寄生虫 追試対策
○原虫類
▼消化管寄生
赤痢アメーバ(感染方法、症状)
クリプトスポリジウム(知るところ)
▼より真菌に近いもの
ニューモシスチスカリニ(カリニ肺炎の発生機序、予防)
▼日和見感染(2種。内一つにつき、しるところ)
▼眼症状(2種。発生機序)
▼マラリア原虫(4種書き、致死的症状を呈する1種について、その症状)
▼自由生活アメーバ(脳症状、角膜炎を呈するもの一種ずつ。知るところ)
○胞子虫類
トキソプラズマ(感染方法)
○吸虫
横川吸虫と肝吸虫(感染源、寄生部位、病害性)
ウエステルマン肺吸虫、宮崎肺吸虫(感染経路、症状で最も違う点、発症機転)
日本住血吸虫(感染経路と、それに伴う症状)
○条虫
有鉤条虫(治療法)
小形条虫(駆虫薬を反復投与する理由)
マンソン裂頭条虫(マンソン孤虫について知るところ)
▼病院外来に持ち込まれる可能性のある条虫4種(肉眼による鑑別点を図示)
○嚢虫
有鉤嚢虫(知るところ)
○包虫
▼2種の違い
○線虫
ヒト蛔虫(多くなってきた理由、病害性)
▼幼線虫移行症(1種。簡単に説明)
▼免疫不全時、注意する線虫
▼好酸球性髄膜脳炎を引き起こすもの(感染経路、症状)
○鈎虫
▼2種(感染方法、代表的症状、発症機転)
○その他
恙虫(日数も含め、発症経過)
ライム病(感染経路、症状)
▼遊走性限局性皮膚腫脹を発現する寄生虫症(2種、診断法)
有棘顎口虫
マンソン孤虫
▼胸部レントゲンでcoin lesion(銭形陰影)の見られる寄生虫(知るところ)
アフリカ 睡眠病 |
ガンビアトリパノソーマ Trypanosoma brucei gambiense |
ツェツェバエ |
|
ローデシアトリパノソーマ Trypanosoma brucei rhodesiense |
|||
中南米 シャガス病 |
クルーズトリパノソーマ Trypanosoma cruzi |
サシガメ |
眼瞼浮腫(Romana' sign)心筋炎、巨大食道、巨大結腸 |
内蔵リーシュマニア症 |
ドノバンリーシュマニア Leishmania donovani |
サシチョウバエ |
肝・脾腫大→死 |
皮膚リーシュマニア症 |
熱帯リーシュマニア Leishmania tropica |
潰瘍、結節 | |
皮膚粘膜 リーシュマニア症 |
ブラジルリーシュマニア Leishmania braziliensis |
潰瘍 |
○原虫類
▼消化管寄生
赤痢アメーバ(感染方法、症状)
☆感染方法
嚢子の経口摂取
水、生野菜、昆虫、嚢子保有者(同性愛者)、保虫動物
☆症状
腸アメーバ症
下痢、粘性便、粘血便
大腸、小腸に壷型潰瘍を形成。
腸管外アメーバ症
転移部位に膿瘍を作る
血流、リンパ流に乗って、肝・肺・脳・脾・生殖器・皮膚などに転移。
特にアメーバ性肝膿瘍が多い。
クリプトスポリジウム(知るところ)
日和見感染。水道水から感染したりする。
成人より、小児に多い。
健康人は無症状か、軽い下痢を示すのみ。(放置しても2〜3週間で自然治癒)
症状:腹痛、栄養失調、体重減少、激しい水様性下痢
小腸粘膜(微絨毛内)に寄生。
▼より真菌に近いもの
ニューモシスチスカリニ(カリニ肺炎の発生機序、予防)
平素は無害で、常在しているが、免疫不全に伴って発症する。(日和見感染)
肺胞上皮に寄生。カリニ肺炎を起こす(→窒息死)。
☆予防
免疫抑制剤、抗ガン剤使用の際、
サリファ剤+トリメトプリンまたはピリメサミンの合剤を、治療量の1/5経口投与
▼日和見感染(2種。内一つにつき、しるところ)
抗癌剤、免疫抑制剤、抗生剤などの大量投与
AIDS患者
▼眼症状(2種。発生機序)
