第8回目

HOW DEAR YOU!(邦題:びっくり電話)
10CC

1976年 イギリス

 代表作「I'M NOT IN LOVE」を含む前作「THE ORIGINAL SOUND TRACK」で確立した「スタジオの魔術師」的路線がさらに進み、脱線寸前のギリギリの緊張感と(僕の大好きな)やりすぎ感の強い本作。10CCというグループ内の2つの作家チーム、エリック・スチュワートとグラハム・グールドマン、このアルバム後に脱退、ゴドリー&クレームを結成するケビン・ゴドリーとロル・クレームが最後に見せた素晴らしい魔術がかけられています。

 前作においては、この両グループの混じりぐあい、ポップス・ロック感覚と多分に前衛的な感覚が非常にバランスよく組み合わさっていたものが、このアルバムにおいては過剰になりすぎてメチャクチャこゆい味になっています。
 そうかといって聴きづらいかと言うと、そうではなく印象は
完全にポップ。ただ、メロディの起伏、曲展開の複雑さ、ひねりまくった歌詞等が彼らをただのポップ・ロックバンドの枠に収まらせてはいない。だからといってプログレではないし、そのあたりが彼らの良い立ち位置なのです。
 曲を見ると、2つのグループの曲の違いが鮮明となっている。しかし、これこそを
相互補完とでも言うのだろうか、違いが大きくてもしっかりと「10CC」の曲になっている所が素晴らしい。両グループがポップということを前提に曲作り、アレンジがなされているからでしょう。

 曲の中では2曲目「LAZY WAY」、4曲目「I'M MANDY FLY ME」、6曲目「ART FOR ARTS SAKE」(邦題:芸術こそ我が命)がバランスがとれていてとても良い出来。
 しかし、このアルバムの
最大の聴きどころは最終曲、9曲目の「DON'T HANG UP」(邦題:電話を切らないで)だ。ゴドリー&クレーム在籍時の最終曲、ゴドリーの美しいヴォーカルによるバラードで始まり、躍動感溢れる中間部、そしてまた(ここの展開が素晴らしい)美しいヴォーカルが戻り最終幕のアッと思う幕切れ。
 曲的には
完全にゴドリー&クレームの曲調で、残り2人が協力したって感じなんだけど最後の一花では無いが自分達の出来る所は全てやろうと言う姿勢が見て取れてとてもいい感じの曲です。

 彼らの脱退後、10CCは残り2人で存続、次のアルバム「DECEPTIVE BENDS」(邦題:愛ゆえに)という力作を作り、ヒットするのですが、その後どんどん衰退、脱退した側も良いアルバムは作るのですが、どんどんマニアックな存在になっちゃいます。
 再結成なんかもありましたが
「やっぱりね」という感想で、往年のきらめきはやっぱり感じられませんでした。だいたい、再結成したって成功する例は少ないのだからそんなに目くじらたてることもないのですが・・・。

DETA
前作のTHE ORIGINAL SOUND TRACKと共に
日本盤で出ています。
僕は旧譜で持っているので
番号は不明ですが。
(すいません・・・)