第16回目

N氏の天球儀
難波弘之


1.時間創造
2.16世紀の空想少年
3.SLOW DOWN〜流れゆく愛
4.薔薇と科学
5.火の洗礼
6.迷える箱舟
7.天球儀の人々
8.静寂から5番目の革命
9.20世紀の夢想少年
10.TROPICAL EXPOSITION
  (再発時ボーナストラック)

 日本プログレ界の大家(?)というか、一般的には山下達郎のレコーディングメンバーとしてや、アニメのサントラ等で知られているキーボーディストである彼の5枚目のアルバム。

 彼の音楽のユニークな所は、所謂「プログレ」という音楽ジャンルの枠のなかで収まらない
ポップセンスで、大作と言われる10分以上のインストものにおいてもその辺りが一本筋が通っている。その意味で、本作は彼が過去のアルバムからやって来た事が一応の完成型を見たアルバムだと思う。
 
 特にアルバムの中心をなす6曲目のインスト「迷える箱舟」は中間部分多少タルイ所があるものの、非常に良い出来となっています。
 このアルバムの主題は当時の帯に書いてもあった「科学が錬金術(ロマン)だった16世紀から今日までのYesterdays-Tomorrow」。このコンセプトが作詞の森雪之丞との見事なコラボレイションに良く表れています。
 それに、コンセプトアルバムといっても、その事を大上段に振り回しておらず、あくまでも曲想を高めるための物であって、そのこともこのアルバムを非常に聴きやすいものにしています。
 そして前作から参加した(正確に言うと一つのイメージアルバムを含むが)作曲が出来て
歌えるベーシストの小室和之の影響か、歌ものがさらに充実し、ポップ化に拍車がかかっています。また、小室はBASSの方も達者で、難波のキーボードに負けない存在感が前作よりもさらに増し、その事も難波にとっていい刺激になっています。以上の事を加味して聴くと、5曲目「火の洗礼」はこのアルバムの歌ものではベストトラックでしょう。プログレとポップの交わり具合がとても秀逸。BASSもメチャ格好いいし
 
 この後、難波はアルバムを「SENCE OF WONDER」名義にしてもっとポップ化に拍車のかかったアルバムを2枚出します。それもまた良いのですが、プログレ者はメジャーに成れないのですかね、曲のクオリティと世間の評価とは一致しないのが
めたくそ残念です。

DATA
BVCK-27080
ボーナストラックは12inch シングル
「WHO DONE IT?」に収録。