第2回目

ASIA

ASTRA
1985年発表(イギリス)

 いわゆる「バカテク」(死語)バンド、「スーパーグループ」エイジアの3作目。前2作と比較し、コンパクトになった印象がかなり強く、壊滅的に売れなかったアルバムのため、非常に地味な印象が強い。だけど、僕はこのアルバムを支持したい。確かに、現イエス(当時元)のスティ−ブ・ハウ(G)が抜け、戦力ダウンがあったかもしれない、しかしこそ、ビッグネ−ムが抜けたことによるおかげで、逆に他のメンバ−が俄然やる気を出したと思うのだ。(他のメンバーもビッグネームだけど)

 なにせウエットン節(VO,Bのジョン・ウェットン、メインのソングライター)全開、気を使うメンバーが一人減って意見が出しやすくなったか、自分の理想とする4分間ポップスに王手がかかったか、とても(良い意味で)饒舌になっている。
 ここで言う饒舌とは、器楽的な饒舌ではなく
楽曲的な饒舌ということであり、テクニックを持つ良い演奏者が自分の存在を示すだけの器楽的な技巧を押さえ、楽曲を支えるためにその技巧を使用することが、その曲の持つ魅力をさらにパワーアップさせていくためにどれだけ重要なのかをここでのジョン・ウェットンは示している。(別に技巧を示すことは僕は否定しない、ただ、そう言ったことが魅力になる楽曲とそうでない楽曲があることもまた事実である。)

 例えば前述のスティーブ・ハウのソロアルバムの例では、彼にとってはやはり「ギター」ということが重要視されるため、そのことを主眼に置き、なまじっか変に本人が歌を歌っているアルバムよりは「ギター」を歌わしているアルバムの方がやっぱりよろしいと思われる。(1stを除く)
 彼の技量に対する思いはウェットンの目指す4分間ポップの中では収まり切らなかった。まあ、このあたりは彼らのスタンスの違いなので肯定も否定もできない。事実、その後のジョン・ウェットンのソロアルバムではさらに「楽曲」に主眼が置かれている。(その分
とっても地味になってしまったが)

 曲を見てみるとやはり
ポップだ。前2作(特に1作目)に見られたプログレ風な部分は鳴りを潜め、曲がコンパクトになっている。そしてギタリストが変わった影響だろう、ハウでは鳴らすことの出来ないギターの音色がアルバムに現れる。
 新加入のギタリスト、マンディ・メイヤーは他のメンバー3人、そしてハウよりも年齢が若く、(若けりゃ良いってもんでもないが)そのことがバンドに加えた影響は結構大きいと思う。よりそれだけハードなポップに近くなっていて、エイジアがプログレの呪縛から解き放たれた作品だ。(ファンは
「ガッカリ」が多かったのかな?)

 1曲目の"GO"に始まり(これがまたイイ曲)、昔のエイジアの派手派手な変にエコーのかかった音処理は少なく、そこに新味を感じつつアルバムは進んで行く。ウエットンの会心作 "VOICE OF AMERICA"、メチャポップな"WISHING"等の明るめな曲、オーケストラを導入した(オーケストラ・アレンジはE.L.Oのアレンジもしているルイス・クラーク)"ROCK AND ROLL DREAM"、当時らしい文明批評(?笑)の入った"COUNTDOWN TO ZERO"、"AFTER THE WAR" と従来のエイジアには無い詞の部分での充実も計られている。
 でも、本人の期待の大きすぎる、そしてまた意欲的すぎる作品は評価されにくいものなのね、僕はそういう作者の
「がんばりすぎて自滅」または「やりすぎ(作り過ぎ)で評価されにくい」作品は大好きです。だって、そういう作品こそ、作者の人柄、人間性が現れるものがあるとおもいませんか?(非常に偏った見方かも)

 まぁ、ゴタゴタ続きのために時流に乗れなかったせいもあり、前述のとおり売れませんでした、しかし、彼のしたかった「エイジア」の方法論はしっかり出てます。でもこのアルバムで行き着くとこまで行った感もあり、彼はちょっとした再結成の後ソロの道を歩みます。
 とにかく、聴いてみてください、ヒットした前2作に負けない(売上以外は勝利していると思う)彼のポップワールドが大展開されてます。


全曲、作詞作曲はWETTON/DOWNS。
カヴァーイラストも前2作同様、ROGER DEAN
日本盤、輸入盤ともにCDで出てます。