DEAR MOON/陣内大蔵

 陣内大蔵が今までで作った「ルナティック」な曲を集めた「コンピレーションアルバム」、所謂「コンセプト・アルバム」です。
 ジャケット、ブックレットのアートワークからして「月」全開。収録曲も1曲目の"MOONLIGHT KISS"から最後の"おやすみ"まで、とてもポップで聴きやすい「月」が展開されてます。

 松岡正剛氏の著作「ルナティックス」(作品社刊)では、「月光の寓意を織り込んだ歌は夥しく多い」と指摘していて、僕もずいぶんと「月」とか"MOON"とかの言葉が入っているアルバムを集めているけれども、自分が作った「月」の曲を集めてコンピレーションした例は僕が「月光的」と思うアーティスト、ミュージシャンも含めて、ここまで徹底しているものはポップスでは少ないです。

 こういった、日本のAOR的なポップスの中では、どちらかといえば太陽的なイメージやさわやかさを打ち出す人達が多く、あまり「月」が語られることがこの当時は少なかったと思うので、このアルバムはそういった意味でも貴重な存在だと思います。(90年代後半以降は、こういったポップスでも結構「月」の付く曲名が増えてます。アルバム内に1曲でもあるとチェックするのが大変です。シングルのB面までチェックしなきゃならんしねぇ・・・。)

 先ほどの「ルナティックス」では、「ともかくも、恋の歌には安手の月光がひっぱりだこだ。」と記されています。
 このアルバム内でも多少使い古された、氏いわくの安手の表現的なものもありますが、このアルバムの「月」という表現のポップス的アプローチ、恋心を月に託したりするのはこのような多少使い古された表現の仕方が似合うのかもしれません。
まぁ、その中から新しい表現の仕方を発見するのがまた愉しみなのですが。

 作詞家やミュージシャンが「月」や「月の光」に恋や恋心を託しやすいのは、それだけ人の心に「月」というものがいつまでも美しく神秘的な存在で、恋や恋心も美しく神秘的であるからではないのでしょうか。
 「月」に人類が立っても「月を唄う」歌が消えないのは、そのことの証明となるのではないのでしょうか。


DEAR MOON
1993年発売 
FUN HOUSE (FHCF-2142) \2,300
BOOK OFFで¥1,250〜¥950で売ってます。
ぜひ聴いてみてください。
初回盤ではポストカードが2枚入ってます。


3回目が出来ました。
ネタ作りが結構大変です。
暇と気力をみて更新しますので
どうかよろしく。

次回予告
どうしましょう?
現在考え中です。