2丁目の上のタンコブ日記


96.10.15 火

 まだまだマックの苦難は続く。今度はSyQuestのリムーバブル・ハードディスクの調子がおかしい。あちらが動けば、こちらがダウン。いつまで続く泥濘(ぬかるみ)ぞ…。
 マック・エヴァンジェリストのヨー君に助けを求める。彼のような人が居てくれるから、僕のような人間でもなんとかマックと付き合ってこれたのだわ。ナンマンダブ、ナンマンダブ。

 基本的にスカジー関連の不具合だから、全てのコードをハイインピーダンスのものに換えるとか、アクティブ・ターミネータが付いてるかどうかをチェックするとか、デバイスの順序を換えて試してみるとか、細々とご指示をいただく。(こんなこと興味のない人には面白くもなんともないわね。ゴメン)

 明日もまたマックとの格闘で一日が過ぎていくのねぇ…。なんだか、どうしようもない魔性の男の子に振り回されてる感じ。
 ヨー君は「そこまでやり始めちゃったんだから、後は行き着くとこまで行くしかないでしょう」と、なんともありがたいというか、無責任というか、涼やかな声でのご託宣。
 おー、落ちるとこまで落ちたろやないけぇ!

96.10.16 水

 週間読売の記者から取材の申し込みの電話が入る。

 聞けば、昨日ニュースで流れていた高校生のポルノ・ビデオ出演を斡旋していた高校教師が逮捕された事件に関しての取材とか。
 ビデオ業界のことは何も知らないのでと断ると、「同性愛の方々のこともお聞きしたのですが…」ときた。
 こういう事件と抱き合わせた形でゲイのことを取り上げる記事に関しては、お役には立てないと思いますので、慇懃にお断りした。
 
 今までに、何回か取材を受けて学んだことは、いくら誤解のないように気をつけて話したとしても、記事になると全然違った文脈での話にすり替えられることが多いということだ。
 取材する前から記事の筋書きはできてるとしか思えない。つい何カ月か前の朝日新聞での松田聖子コンサートに関する談話も、終始「ですます」調で答えたのに、記事では見事に全てオネェ言葉に翻訳されていたくらいなのだ。ゲラ・チェックができない取材は慎重にも慎重を期した方がいい。

 スカジー・ケーブルをほとんど取り替え、あれこれ繋ぎ返しての試行錯誤の結果、マック全体のバランスを取り戻せたようだ。後は、データをバックアップしてから全てのハードディスクをフォーマットし直せば、この泥濘からは解放されるだろう。

96.10.17 木

 8月に行われた第3回レズビアン・ゲイ・パレードでの紛糾の際、磯貝実行委員から「レズのくせに…」と言われた、当の本人がその時の経緯を書いた文章を手に入れた。

 非常に事細かく経緯が書かれているその文章が多くの人に読まれていけば、「レズのくせに」とは言ってないと「アドン」に書いた磯貝氏は、誠実に対応しないとレズビアン全体を敵に回すことになるだろうなという気がした。

 興味のある方のために、その文章を資料として、ここにリンクしておきますので、それと「アドン」の10月号を合わせて読んでみてください。
 
 でも下手すると、このまま、「言った」「言わない」の水かけ論になりそうな気もするけど…。

96.10.18 金

 マックが安定してきた。う、嬉しい!

 ユキヤくんが静岡出張をしたとかで、「野趣村情」というお菓子を貰う。黒砂糖の蜜がコーティングされたお饅頭。かなり甘いが、なかなかおいしい。

96.10.19 土

 今日は、キシピとカズのハウス・ウォーミング・パーティ。付き合い始めて45日目に一緒に暮らそうと決めた、あのカップルだ。

 鷺宮にあるマンションの4階が彼らの新居。あちこちに二人の写真がカワイイ写真立てに飾られていて、もう勝手にしてくれという感じ。カラフルで明るい柄のカーテンが妙に新婚家庭って雰囲気を出していた。

 ビデオを持っていって、撮りまくる。あとで見たら、なんか「お宅拝見」番組みたいな出来になってた。

 店があるので6時には辞してきたが、8時頃から本格的な盛り上がりになったらしい。

 料理は、あのミツオが一手に引き受けて、大活躍。こういう人が友人にいると、一生パーティの準備には困らないわねぇ。

 おかげで(?)、タックスノットは通常の土曜日の半分くらいしかお客が来なかった。はー。

 恒例の閉店後のお楽しみ、「英国生活」は終わってなかった。よかったぁ。
 今回は初めて日本人のファッションデザイナーが登場。おかげで今回は、楠原さんが日本語で話すとゲストが英語で答えるという面白さが味わえなかった。

96.10.20 日

 弦ちゃんはお店を休んで、マザー牧場にバンジージャンプをやりに行った。

 去年買ったダチュラがやっと咲いた。ホントによくノドの乾く子で、うっかり水をあげ忘れるとすぐに葉を落としてしまう。何度も、もうダメかと思ったのだが、なんとか咲いてくれた。葉が落ちてしまっているので、あまりカッコ良くはないけれど、5輪も咲いてくれたのですごく嬉しい!


