秘法カバラ〜宇宙の謎と人間の知恵 2
「樹」

カバラの奥義と真理を秘めた一本の宇宙樹、まさにカバラの象徴である セフィロトの樹について、第三章「象徴」。そして数々の暗号により 隠された奥義と真理の存在を知る、第四章「暗号」。





図説1 ペンタグラム
pentagram

第三章 「象徴」
カバラは文字によって記された理論ではない。図形化された思想体系である。
その全体像を示したものが「生命の樹」または「セフィロトの樹」である。(図2参照) これは、輝くセフィロトと呼ばれる一○個の球体が三本の柱に配置され それを二二の径が結んでいる図形である。セフィロトの球体には一から一○まで の数値がそれぞれ割り当てられ、各々のキーワードを持っている。
1・ケテルは「王冠」で象徴され、人間の頭上にあって大宇宙との接点である。 さらには創造への源泉、純粋存在であり生命の源泉である。
2・コクマーは「知恵」で象徴され、男性原理の象徴として「至高の父」という別名を持つ。 動性の象徴でもある。
3・ビナーは「理解」で象徴され、「至高の母」の別名がある。 すべてのものに形を与えるのである。コクマーとは対の関係にある。 ケテルとティファレトの間には非セフィロトとしてダート「知識」が隠されている。
4・ケセドは「慈悲」で象徴され、純粋にして聖なる宇宙法則 としての愛のヴィジョンを意味している。

5・ゲブラーは「神の力」を象徴し、正義のための破壊的力を持つ「天界の外科医」 というイメージを持っている。
6・ティファレトは「美」で象徴され、生命の樹の中央に位置して図の上下を調和する立場にいる。 また生き物に生命のエネルギーを与える。
7・ネツァクは「勝利」のシンボルであり、「豊穣」の意味を持ち、 堅実と勇気と見ることもできる。
8・ホドは「栄光」で象徴され、物質的形態の「鋳型」と見ることもできる。 カバラにとって、型とは内的存在の具現とされている。
9・イェソドは「基盤」で象徴され、アストラル体(霊魂と肉体の中間にあるもの)を意味している。 カバリストは前存在物質という言い方をしている。
10・マルクトは「王国」を象徴し、五感を通して知ることができる いわば「物質的王国」である。
セフィロトの三本の柱とは、ビナー、ゲブラー、ホドを支える「峻厳の柱」。 コクマー、ケセド、ネツァクを支える「慈悲の柱」。そして中心のケテル、 ティファレト、イェソド、マルクトを支える「均衡の柱」である。
このセフィロトの樹の「宇宙図」のなかで人間が通常知ることができるのは 下方の四分の一の部分のみである。 人間はケテルめざして「未知への旅」を続けるのである。もう一つユダヤ、 キリスト教系の象徴的、護符として五芒星(図1参照)がある。これは古代ユダヤの王、 ソロモンの紋章でありペンタグラムとも呼ばれる。セフィロトの樹が大宇宙の「宇宙図」だとすると、 このペンタグラムハは人体の四肢と頭部、人間の五感、 五大元素(四大元素である地、水、風、火に宇宙の気である霊的エネルギー、エーテルを加えたもの。) を表わしている。ペンタグラムは魔術的に表現した人間の形、つまり小宇宙なのである。
第四章 「暗号」
カバラの秘術を書いた書物が多く出版されているが、それらの書物を普通に読んでも、 カバラの秘術を解き明かすことはできない。
なぜならカバラの秘術はそれらの書物の文章に暗号として組み込まれているからである。 暗号を解く方法を知らないまま、ただ書物を読んでも秘術を知ることはできない。 そのため書物となっていてもカバラの秘密は万人に公開されているわけではないのである。 その暗号として次の三つが知られている。
数値変換法(ゲマトリア)
ゲマトリアとは、同じ数値を有する語句同士を関連させることによって、 詩や語句の合計された数値を分析して、その詩や語句に隠された本当の意味を知る方法。 つまり、違う場所に書かれている文章を隠された数字によって結びつけて隠された本当の 意味を知る手段である。聖書などは、この方法で書かれている部分が多くあるといわれる。
省略法(ノタリコン)
その由来は速記を意味するラテン語のノタリウスからきているといわれる。 この方法で一般的に行われたのが、長い文章を縮めて単語にしてしまうことである。 「アーメン」などの祈りの言葉は、この方法によって作られたもので 「アドナイ・メレク・ナーメン」の単語の頭文字を合成したものである。 その意味は「主そして信仰に賢き王よ」となる。 この方法で縮められた単語から逆に文章を導き出すこともできるのである。
文字換置法(テムラー)
これは比較的簡単な方法である。それは文字をある法則や規則的な方法で入れ代えたり、 不規則もしくは規則的な方法で文字を並べそれを特定の表によって 解読できるようにした暗号である。


またテムラーはアナグラムの方法として、多くの言語で綴り遊びとして使われる 例としては「EVIL(悪)」という言葉は逆にすると「LIVE(生きる)」 という言葉になる。
この三種類の方法を使えばカバラ文献から隠された意味や事柄などをある程度知ることができる。 しかし、これらの方法は記された予言や奥義の秘密などを知るためにしか使えないのである。
そこで、すでに説明した三種類の方法をより高度にしたものに「数秘術」と呼ばれる秘術がある。 これは文字に対応する固有の数値の組み合わせがすべての本質を示しているものとし、 その本質を正確に分析することでもっとも可能性の高い未来を予測する方法である。 ピタゴラス学派の「数秘学」と同根のもので同様の思想は洋の東西を問わず見受けられる。
暗号を解く方法を知り、学問を学び世界に奉仕する心を持ち、 精神を高める修業をした者だけがカバラの秘術を自由に使えるのである。 そしてカバラの秘術を探究し、それを解明しようとする者達をカバリストと呼ぶ。



図説2 セフィロトの樹
sephirothic tree