LIZARD
KING CRIMSON
1970年 イギリス

 

警告! 
生真面目なキング・クリムゾン好き
もしくは過度に思い入れがある方は
読まない様に!

 警告文を見てまで読んで下さる方、感謝致します。ここは彼らの作品の中でも一番評価が低い、もしくは割れていると思われる「リザード」についてのお話です。
 
 問題作として評価されていますこの作品、ジャズ文法の直接的な影響やその事の未消化な部分、さらに今までの様な強固な意思による強引な作風を、ある程度の労働裁量権を認めたが故のほつれみたいなものがそんな低評価の理由に上げられるのでしょう。(それでもその意思の元に統率はされていますが)
 僕はその未消化な所から来る緊張感がとっても好き。派手で色彩感があって写実的な曲、それが場面融合されていないモザイクの様な音空間がとてもカッコイイと思うんだけどなぁ。
 それに評論家諸氏がジャズ風味・ジャズ文法が今となっては古臭いとか言うけど全然そんなに聴こえません。古臭いと評価しておいて逃げてるだけじゃないのか?
まぁその辺は僕が後聴き、リアルタイムで聴いてないからなのでしょうがね。リアルタイムで聴いていた奴らの持つエリート幻想が背景なのでしょうか。

 この作品の最大の凄さ(そこが僕の好きな所)は低評価の一番の原因でもあるヴォーカルのゴードン・ハスケルがになっていると言っても過言ではありません、いやその通り。
 彼の声の特徴はナチュラル・フランジャー効果とかナチュラルピッチ変化唱法とか1/fを超える揺らぎとか自動音声レベル変化唱法という言葉に表す事が出来ます。つまりは「下手」なんですよ。
 このアルバムの5曲目に、イエスのジョン・アンダーソンがゲストヴォーカルとして呼ばれている事もあってかさらに彼の立場が悪いものに(笑)。出だしの一曲目でその魅力の一端が伺い知れます、いや一曲目が全てを物語っています。

 さぁ、レコードをCDを持っている皆さん、色眼鏡を外し(付けての間違い?)1分30秒あたりの彼の嘆きの様な叫び声、それを貴方の、クリムゾンファンの嘆きの声と思って聴きましょう!そう思えば肩の力も抜けて、この作品が何とも親しみやすく聴こえる事間違いありません!ナックルボールの様なモノなのですよ、皆空振りは当たり前なんです。(意味不明かつヤケクソ?)

 あの強固な意思を持つリーダーのロバート・フリップでさえも御し得なかった、不確定要素としてのヴォーカリゼイションとして僕は高評価。(ね、読んじゃダメでしょ)

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