 今日のタックスノットは、お客が神隠しにあったらしく、誰かが僕のためにサプライズ・パーティでも用意してくれてるんじゃないかと期待したくなるような(?)静けさだった。しかし何のサプライズも起こらぬまま閉店の時間が来た。

 実は今日は「テラカラ」の一周年パーティだったので、常連はみんなそっちに行ったんでしょう。
 営業があるからとパーティは失礼したんだけど、店休んで参加しちゃえばよかった…。

 劇団「フライング・ステージ」の衣装を担当してるジュンちゃんがやってきた。なんと、この前の「美女と野獣」が池袋演劇祭での受賞が決まったという話だ。おめでとう!!

 主催者で主役の関根君は授賞式には完全ドラァグで参加すると、今から張り切っているそうだ。なんか楽しみのような、怖いような…。

96.10.21 月

 やっとアドビ・プレミアで遊べるようになった。
 今日は香港のビデオにタイトルを入れる実験。あら、やだ、カワイイじゃなーい。うーん、楽しいかもしれなーい。だけど、これじゃ時間がいくらあっても足りないわねぇ。ま、だんだんスムーズにできるようになるでしょ。

 はっと気づくと、もう一日が終わっていた。

96.10.22 火

 今日も一日中プレミアで遊ぶ。そして時間はあっと言う間に過ぎた。

96.10.23 水

 弦ちゃんと六本木にある「ランセーニュ」というカニ料理屋さんに行く。
 マゴマゴ、キャサリン、えびす君が一緒で総勢5人。

 この店は以前からマゴマゴに勧められていた店なんだけど、店の都合で今月いっぱいで一時休業するというので、あわててやってきたのだ。カニにはうるさいマゴマゴのお勧めだけあって、カニの味は逸品だった。


 青山ブックセンターで「スクルティニー・イン・ザ・グレイト・ラウンド」というCD-ROMを買う。特別ストーリーもなく、銅版画に似た絵の中をクリックしてまわると、不思議なイメージと音楽が展開されるというもの。派手さはないけど、けっこう好きなタイプのCD-ROMだった。それにしても、このタイトルはなんのこっちゃ…。

96.10.24 木

 今日はお客様一人につき50分ずつマン・トゥ・マンでお相手できるほどヒマだった…。
 
 店を閉めてから、マサキ、ジージョ、ラクちゃんと一緒にバズ(*1)に行く。オープンの日にいくつもりだったのが、ノビノビになっていて今日になってしまった。

(*1)バズ/タックスノットを始める前からの友人が、一月ほど前に開いたカラオケ・バー。新宿三越の裏手にある。彼は「二丁目からウロコ」の中で「衝撃的なエピソード」に登場する「バイバイちゃん」。

96.10.25 金

 昨日。
 僕「今日はヒマねぇ…」
 客「だって今日は給料日前日じゃない。当然だよ」

 今日。
 僕「今日は給料日だっていうのにヒマねぇ…」
 客「今日は給料日だもの、会社の連中につきあわなきゃなんないからだよ」

 お客様は限りなく優しいのか、口から出任せなのか…。

 マユゲちゃんは四国への出張があったとかで、えびセンベイとうどんをお土産にくれた。

96.10.26 土
 
 「 Fried Green Tomato」(*1)を見てというS君が初来店。ゲイバーに入るのはうちが初めてなのだそうな。
 お近づきの印にと銚子名物ぬれ煎餅と好きな音楽を録音したテープをくれた。
 ぬれ煎餅は初めて食べたけど、しけったおセンベイという既成概念から自由になれれば、妙な(?)おいしさがあって、後を引く。でも商品名が「ぬれマンボー」というのはあまりにもキッチュすぎるような気がした。略して「濡れマン」とでも呼ばせたいのかしら…。ウッ。


 タックスノット開店以来の大シュミと騒いでいた(もち僕がよ)ユウタが久々に三重から出てきた。なんとヒゲがない。相変わらずカワイくてシュミなのに、前ほどの疼くような(おおげさな!)心のときめきがない! 今更ながら、自分の熱の冷め易さに感心する。あの時貰った胸毛のために作品を作る情熱は残っているのかしら…。(あくまでも人事風)

(*1)Fried Green Tomato/タックスノットに集う人たちのためのホームページ。

96.10.27 日

 今日は起きた時から歯が痛い。こうなると世の中全てがウットウしく、悲観的に見えてくる。

 今日もヒマだし、もうタックスノットもダメなんだわ…。

 MAC USERを読んだら、BRAVADO 1000とmiroMOTIONの比較レビュウが載っていた。これによればmiroMOTIONの方を買った方が良かったみたい。僕ってなんて早とちりなの…。

