THE INNER MOUNTING FLAME
(内に秘めた炎)
THE MAHAVISHUNU ORCHESTRA

1971年 アメリカ



1. MEETINGS OF THE SPIRIT
  精霊の出会い
2. DAWN
  夜明け
3. THE NOONWARD RACE
  ザ・ヌーンワード・レース
4. A LOTAS ON IRISH STREAMS
  伝説の樹ロータス
5. VITAL TRANSFORMATION
  ヴァイタル・トランスフォーメーション
6. THE DANCE OF MAYA
  ザ・ダンス・オブ・マヤ
7. YOU KNOW,YOU KNOW
  ユー・ノウ、ユー・ノウ
8. AWAKENING
  目覚め

 

 「フュージョン」のイメージはどんなものなんでしょうか、場面場面に受け入れられやすいグッド・ミュージック(超偏見!)の様な(T-スクエアとかね)イメージをもたれる方が多いと思います。ワールドミュージック、ポップス、ジャズ等の垣根を越えた気持ち良い感じの融合形態的な感じですね。
 フュージョン(またはクロスオーバーと言われていた)の言葉が示す通りに「融合」とか「ジャンルを越えた」的意味合いもあるのでそれもまた良しなんですが、1969年前後ではもう少し過激な感じで使われた言葉でした。
 当時ロックの世界はもうごった煮状態、様々な要素ジャズ、クラシック、民族音楽とあらゆるジャンルの要素がロックにぶち込まれ活気を呈していました。
 その中でジャズはその活気から取り残されている状況があったのですが、その中から若い世代がロックへの接近を計り、新しい要素を取込もうとした結果が「フュージョン」であり「クロスオーバー」と言われる行動だったのです。

 その頃のモノから、ウチが取り上げるのがこの本作です。超絶ジャズギタリスト、ジョン・マクラフリンが1971年に結成したグループで、英国人の彼がアメリカに渡り、マイルス・デイヴィスの所謂「電化マイルス」時期に参加し重要な役を果した後にグループを結成しました。
 この本作、デビュー作ならではの妙にハイテンションな勢いと、この時代の渾沌を突き抜けようとする、それでいて渾沌とした状況下、空気を如実に反映した作品になっています。
 グループ名の由来はマクラフリンが心酔するヒンズーの思想家スリ・チンモイから彼に貰った法名が由来で「マハ」は創作者と言う意味、「ヴィシュヌ」はヒンズーの最高神の名前で、新しい音楽を創造して行こうという彼にとってうってつけの名前。

 サウンドの核はもちろんマクラフリンのギターなのですが、他のメンバーもまた「いっちゃってる」感じで異様にテンションが高く、聴いていて疲れる(笑)様な印象も。その分、手に汗を握る様な濃ゆい曲展開。それでいて曲が破綻していないのだから凄いです。
 ファズかかりまくり弾きまくりのギターの他(今聴いても新鮮)、もう1つのリード楽器バイオリン(ジェリー・グッドマン)の存在がさらに演奏に緊張感をかけ、時によってはギター以上の存在感が聴き取れます。このヴァイオリンを導入した事で演奏のテンションと音色の幅が広がりました。ギターだけでは出し得ない音とギターとのまさに「フージョン」が聴いていてたまりません。
 変拍子をものともしない「千手観音」、「タコ足配線」の異名をもつドラマー、ビリー・コブハムがまた凄いの一言。こんな(後2人いるけど)メンバーの揃ったバンド、聴いてみない手はありませんぜ旦那!。
 全編インタープレイの応酬かと思いきや、4曲目はアコギとピアノ、ヴァイオリンのメロウな作品もあったりしてグー。まぁ基本的に訳の解らん気持ち良さのド変拍子が体験できます。
 ロック側からのリスナー、70年代ロック・プログレ・ハードロック系統が好きな方にぜひお勧め。