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「異邦人」の大ヒット、その後の作品が地味なために所謂「一発屋」的印象で語られる事の多い彼女の「異邦人」を含むデビューアルバム。
このアルバム、たしかにその歌が入ってる事でヒットしたアルバムなんだけど、よくある「シングル以外は捨て曲」という事は無く、トータルなアルバムとしても聴く事の出来る素晴らしいアルバムです。
彼女の詞、曲を含めたサウンドは、当時の日本の音楽界には珍しい(今でも珍しいかも)本格的な中近東・南欧的な異国情緒に溢れ、彼女の伸びやかな素晴らしい声とあいまって異国の風、空気を聴く人に感じさせ、映像をも喚起させます。
そしてこのアルバムのもう1人の主役が編曲者の萩田光雄。とても素晴らしい仕事をしています。曲想を高める全編に渡るストリングスの美しい響きは、一言では言い尽くせません、歌謡曲のストリングスアレンジの中では最高峰の部類に入るのではないでしょうか。「異邦人」のあの印象的なイントロを思い出せば、皆様納得の行く所だと思います。また、ストリングスだけでなく久保田の伸びやかな声質を活かした空間のアレンジも絶妙です。
この素晴らしいアレンジもやっぱり、曲が良くなければ意味がありません。その点でいえば、彼女の曲は同時代の渡辺真知子、八神純子等と比較して(彼女達は多分に都会的なセンスなので、一様に比べるのにはちょっと難があるのですが)、一歩抜け出ていると思います。
どの曲もとても良いのですが、5曲目の「ギター弾きを見ませんか」は、アコースティックギターとシンセ(音色が最高)だけという簡素な編成が逆に彼女のヴォーカルを浮き出させてとてもいいです。「異邦人」のシングルB面にもなった「夢飛行」は歌謡曲テイストのアレンジがとても活きていて、特にシンセが良い味を出してます。
そして最終曲「星空の少年」はアルバム内のベストトラック。せつなさと憧れ、哀しさの同居する歌詞とメロディをストリングスが曲想を高めまくっているのですが、過度にドラマティックにならず、どこか落ち着いた印象で、もう死んじゃうぐらいたまりません。特に中音域の弦の音がたまらないです。
なんか最後で文章が破たん気味(笑)になりましたが、とにかくこのアルバムは良い!今のポップスシーンには皆無な異国情緒、(生)ストリングスの響きがいっぱい詰まった作品です。絶対に聴いて損はないと思います。
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