SUFFICIENTLY BREATHLESS
邦題:衝撃の極地

CAPTAIN BEYOND

1973年 アメリカ

1. 衝撃の極地
SUFFICIENTLY BREATHLESS

2. ブライト・ブルー・タンゴ
BRIGHT BLUE TANGO

3. 宇宙漂流
DRIFTING IN SPACE

4. 魔人
EVIL MAN

5. 白熱の星
STAGLOW ENERGY

6. 遠い太陽
DISTANT SUN

7. 過去よりの旅人
VOYAGES OF PAST TRAVELLERS

8. 究極の環
EVERYTHING'S A CIRCLE

 「元ディープ・パープルの…」と言う下りで出てくる人の中では上位に入る(今ではリッチー・ブラックモア、ロジャー・グロヴァーだってそうだけど、あの人達は全盛期にいたから今でもメンバーっぽい)人がこのキャプテン・ビヨンドのボーカリスト、ロッド・エヴァンス。
 このグループ、その彼とこれもまた元アイアン・バタフライのメンバーだった方が作った当時のB級スーパーバンド(笑)

 本作はその2枚目。1枚目ではディープ・パープルの向こうをはった様なブリティッシュ・ハードロックだったのですが、この作品において突然軽めのサンタナ、ブリティッシュ風味の様なサウンドに大幅に変わります。
 1枚目「キャプテン・ビヨンド」カッコ良かったんですよ。緩急つけた曲展開やトータル感溢れる曲作り。新しい感覚のハードロックを作ろうという気合いに溢れていました。しかしながら肝心の歌唱がいかんともしがかったんですね。
 ヴォーカルのロッド自身が「俺らの求めるハードロックな歌には合わん!」「上手かったけどバラードシンガーだった」との理由でディープ・パープルから解雇されてしまった方。見返そうと(あくまでも想像)して気を張ったのは良かったのですが、解雇理由は大体において当っていたんですね、確かに歌が合ってない(笑)んです。でも僕は好きなんですよ、彼。色んな意味で。
 所謂一般的に言われるハードロックって緩急つけるにしろ絶叫型や刺激的な歌い方が主で、当時ディープ・パープルが向っていったのはまさにそっちの方。彼のヴォーカルはどちらかと言えば一本調子で声も深い方だから合わないんですよね、そんなハードロックのサウンドには。

 そんな前作から一転、がらっと変わった本作。ドラマーが変わり、キーボードとパーカッション担当が参加したことと、曲作りが全曲ロッド・エヴァンスドラマーの奴だったのですが1枚目の路線を見直したか、破綻したのか、このアルバムでは全曲ベーシストのリー・ドーマンに変わった結果の(それにしてもロッド君、空回りですねぇ(笑)。そんな所、僕は大好きです)「軽めのサンタナ、ブリティッシュ風味」っぽいサウンドが功を奏し、ボーカルが合ってるんですよ。サウンドも色々な要素を加味し、ポップさも内包していたパープルのセカンド「詩人タリエシンの世界」に(曲調がでなく、意味合いが)似ています。これだけ変わられるともう全然別のバンドで、進化したとかそんな感じじゃないですね。
 当時の(インナー)スペース風サウンド(タイトルを見ると一目瞭然)ってサンタナがあっちに行っちゃてた頃の影響か、神秘的な意味合いを出すのにラテンパーカッションが良く似合ってます。微妙に残るハードさとアコースティックなフィーリング、パーカッションの響きが生み出す空間がとってもユニーク。
 しかし、このアルバムでバンドは解散してしまいます。多分にどっちの路線でも彼らのするべき所はしちゃったのではないかと、これは僕なりの感想。
 その分、彼らのやりたい事が両方のアルバムではっきりしていたし、その時点での全力を投入しているので、気合いが入ってる分多少やり過ぎ気味。それがどう言う結果になっていようとその点が僕がこのアルバムを好きな理由。

 ちなみにこの後、80年代になってロッドが「ディープ・パープルを勝手に名乗って」再結成。当然本家に訴えられ敗訴。解雇された時に勝ち取った参加していた3枚のアルバムの印税、年750万円位を差し止められるという大笑いな事件を起こしました。この点が一番僕がロッドを大好きな理由。

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