クルーズトリパノソーマ
サシガメ(昆虫)の刺し傷を掻くとき、皮膚上に排出されたサシガメの糞の中のトリパノソーマが傷口にすりこまれる。これによって侵入。血液から組織へ。
眼の付近にRomana' sign
カステラーニアメーバ、多食アメーバ
→アカントアメーバ角膜炎
コンタクトレンズ保存液中に発生。
角膜の微小な傷からアメーバが侵入し、増殖。
▼マラリア原虫(4種書き、致死的症状を呈する1種について、その症状)
1.三日熱マラリア原虫
2.四日熱マラリア原虫
3.卵形マラリア原虫
4.熱帯熱マラリア原虫
発熱、脾腫、貧血
特徴的症状:
1.破壊される赤血球が多い(老若を問わず、赤血球を攻撃するため)
2.感染した赤血球が凝固し、脳や腎臓などの重要臓器の細血管を閉塞し、
その組織の酸欠、変性、壊死などを起こす。
▼自由生活アメーバ(脳症状、角膜炎を呈するもの一種ずつ。知るところ)
1.フォーラーネグレリア
原発性髄膜脳炎を起こす
水泳時、経鼻腔的に感染。
鼻粘膜→嗅神経→脳
潜伏期3〜7日、急激に発症
頭痛、発熱、中枢神経症状、昏睡状態、第10〜14病日で死亡。
2.カステラーニアメーバ、多食アメーバ
角膜アスペルギルスと混同しやすい。
○胞子虫類
トキソプラズマ(感染方法、症状)
1.ブタや羊の生肉の摂取(嚢子)
2.猫の糞便中のオーシストを経口摂取
3.胎盤感染(妊婦が初感染の時)
先天性:網脈絡膜炎、脳内石灰化像、水頭症、精神・運動障害
後天性:無症状のことが多い
○吸虫
横川吸虫と肝吸虫(感染源、寄生部位、病害性)
感染源:淡水魚(横川は特にアユ。肝吸虫は特にコイ、フナ)
寄生部位:横川は小腸、肝吸虫は胆管・胆嚢
病害性:横川は腹痛、下痢(腸カタル)。
肝吸虫は、食欲減退、下痢、胆汁の流れの阻止と吸着の刺激により発症
胆管壁肥厚、胆管炎、肝肥大、肝硬変、腹水
ウエステルマン肺吸虫、宮崎肺吸虫(感染経路、症状で最も違う点、発症機転)発症機転て?
1.ウエステルマン肺吸虫
感染経路:モズクガニ、サワガニ(第2中間宿主)の体内のメタセルカリアを摂取
また、カニを食べたイノシシの肉の摂取
症状:チョコレート色の血痰、咳、出血性気管支肺炎、脳肺吸虫症
2.宮崎肺吸虫
感染経路:サワガニ(第2中間宿主)の体内のメタセルカリアを摂取
症状:気胸、胸水貯留、好酸球増多
日本住血吸虫(感染経路と、それに伴う症状)
感染初期 | 人の皮膚を貫いて侵入 | かゆみのある皮膚炎 |
急性期 | 虫体が、門脈系血管内で、成虫になり、腸管壁に産卵を始める | 発熱、腹痛、粘血便、好酸球増加 |
慢性期 | 虫卵が諸臓器の細動脈に塞栓 | 虫卵周囲の炎症、肝腫大、肝硬変、 門脈うったい、腹水 |
ミヤイリガイ→セルカリアの経皮感染
○条虫
有鉤条虫(治療法)
硫酸パロモマイシンの投与をさける
虫卵が消化管に出てきて、自家感染を起こしてしまう
小形条虫(駆虫薬を反復投与する理由)
小形条虫は、幼虫が腸粘膜内に存在している。これらには駆虫薬は無効であるので、反復投与し、粘膜から出てきたものを順次駆除しなければならない。
マンソン裂頭条虫(マンソン孤虫について知るところ)
マンソン裂頭条虫は、ヒトの体内では成虫にならず、そのまま体内を迷入移行し、その部位に腫瘤を作る。(ヒトは待機宿主)
腫瘤は急に現れ、急に消失し、また急に別の場所に現れる。(遊走性限局性皮膚腫脹)
両生類、爬虫類、鳥類、ほ乳類(第二宿主)の体内のプレロセルコイドを摂取して感染。
▼病院外来に持ち込まれる可能性のある条虫4種(肉眼による鑑別点を図示)
日本海裂頭条虫 | 大複殖門条虫 | 無鉤条虫 | 有鉤条虫 | |
