2丁目の上のタンコブ日記
96.09.10 火
今日は一日、マックでお絵描き。プリントアウトしたものが完成品となるような方法を色々試してみた。
マックちゃんとは7年目のお付き合いだというのに、まだこれっていうのが見つからない。向いてないのかしらと弱気になる自分を叱咤激励して、いつか出会えるだろう僕の気に入ったやり方を探る旅は続く。はー。
これは、今日描いたうちの一枚。
96.09.11 水
ABCは、アメリカ上院が同性間の結婚は認めないという法案を可決したというニュースをトップで伝えていた。この結婚防衛法案(というらしい)は共和党のリードで通過したが、クリントンはサインをする方針とか。この法案は、最近ハワイ州で同性間の結婚を認めないのは違憲だと判断を下したハワイでの動きが他州に影響を及ぼさないように歯止めをかける目的があるようだ。
同時に、上院は職場での同性愛者に対する差別を禁ずる法案を否決した。
ここのところ、ゲイ&レズビアンの政治闘争は保守派の巻き返しに押されっ放しの感がある。でも、長い目で見れば、多様な生き方を認めていこうというアメリカの方向性がくつがえされることはないでしょう。
23日から3泊4日で香港に行くので、その打ち合わせなどを兼ねて、同行する友人たちと食事会。なんだかキャピキャピ騒ぎながら食事しただけで、なんの打ち合わせにもならなかった。どういう旅になるやら…。
96.09.12 木
4ヵ月ぶりくらいに前本さん(*1)と会う。木更津に引っ越すことになったとかで、その前に一度会っておこうということで、オリエンタル・ウェーヴ(*2)で4時間ばかり話す。
制作方法のこと、家族のこと、表現することは?などと話は多岐に渡って、あっという間に時間切れ。
僕が、こんどからビーズを多用したいと思っていると話したら、ビーズやラメ系では大先輩の彼女が浅草橋を案内してくれることになり、次回は材料調達ツアーにしようと決めて、別れた。
店も暇で、タイミングよく入れ替わっていくお客さんとそれぞれゆっくり話ができた。 今日は一日、語り合いモードの日だったのね。
今、店で飾っているアキオくんの切り絵が一枚売れた。アキオくんとは面識のないお客さんに買って貰えたのだから、彼も励みになるに違いない。(*3)
(*1)前本さん/前本彰子。コンテンポラリーアートのフィールドで活躍しているアーティスト。ビーズやラメを使ったプライーベート・プレゼント・シリーズや巨大なドレスのオブジェなどで有名。映画「ロビンソンの庭」の幻想シーンでのオブジェは彼女の作品。
(*2)オリエンタル・ウェーヴ/東京大飯店の1階にあるティールーム。天井も高く、ゆったりとしたなかなかいい雰囲気の店なのに、いつも空いているので気に入っている。ちゃんとした紅茶が飲めるのもいい。
(*3)タックスノットでは毎月、店内の展示を変えています。ほとんどが、店に来る人の作品で、月替りのミニ個展といったところ。なお、タックスノットに集まる仲間で作るホームページ「GREEN TOMATO」があり、その中で、今どんな作品が展示されているかが見られるようになっています。一度、覗いてみてください。
GREEN TOMATOのURLは、http://www.kt.rim.or.jp/~fuyu2 です。
96.09.13 金
久々の本格的な雨。
アキオからティップネス渋谷の宣伝ブックレットを貰う。
彼は三軒茶屋近辺に住んでいるんだけど、郵便受けに入っていたんだそうだ。一見して分かるように、ゲイを強く意識したデザインで、男性のヌードがいっぱい(女性のもあるけど)。これなら、お友達にあげても、喜ばれると思う。
フィットネスクラブも、もうゲイを無視してらんないのよね。一番のお得意様ですものね。経済原理が社会を変えていく…。
フユヒコから沖縄土産、ちんすこうを貰う。
96.09.14 土
キシピとカズの話。
7月26日に交際を始めた早々、一緒に暮らすことを決め、部屋探しもトントン拍子で運び、9月の23日には引っ越しとか。
ふたりで家具を買いに新宿丸井のインテリア館に行って、あれにしようかこれにしようかと仲睦まじく選んでいると、店員が気持ちよく相談に乗ってくれたそうで、さすがに新宿の丸井のゲイへの応対は非常に良かったと、楽しそうに語る二人であった。野郎系の二人が新居向けの家具を選んでいる図なんて見物だったでしょうね。
もう、今は何をしても楽しくてたまらないハニームーン。他目を気にせず、ベタベタしまくり、いい加減にさらせよ!と思う気持もありながら、やっぱり幸せそうなゲイカップルを見ると、こっちも微笑んでしまう。
いいパートナーシップ築いてってね!
96.09.15 日
今日は、UC-Galopの年に一度のパーティ「アッパーキャムプ96」。今年は、ドラァグ・アウト!がテーマで、最近とみにドラァグ・カルチャーへの傾斜を強めているUCならではのパーティになりそう。
3時半に店閉めて、最後のショーに駆けつけた。ほんの2時間たらずしか参加できなかったけど、 やっぱり、このグループの何かを生み出すエネルギーは凄いと思わされた。
フィナーレでは、もうしないと心に決めていたはずなのに、気が付いたら、また汗だくで踊り狂っていた。ああ、またやってしまった…。
あこがれのノブ君の汗はしょぱくて、少し苦く、そして、甘美な香りがした。
写真は、新人常連のサトシくんに撮ってもらったドラッギーな方々。
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96.09.16 月
月曜日恒例、大好きな「アンパンマン」を見ながらの弦ちゃんと食事。
ドキンちゃんは死ぬほどビッチでゲイテイストで、見る度に笑ってしまう。ロールパンナの複雑なキャラクター設定も魅力。
ロールパンナが二つの心を持つようになってしまった経緯ってのを誰か知ってたら、教えて下さらないかしら。
ユリイカから依頼された原稿のアイデアを練る。
96.09.17 火
風邪なのかしら、なんか調子が悪い。
悪戦苦闘しながら、ユリイカの原稿を仕上げる。テーマは「二丁目に浸透してきているノンケっぽさ至上主義の危険性」ってとこか。
96.09.18 水
芸術座で「放浪記」を見る。叔母(大塚道子)が、ここのところ7〜8年出てるので、もう何度も見に行ってるのだけれど、見る度に思うのは、ホントに本がよく書けてるってこと。今年も4ヵ月公演!だそうで、これで1300回を越す公演数になるらしい。
客席は、エネルギー溢れる中年主婦層でビッシリ。
96.09.19 木
小倉・マーガレット・東様がご来店。約束通りにドラァグ・トランプ用に写真を持って来てくれた。
彼のことだから、ドキュメントとして全部写真に撮ってあるのかと思ってたんだけど、本人も、改めて写真を見返してみて、意外に撮ってないドラァグが多かったんだと気付いたとか。なんだかモッタイないような気もする。そうは言っても、何種類もあるドラァグから一枚だけを選ぶのは大変だった。
後は、彼ともっぱらドラァグ談義。
ドラァグはやっぱり、きれいでなければいけない。ただ破壊的に顔を作って、迫力だけで満足している最近の傾向には納得できない。だけども、自分の美しさに酔ってるのもみっともないだけ。と、結構、禁欲的とも言えるほどのドラァグ美学を披露してくれた。
彼の場合、ヒゲは抜くのだそうだし、ドラァグする前日の夜から食事を抜いて、水分もできるだけ採らないようにするなど、ドラァグって一言で言っても実は大変な努力がいるものだと、ある種の感銘を受けましたワ!