|
世に「変態」と冠の付くミュージシャン、アーティストの中で変態ギタリストの割合はどのくらいいるのでしょう。その変態の中でも3本の指に入るのはこの訪本編の主人公、Adrian
Belewです。
彼はエフェクター等を駆使し、ギターで様々な音が出すのを真骨頂としています。テープの編集では無い、素のままでだせる逆回転風ギター、ヴァイオリン、はてはゾウやニワトリ、サイの鳴き声までギターで表現します。とにかくギターで変な音を出す事に燃えてる様なお方です。
経歴は、最初にフランク・ザッパのバンド、そしてデビッド・ボウイのバックバンド。その後再結成キング・クリムゾンに参加します。そのクリムゾン時代の参加アルバムは一般的に評価が分かれてまして、僕は結構好きなのですが、音に無茶苦茶な暴力性とか、深遠さを求めてる人(つまる所、70年代のクリムゾンが好きな人)には至って不評。彼がその戦犯(笑)扱いをされてしまいます。
その時期に色々セッションにも参加していて、トーキング・ヘッズや坂本龍一等の当時とんがっていた感じのアーティスト達に重宝されました。彼の参加アルバムを聴くと、一聴して分かる彼のギターの音はホント目立ちまくります。それだけ特徴のある音です。
そんな彼が世に問うた初のリーダーアルバムなんですが、発表当時は先ほどの戦犯扱いをされていた時期と重なり、評判はそれほどでもありませんでした。ああ可哀想。
しかしながら、その内容は僕がこの手の人に求める「やりたい事をやっている作品」。トリッキーかつ魅力的なギタープレイ満載はもちろんでその上、彼の音楽に対するバランス感覚が良く出ていて、自分が影響され通って来た作品群の特徴が素直に、時にはひねって曲に反映されています。一聴して解るのはビートルズのライン。その後のアルバムではもっとそれっぽく、影響をモロだししています。
その他にもニューウエーブっぽい曲やオーソッドックスそうで実は変な展開な曲もあるんですが、姿勢はメロディ重視。この手の変わったギタリストってインスト物(アンビエントっぽい曲もやってます)が多かったりするんですが、彼はあくまでも基本はポップ。
また、特筆すべきは彼が元はドラマー(本作でも叩いてます)だと言う事もあり、リズム感、解釈のセンスがとてもいい。その事もまたこのアルバムの出来を素晴らしくしています。
ただ、ヴォーカルにちょっとクセがあって唄い回しが鼻に付く人もいるかもしれませんが、ヘタウマのヘタ度合いがちょっと高め位の感じなので逆にほのぼのしていて僕は好きですね。(この唄い方がまた戦犯の原因でもある様です)
前述した通り、本作の出来よりも取り巻く状況がこの素晴らしい作品を埋もれさせる事になりました。名声のあるグループに中途で入る事の難しさ、人の思い入れと言う物は過剰にして聴く人の耳までも混乱させてしまう(他のグループで昔、僕もありました)物だと言う事を、このアルバムについて書いていて思いました。
|