月の光
(Clair de lune)

クロード・ドビュッシー作曲

 クロード・ドビュッシー(1862〜1918)の代表作、「ベルガマスク組曲」の中の第3曲にあたる曲です。組曲のうちの1曲なんだけど、この部分だけで単独でよく演奏されています。
 いわゆる「癒し系」クラシックのコンピレーション・アルバムには結構入る率が高い曲です。まあ、ドビュッシーの曲自体が「癒し系」のアルバムに入る率が結構高いのですが。

 ドビュッシーは、音楽家との交流だけでなく、画家や詩人等との交流を通じ、そこからの影響を自分の音楽に投影させていきました。また、その、印象主義と呼ばれる作曲法により、音楽の中に色彩感覚、詩的または文学的な響き、そして洒落っぽさなど、従来に無い響きの音楽を造り出していきます。

 この「ベルガマスク組曲」はその手法の初期の頃の作品で「月の光」はごく普通の三和音を用いているのですが、その響きを最大限利用し、「月」そして「月光」を微妙かつ的確なニュアンスで表現しています。

 お勧めはフィリップスから出ている「月の光 オンパレード」。タイトルどうりに「月の光」だけを集めたコンピレーションで、決して名演とは言えないのですがピアノ、オーケストラ編曲、ギター2重奏、ハープ等、珍しいとこではマリンバ、尺八なんかもあって色々な楽器の音色で聴けるのはなかなか趣があります。
 ピアノでいくとパスカル・ロジェなんかいいと思います。フランス的な情感のちょみっと軽めがかった感じのそれでいて細かいニュアンスの聴いたピアノでとてもイイ感じがします。(何か「美味しんぼ」の料理的説明)
 ハープでは「クラシック界のヒロスエ」なんて言われてた竹松舞なんかとっつきやすくていいんじゃないでしょうか。ハープは自分的にもちょっと選びづらいとこもあって、竹松舞あたりが妥当かなと、でも悪くはないです。

 あと、シンセサイザーの富田勲も忘れちゃいけません。日本の電子音楽の第一人者にして、世界的にもその名を知られています。彼の場合、シンセをストリングスの代用として使用するので無く、自分のイメージする音に合わせて編曲してあります。そのため、ただ「月の光」をシンセに置き換えただけのうすっぺらいもので無く、通常のクラシックのものよりも彼の「情念」のつまった音世界が過剰に堪能できます。
 この曲の入ったアルバムがシンセ物としてグラミー賞に初めて(日本人としても初めて)ノミネートされ、世界的にも評価の高いアルバムです。富田氏にしても、ドビュッシーの色彩的世界がシンセで表現するのに適した素敵な音楽なのかと考えたのでしょうか。


月の光 オン・パレード
(Clair de lune ON PARADE)
1998年発売
フィリップス(PHCP-20306)¥2039(税込み)

これがドビュッシーだ♪♪♪
(THIS IS DEBUSSY)
←そのまますぎ
1996年発売
ポリグラム(レーベルはLONDON)
(POCL-4057)¥1,800(税込み)
パスカル・ロジェはこれで聴けます。
ドビュッシーの入門的なものとして代表曲は
しっかりと入ってます。

月の光/竹松舞 in パリ
1999年発売
日本コロンビア(COCQ-83257) ¥2940(税込み)
彼女の1枚目のアルバムでは、
ポピュラー音楽なんかも演ってます。

富田勲
月の光〜ドビュッシーによるメルヘンの世界
(CLAIR DE LUNE)
1975年発売
僕はアナログで持ってるんで、
CDの番号が不明なんですが、
しっかりCDで出ています。(外盤、日本盤両方あり)
なお、アナログでもう1つ、バイオホニック盤
というのがありまして、4チャンネルで作成したものが
2チャンネルでも似たように音が出るようになってるものです。
2つのスピーカーを底辺とした正三角形の頂点に当たる位置で
聴くのが適当らしいです。


第2回目が出来ました。
暇と気力をみて更新しますので
どうかよろしく。

次回予告
3回目は趣向を変えて
陣内大蔵です。
いきなりPOPSですねぇ。