
96.11.20 水
弦ちゃんは伊豆熱川に一泊旅行。パーティが終わったら、絶対温泉につかりに行くんだと前々から言っていたのだ。
弦ちゃんがいなくなると、とたんにだらしない生活態度が戻ってくる僕。ご飯も作らなくていいし…とか思いながら、夜の7時まで寝てた。
パレードに連載しているエッセーを仕上げて、E-mailで送る。