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明和電器では「経理のヲノさん」として親しまれている(笑)ヲノサトルの最新作。
彼の作風は、基本的な所はサンプリングポップ的な扱いなのだろうけど、何かが違います。
ある種、一般に言われているサンプリングを主体としたポップを生業としている人達はどちらかと言うとクラブ寄り(クラブミュージックまたは渋谷系的)の傾向が強く多分にヨーロッパ方面からのアプローチで曲を構成しているんですが、彼の場合は要素としては渋谷系テイストがあるのものの、
クラブ傾向が非常に少なく、よりスタイリッシュ、スノッブ臭い(別にそれはそれで好きなんで否定的な意味ではありません)サンプリングよりも緩い構成が魅力。モンド/ラウンジ等のごちゃ混ぜがイイ塩梅なのです。
比較としてはFPM(ファンタスティック・プラスティック・マシーン)が上げられると思います。ヨーロッパとボサノヴァを通過したスタイリッシュなエキゾシズム・スノッブ臭が売りで対極な感じです。
FPMの場合はモロにサンプリングポップの王道。そしてクラブ傾向が強いですね。だからといってそれだけに終わってませんが。
ヲノサトルはサンプリングのセンスの上手さの上に作曲センス・アイデアが豊富にあるんですよね、そこがFPMと違う所です。それだけで曲の自由さがずいぶん違います。まぁ、そのせいか、タワーレコードでの置き場所が違ってきて探しにくいのが難点。
で、この本作は彼のエキゾな感覚全開です。もともとそういった傾向が強かったんですが、ここまで甘く、とろける様なエキゾシズムにビートが絡むと、部屋全体が南国、そして電子音によるエキゾシズム。
そして付いている副題「電子時代の地誌学、または地球温暖化現象の影響に関する恋愛心理学的考察」なんて、この狙った様な疑似科学的モンド感がたまりません。
1998年のアルバム「ビキニムーン」では宇宙空間に漂うエキゾシズムが描かれていました。本作では楽園を宇宙ではなく地上に設定しています。
楽園と言う意味で、人類が夢を持てていた頃の宇宙と南国幻想には共通する物があり、未開な物に対する人間の想像力を刺激する憧れや好奇心がそれにあたります。そんな夢の在り処を再び甦らせるような音楽がここにあります。ぜひ、音による夢のある幻想旅行を、そして現実に立ち返る寂寥感も味わってみて下さい。それが病み付きになれば、貴方にもロック以外の地平が見えて来ます。
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