第20回目

CONSEQUENCES
(邦題:ギズモ・ファンタジア)
LOL CREME / KEVIN GODLEY
1977年 イギリス

DISC 1
1. SEASCAPE
2. WIND
3. FIREWORKS
4. STAMPEDE
5. BURIAL SCENE
6. SLEEPING EARTH
7. HONOLULU LULU
8. THE FLOOD
9. FIVE O'CLOCK IN THE MORNING
10. WHEN THINGS GO WRONG
11. DIALOGUE
12. LOST WEEKEND

アナログでは
DISC-1:1〜8がAB面
DISC-1:9〜DISC-2:7がCD面
DISC-2:8〜16がEF面

DISC 2
1. DIALOGUE
2. ROSIE
3. DIALOGUE
4. OFFICE CHASE
5. DIALOGUE
6. COOL, COOL, COOL
7. DIALOGUE
8. COOL, COOL, COOL (REPRISE)
9. DIALOGUE
10. SAILOR
11. DIALOGUE
12. MOVILIZATION
13. DIALOGUE
14. PLEASE, PLEASE, PLEASE
15. DIALOGUE
16. BLINT'S TUNE
    (MOVEMENTS 1-17)

 ポップス、ロックの世界に限らず、音楽の世界では必ず奇作、迷作なるものが存在します。特にこの手の音楽は制作者本人の「思い入れ」が過剰にして成立されるものが多く、本人は大傑作と思っているものの、聴く側からすると「なんじゃこりゃ?」てなことになりがちです。
 しかし、こういった物が「隠れた名盤」「時代が後から追い付いてきた」と言われたりするから、音楽の世界は分からない物です。
 前置きが長くなりましたが、一応この事を踏まえてこのレビューを書いて行きます。(ちょっと長めの文章なのは、お許し下さい)
 ここで紹介する「ギズモ・ファンタジア」(原題:CONSEQUENSE)は発売当時、割と売れた方(英国で52位)です。10ccの分裂後、バンドの摩訶不思議なサウンドを担っていたといわれている2人の初めてのアルバムであるし、それだけ彼らに対する期待が高かった事の表れなのでしょう。
 しかし、3枚組の上、
豪華ボックス、20ページブックレットという「おまけ」が災いしたのか、コスト高のため、さっさと廃盤に。その後編集版が出たものの、その全貌は最近のCD化まで良く分からなかった代物でした。
 それがCD化され、日本盤ではオリジナルのまま(CDサイズに縮小されてはいますが)しっかりブックレットも付いています。さすが日本人、やる事が違いますな。
 して、夢にまで見たその内容の感想。
「なんだ、意外にポップじゃん!」

 本作は3部構成で、アナログAB面がギズモパートと呼ばれる彼らゴドレー&クレームが自ら開発した楽器(のアタッチメント、説明は本文下)「ギズモ」による万華鏡の様な音色によるもの。CDE面がミュージカル・パートと呼ばれる5人の人物によるドラマ。そして最後のF面がコンチェルト・パートとなる組曲が配されています。
 この3部構成からなる物語、ロック・オペラ(結構気恥ずかしい響き)の内容を解説書から抜粋すると、「自然の驚異であるハリケーンが異変を起こし、世界各地で災害を起こし、地球の破滅が迫る中、それを音楽で鎮める事が出来る冴えない男ブリントが奏でるコンチェルトにより、危機が去ると言う物語である」となっています。ミュージカル・パートの台詞が解れば内容も(きっと)理解出来るのだろうけど、
ハッキリ言って解りません(笑)
 でも、曲自体は難解という事は無く、先に指摘したように
「ポップ」です。また、その上で僕が前から偏愛の対象としている「作り過ぎ」感はたまらないほど度合いが高く、濃密です。それだけ作者の心意気が入っている証なのではないでしょうか。

 サウンドに関しては、ギズモの多彩な音色、ヴォーカル、コーラスの美しさは必聴です。
しびれるといった表現が良いのでしょうか、とにかく素敵。
 前半のギズモパート、音色の多彩さが表現の多彩さとなっていて、自分達が開発した楽器(装置)でやってる分、
気合いが入っているのがうかがえます。今となってはシンセで簡単にこんな音出来ちゃうのだろうけど、簡単な分、音への思い入れがちょっと違う様な気がします。(本人達も解ってやってるらしく、シンセやメロトロンを安易に使う事を良しとしていなかったと言われています)
 ヴォーカル・コーラスの美しさは、DISC-1の15曲目「LOST WEEKEND」でその一端が証明されています。この曲はアルバム中の歌物ではハイライトと言える曲で、ゴドレーとアメリカのジャズ・シンガー、サラ・ヴォーンの
とろける様なヴォーカルと前述のしびれる様なコーラス。もう言葉では表せない程の素敵な曲。
 そして本作最終曲の組曲、冴えない男ブリントによるコンチェルトは、ギズモの音色と美しいメロディで構成されており、彼らのメロディ・メーカーとしての才能と音色のセンスが見事に結晶されています。
 
 ミュージカルパートの台詞さえ解ればもっと面白く聴けたでしょう。でも、この作品が復刻された事自体にとても意味があると思います。洋楽でも邦楽でも、この手の自己の世界を切り開いた作品群がもっと出て欲しいものです。
 それに、面白そうな作品と思ったら(どんなものでも)聴いてみるのが一番だと思います。
自分の知らない世界を聴くのもまた音楽の楽しみでもあります。
 

 ギズモ(ギズモトロン)とは・・・ギターのピックアップ部分の下部、ブリッジの部分に装着し、中でモーターにより回転する6弦分の歯車が弦を引っ掻いて、ヴァイオリンの様な持続音をギターでも得られるようにした装置。

 開発者はこのアルバムの制作者、ケヴィン・ゴドレーとロル・クレーム。72年頃からマンチェスター工科大学の協力のもとで開発された。
 後に商品化されたものの、ギズモを装着しただけではこのアルバムや10ccのアルバムで聴かれる様な音は出ず、ギズモで出した音を基にエフェクト処理等、スタジオで加工したのでは無いかとの説が一般的。
 ムーンライダースの鈴木慶一氏によれば、商品化されたものは、モーターの回転音をギターのピックアップが拾ってしまってそっちの音の方が大きく鳴ってしまい、使い物にならなかったと発言しています。


 

DATA
ディスク番号はUICY-9170/1
\3466と、ちょみっと高めですが
変な楽器好きな方や
面白い音楽好きな方は
ぜひ、聴いてみて下さい。