FLY ME TO THE MOON
(In Other Words)

BART HOWERD作詞・作曲

 「新世紀エヴァンゲリオン」のエンディングでもおなじみ(?)のスタンダードの名曲。フランク・シナトラや他の著名な歌手の方々も録音してます。
 1954年の発表当初は "IN OTHER WORDS"という曲名だったのですが、1962年にジョー・ハーネルが現在の曲名に改題、ボサノヴァに編曲したところ、おりしも当時新しいリズムで注目されていたボサノヴァ流行にのって大ヒット。
 邦題のタイトルでは「私を月まで連れてって」が主流みたいです。最近は英語のタイトルそのまんまで表記されることが多いです。

 日本では最近、宇多田ヒカルが演ってますが、彼女による自分の味付けを施した異訳はちょっと僕には気分が良くありません。(じゃあ、なんでそのCDを持ってるのかって?それはコレクターの定めなのでしょう。ちょっと期待もあったんだけどね・・・。)

 アレンジ的には前述のエヴァンゲリオンのものが群を抜いて素晴らしい出来になってます。やっぱり、元曲がボサノヴァ調であるだけにそれを生かした完璧なアレンジといっても過言でないと僕は思ってます。ストリングスアレンジはそのままだと大げさのちょっと手前ぐらいなのですが、それをリズム隊がキチッと引き締めています。
 また、ヴォ−カル面においても歌手のCLAIRの多少ハスキーな感じの、変にこなれてないうまさがこの曲に対する深みをさらに増しています。僕の主観としてボサノヴァほど「月」を表現するのに適した音はないと思ってます、あのクールな感じのリズムのなかに溢れる情熱みたいなものがまさに「月」そのものの様な感じがするからです。
 それと対照的なのが「トム・ジョーンズ」。(あえてカタカナ表記)あの彼にしか出せない暑苦しく圧倒的なヴォーカリゼイション、そして彼の曲に共通する暑苦しい大袈裟なアレンジ。良い意味で情熱過多でたまりません。

 これ又前述の宇多田女史については明言をさけます。それは、僕があまりR&B系の物があまり好みでないことと、彼女の訳に対する不満。あとは完全な僕の主観で、あのアレンジでは僕に「月」が見えてこないことにあります。けっして僕の言うものだけが「月」を表現する手段では無いのですが、「月」ということ一点に対して、彼女のアレンジでは何の深みも無く、僕にはただの凡庸なR&B調で、彼女のスタイルに押し込めただけの物にしか聞こえないのです。(十分明言してるという噂あり、あくまでも私見です。)

 とにかくにも、色々な切り口からこの曲に対する考えがあっていいし、「宇多田だから」っていう切り口でもいいから、この曲が素晴らしいことが分かってくれれば僕はいいのです。(あれだけ言っといて何か自己矛盾してないか?)探せば探すほど色々なアレンジがあって、歌い手がいて、その意味でとっても楽しいです。皆様も探してみては?まだまだ、僕も探索中です。


収録アルバム

NEON GENESIS EVANGELION 氈A、。(O.S.T.)
CRAIRE/FLY ME TO THE MOON(新世紀エヴァンゲリオン、エンディング)

シングルには4beat version(vo.高橋洋子)が
カップリングされてます。
また、OSTの方には劇伴のアレンジバージョンと
エンディングのバージョン違いが色々入っていて
おもしろくなってます。

フランク・シナトラ
"IT MIGHT AS WELL BE SWING"
(邦題:スウィング!シナトラ=ベイシー=クインシー)
編集盤もたくさんあるので見つかると思います。
こちらの方はビッグ・バンドの編曲がされてます。
他にも月の歌を集めた"MOONLIGHT SINATRA"もあります。

トム・ジョーンズ
"THIS IS TOM JONES"(輸入盤)
彼もまた編集盤が多いので探せば出てくると思います。

宇多田ヒカル
シングル"WAIT & SEE"の3曲目。

  後、これはアナログなんですが、
"FERRANTE & TEICHER""CONCERT FOR LOVERS"
インストゥルメンタルですがこれもイイです。
音はイージー・リスニングまたはムード音楽的。
そして邦題そのまんまの「私を月まで連れてって!」
こいつは竹宮恵子原作のマンガのイメージアルバムですが
中古レコード店を探せば結構あると思います。

まだまだ、この曲に関してはカヴァーが沢山あるので
たまった段階でまた紹介していきます。


ひとまず第1回目が出来ました。
暇と気力をみて更新しますので
どうかよろしく。

次回予告
ドビュッシーの「月の光」で
いきたいと思います。