ズィンク・アロイと朝焼けの仮面ライダー
ZINK ALLOY AND THE HIDDEN RIDERS OF
TOMORROW OR CREAMED CAGE IN AUGEST

1975年 イギリス
MARC BOLAN & T.REX


1. VEENUS LOON
2. SOUND PIT
3. EXPLOSIVE MOUSE
4. GALAXY
5. CHANGE
6. NAMELESS WILDNESS
7. TEENAGE DREAM
8. LIQUID GANG
9. CARSMAILE SMITH & THE OLD ONE
10. YOU GOT TO JIVE TO STAY ALIVE
       - SPANISH MIDNIGHT
11. INTERSTELLAR SOUL
12. PAINLESS PERSUASION V
    THE MEATHAWK IMMACULATE
13. THE AVENGERS(SUPER BAD)
14.
THE LEOPARDS FEATURING
     GARDENIA THE MIGHTY SLUG

  こちらは邦題。
1. ヴィーナスの美少年
2. 悪魔のしもべはのろまが嫌い
3. 熱く激しく爆発する唇
4. 銀河の国へ
5. 変革はお陽さまの如く
6. 名もなき狂人
7. ティーンエイジ・ドリーム
8. いやな液体
9. 懐かしのカースマイル
10. ジャイヴで行こう
   /燃えるスペインの今宵
11. 星空のソウル
12. 破滅への希望
13. 僕達の復讐者(ひどいもの)
14. 豹の歌/主演:くちなしの花と
            なめくじ野郎


 一般的にグラム・ロックというイメージで語られるアーティストの一方の雄であるT.REX(もう一方はDAVID BOWIE)の所謂衰退期寸前のアルバムとして評価の低い本作。この当時グラム自体のブーム(実態としてあったのか解らない)も終焉寸前。その中でアーティストとしてのエゴに悩むT.REX=MARC BOLANの当時の心境が表されているのがこのアルバムの魅力です。
 グラムのきらびやかなイメージの過剰な増大、今までの魔法を無理に再生させたようないびつ感。それが全盛期のサウンドに輪をかけてこってりと煮込んだように濃ゆいアレンジと一緒になり、さらに破滅的な雰囲気も漂い、グラムの終焉という空気をまさに体現した様な作品として評価するのが僕の見解。

 当時、MARC BORAN自身がヤク中であった事が、その様なサウンドになってしまった原因とされてはいるのですが、その事はこの破滅的な雰囲気の直接の原因では無いと思います。
 やはり彼も自分の方向性、アーティストとしてのエゴに悩んでいたのだと思います。この当時はそれを「付け加える」事により乗り切ろうとしたのがこのアルバムなのではないでしょうか。曲に対するイメージの肥大化です。
 次作「BOLAN'S ZIP GUN」では贅肉をそぎ落した様なサウンドになっているのは「付け加える」事が失敗し、今度は「減らす」事によって自分を取り戻そうとした(その作戦は割と功を奏しました)のでしょう。

 本作で彼が考えた新機軸として、所謂「黒っぽい」フィーリングの導入が上げられ、それが微妙に見える事が重要なファクターとなっています。前作においてもそんな「黒っぽい」感じの曲もありましたが、そこではアルバムの中の一曲でしかなかったのが、本作においてはコーラスワークに女性を参加させる事で多分にソウルフルな印象を持ち始め、ストリングスも以前よりも上面を滑る様な感触になり、そしてギターも彼特有の奏法を駆使していつつも、音色的にも軽くなってます。その三つの要素のからみ合うグルーヴ=BOLAN的な黒っぽさで全体的に歌を活かそうとする方向に進めたかったのではないでしょうか。
 ただ、全体的にプロダクション的に凝り過ぎました。(僕は好きですが)その事が楽曲に今までの元気、張りが無くなったとされるの原因だったと思います。
 でも、そんな時期の作品だからこそ僕は好きになれるんですね。それまでには見られなかった人間性の発露。
 魔法使い(MARC BOLAN)が魔法を使えなくなり、人間として徐々に歩み始めた第一歩が黒っぽさの導入であり、また、過剰な付け加えだったのでしょう。そういうところに僕はとても魅力を感じます。
 
 一番の聴き所は7曲目、アナログではA面最後の「TEENAGE DREAM」です。 彼の活動を通じ唯一無比と言える程のバラードナンバーで、ストリングスのアレンジも秀逸ながら、ギターソロがまた素晴らしい。技術だけで無い、音数が少なくてもこれだけしびれ上がるソロもまたとないと思います。そんな名曲でも不安感というか焦燥感というかそんな物がアルバムのトーンから読み取れてしまいます。逆にその事がこの曲を名曲にしているのかもしれません。



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