 こんな無駄遣いばかりしていて、きっと老後は悲惨になるに決まってるんだわ…。

96.10.28 月

 起きたら、歯が痛いのが直っていた。こうなると世の中なんて怖いものなしって気分になってくる。

 早起きして(って言っても2時だけど)、銀行を巡って、今月の家賃など毎月の支払いを済ます。何て気分がいいんでしょう。今月も無事済んだんだわ。思っていたほど売り上げ悪くなかったみたい。やっぱり、欲しかったデジカメ買っちゃおうかな…。「すいません。これください。」

 かくして、長い間逡巡していたデジカメ購買計画はいっきに終幕を迎え、オリンパスのCAMEDIA C-800L
が僕のものになった。もう絶対デジカメ関係のレビュウは読まないぞ!

 京都から古くからの友人のシモンがやってきた。朝の5時まで何人かの友人を交えデニーズで話す。

96.10.29 火

 今日はオトメ・シネマクラブの映画鑑賞会。先月は香港旅行でパスしたので2カ月ぶり。

 見たのは「リーヴィング・ラスヴェガス」。正確には初めのところだけ見たのはと言うべきか。
 実は、20年ぶりに映画館を途中で出てしまったのだ。僕は食事でも、基本的には出された物は残さないという性格で、映画もひどくつまらないものでも最後までは一応見るのを方針にしているんだけど、今回のは我慢ができなかった。どうしようもないアル中の男と悲惨な人生を送っている娼婦の話だと聞いた時からやな予感はしてたんだけど、30分経っても主人公に感情移入ができず、そのうち娼婦がヒモから暴力を受け始めたところで、我慢の限界。僕って、こんな映画見るほどヒマじゃないわ!!という気分になって、マチュウとラクちゃんを残したまま、席を立ってしまった。

 20年前に席を立った映画ってなんだったんだろうと思い出してみた。
 タイトルもキャストも覚えてないけど、主人公の女の家で、どうしようもない恋人(だったと思う)が別れたくないばっかりに、彼女の前で手首を切って見せる。彼女は「勝手にすれば」と言う感じで取り合わない。そのうち、壁にもたれて、手首から血を流している男が「ねぇ、体が寒くなってきたよ」みたいなことを言い出すシーンで、確か席をたったのだった。
 これって何ていう映画だったのかしら、誰か知ってたら教えてくださいませ。

 映画が終わるまで、もっと有効に時間を使いましょうと思い、店のキッチンハイターやガラスクルーがないのを思いだし、買ってきてフキンを漂白などして時間をつぶした。(映画館は店のすぐ近くだったのがラッキーって感じ)この映画は僕にとってキッチンハイターを買いに行くよりもつまらないことだったワケね。

 これで主人公の男がシュミだったりしたら最後まで見たと思うんだけど、なにせニコラス・ケージじゃ、どうイマジネーション駆使しても楽しみようもない。あぁ、不愉快だった!

 映画が終わる頃、入り口で二人を待って合流。ラクちゃんは嫌いな映画じゃないとか言ってた。ホントにシュミは人それぞれ違うものねと改めて痛感する。

 今日はラクちゃんの誕生日のお祝いも兼ねていたので、久しぶりに「テラカラ」に食事に行った。
 ホントにおいしくて、映画のことなどきれいに忘れさせてくれたので、心から満足。

96.10.30 水
 
 今日は僕と弦ちゃんの3回目のアニバーサリー。
 パークハイヤット東京の54階にある「ニューヨーク・グリル」で食事をしてお祝い。今夜はよく晴れていて夜景がひときわ美しかった。また来年のアニバーサリーに向けて、一歩一歩進んでいきましょ。

 ゲンパパ2周年パーティのための弦ちゃん用衣装を作る。今回のテーマはアメリカ・インディアン。先日買っておいた皮で作ったインディアン風ふんどしを付け、頭に羽をさし、顔に絵の具で模様を描くと、弦ちゃんもそれなりにインディアンに見えるのがおかしい。パーティが楽しみ。

96.10.31 木

 アケピとマサオがサイパンにダイビングのライセンスを取りに行ってきたそうで、空港からの帰り道に寄ってくれた。ダイビングをしている時以外はホントに退屈なところだったとの感想。

 お土産にマカデミアンナッツ入りのチョコレートをくれた。それにしても、このマカデミアンナッツ・チョコって世界中のどこにでも売ってるものなのね…。

 ユキヤも大阪出張の帰りに寄ってくれて、蕎麦の葉まんじゅうをお土産にくれた。
 

 



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