出てくる片節 | 連なってる | 連なってる | バラバラ | バラバラ |
運動能 | なし | なし | 有り | 有り |
生殖腺(子宮) | 1/片節 | 2/片節 | − | − |
− | − | 筋肉発達し、 厚みがある |
無鉤条虫より薄い | |
墨汁を入れて 見える子宮の分岐 |
− | − | 20本くらい | 10本くらい |
○嚢虫
有鉤嚢虫症(知るところ)
虫卵をのみ込むことによって感染。
六鉤幼虫が小腸内で孵化。血流・リンパ流に乗って全身へ。
脳に行くと:マヒ、てんかん、脳水腫
眼に行くと:網膜炎、視力喪失
皮下に行くと:腫瘤
虫卵を含んだ片節が排泄されず、壊れて虫卵が遊離すると、それらが小腸で孵化し、虫の数が膨大になってしまう。(自家感染)
○包虫
▼2種の違い
☆単包虫
1.単包条虫が発育したもの
2.発育は緩慢
3.娘胞嚢が存在
4.包虫砂が遊離している
☆多包虫
1.小胞嚢の集合体
2.割面:蜂の巣状、スポンジ状
○線虫
ヒト蛔虫(多くなってきた理由、病害性)
☆多くなってきた理由
1.有機農業、自然食ブーム→糞尿使用の復活
2.感染外国人の入国、海外での感染
☆病害性
1.幼虫の体内移行→出血、浮腫、一過性限局性肺炎像
2.蛔虫毒→胃腸障害、異味症、神経症状
3.機械的障害 腸閉塞
4.迷入による障害→胃、胆管、膵管、食道、気道、頭部、頚部、泌尿生殖器など
▼幼線虫移行症(1種。簡単に説明)
イヌ蛔虫
イヌ蛔虫は、人の体の中では成虫には発育できず幼虫のまま体内を移行し、種々の症状を引き起こす。
肝、脳などが障害をうけたり、失明したりする。
砂場で砂を口に入れるなどして、子どもがよく感染する。
▼免疫不全時、注意する線虫
糞線虫
免疫不全患者の場合、糞線虫の増殖が容易であるため、成熟した成虫から生じた幼虫が、腸管内で感染幼虫となり、腸壁に侵入したりなど、自家感染を起こしてしまうため。
▼好酸球性髄膜脳炎を引き起こすもの(感染経路、症状)
広東住血線虫
中間宿主:陸産・淡水産の巻き貝及びナメクジ(アフリカマイマイ)
待機宿主:蛙・淡水産のテナガエビ、陸産のカニ
○鈎虫
▼2種(感染方法、代表的症状、発症機転)
1.アメリカ鉤虫(経皮感染が主。)
皮膚→血流・リンパ流→肺(1週間発育)→肺胞→気管→喉頭→咽頭→食道→胃 →小腸上部
→大循環↑
症状:皮膚炎(幼虫)、貧血
2.ズビニ鉤虫(経口感染が主)
胃→小腸上部粘膜→小腸腔内
口腔・食道粘膜から侵入→若菜病
症状:悪心、嘔吐、腹痛、下痢
若菜病:咽喉頭部に激しい掻痒感、痛み、異物感、アレルギー症状
○その他
恙虫(日数も含め、発症経過)
2〜3日:刺し口が潰瘍になる。
7〜12日:発熱
第3病日ころ:発疹が全身に広がる
リンパ節が腫脹し、圧痛有り。肝脾腫大、肺炎、脳炎症状
ライム病(感染経路、症状)
媒介者:シュルツエマダニ、ヤマトマダニ
症状:慢性遊走性紅斑熱、発熱、頭痛
刺されたところを中心に、紅斑を生じ、遠心性に拡大。
周辺部は鮮紅色、浮腫状で、中心は退色傾向。
▼遊走性限局性皮膚腫脹を発現する寄生虫症(2種、診断法)
有棘顎口虫
皮膚の病巣部から虫体が摘出できれば確実。虫体摘出が出来なくても、生検材料で腸管が検出できれば診断可能。補助として、皮内反応、好酸球増加、免疫電気泳動法
マンソン孤虫
好酸球増加、IgEの上昇、免疫電気泳動法
▼胸部レントゲンでcoin lesion(銭形陰影)の見られる寄生虫(知るところ)
イヌ糸状虫
媒介者:アカイエカ
イヌを吸血するとき、ミクロフィラリアを摂取すると、カの体内で感染幼虫となる。
このカがヒトを吸血すると、ヒトに感染。(肺や皮下に寄生。結合織が増殖し、腫瘤を作る)