ディスクレビュウ・ライト #17



Frengers

Mew
EICP-211
2003年 デンマーク

1. AM I WRY? NO
2. 156
3. SNOW BRIGADE
4. SYMMETRY
5. BEHIND THE DRAPES
6. HER VOICE IS BEYOND HER YEARS
7. EIGHT FLEW OVER, ONE WAS DESTROYED
8. SHE CAME HOME FOR CHRISTMAS
9. SHE SPIDER
10. COMFORTING SOUNDS
11. TSIN TSI
12. WHEREVER


 

 久々に書く新人さんのレビューです。日本語発音は「ミュー」ですね。

 幾重にも重ねられた音のカーテンが突如としてひらめいて、現われる激情とメランコリックな感覚がとても素晴らしく、そのバランスもまた絶妙。
 1曲の中でそんなことが数度に渡って展開されます。そしてそのフックが「おどし」として使われるのではなく、唐突な曲展開ながら、曲想を高める自然な流れになっているのがポイント。
 こういうバンドがリズムが弱いと悲惨な事になるのですが、その辺はまるで大丈夫、しっかりとメロディと展開を支えています。

 「詞は正直であるべきだけど、だからといって平凡である必要はないよね。そういう意味で僕は“ポエティックな真実”を目指している。そこにひねりを加えて提示するんだ。(ライナーより抜粋)」
 彼らのこの姿勢。僕の求めるものですね、こういう事を言ってくれる日本人は何故いないのか。まぁ、愚痴は置いておいておきましょう。ラヴソングを、単なるラヴソングに終わらせないようにひねった言い回しがとても興味深いものではあります。それが前述のサウンドと中性的な声質のヴォーカルにからまってもう、耽美とか言う言葉に埋没しない躍動感とメランコリックとが相まる音世界。

 1曲目は彼らの方向性が1発で解る曲ですね、4分52秒のなかの目くるめく世界。 はまります。ぜひぜひオススメ。