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○点滴量
大人用ドリップチャンバー:通常15滴/mL(1滴/秒で4mL/分)
小児用ドリップチャンバー:60滴/mL(1滴/秒で1mL/分)

○輸液量
通常は、尿量+700ml
で、普通は2000ml

詳しく言うと
輸液量=維持輸液(尿量+700ml)+補充輸液+欠乏量輸液
補充輸液:喪失体液に応じた輸液
欠乏量の推定:
 水分欠乏量の推定:
 健常時の体重(Kg)−現在の体重(Kg)
 健常時の体重(Kg)×0.6×(1−健常時のNa+濃度/現在のNa+濃度)
 健常時の体重(Kg)×0.6×(1−健常時のHt値/現在のHt値)

 Na+欠乏量の推定:
 体重減少量(Kg)×140(mEq/L)
 現在の体重(Kg)×0.6×(140−現在のNa+濃度)

○Kの投与
投与するときの濃度は、40mEq/L以下で、速度は20mEqを1時間以上かけてゆっくりと投与。
(1日に40mEq必要)

○輸液の適応
食べられない期間が2週未満では末梢静脈栄養法。それ以上なら中心静脈栄養法。
末梢から投与できるカロリーは1000Kcal程度まで。

○単位
▽mol 溶液1L中の溶質の質量(g)/溶質の分子量
▽mEq/L mM(mMol)×電荷数
▽mOsm/L(ミリオスモル) mM×粒子の数

○ブドウ糖
一日100gはブドウ糖を入れなきゃいけない。(蛋白の喪失を防ぐ。)
アミノ酸も一緒に入れとくとさらに蛋白の喪失を防げる。

○ナトリウム
60〜100mEqで食塩4〜6gに相当。

○血管痛・静脈炎を防ぐために
できるだけpHが中性に近い輸液を使う。
細い注射針を使い、太いところにゆっくり入れる。
輸液が冷たいと痛いことがあるので、人肌程度に温めておく。

○維持液類(1号液〜4号液)
基本的には、生理食塩液と5%ブドウ糖液の配合割合を変えることによって作られる。
生理食塩液の割合が多い1号液は電解質補給効果が大。
5%ブドウ糖液の割合が多いと水分補給効果が大きい。

点滴開始液(1号液):K(-)
細胞内液補充液(2号液):細胞内に多い電解質(K,Mg,HPO4など)を含む。
細胞外液の異常を修復しながら細胞内電解質の異常を正常化。
維持液(3号液):汎用される。
術後回復液(4号液):水の補給を目的とする。
腎機能の低下している高齢者や術後の患者さん、腎機能の未熟な新生児、乳幼児に適する。

○等張電解質輸液:電解質の浸透圧が体液とほぼ同じ
▽生理食塩水
血漿中の電解質のうち、陽イオンをすべてNa+に、陰イオンをすべてCl-に置き換えた組成。
細胞外液喪失時に使用。

▽乳酸リンゲル液
血漿中の電解質組成に最も近似した輸液。
代謝性アシドーシスを是正。(乳酸イオンが体内でHCO3-になる)
適応は、
外科的ストレスによる細胞外液の減少。(手術、外傷、火傷など)
急性的な異常喪失による細胞外液の減少。(下痢・嘔吐、消化管ろうからの廃液など)
無尿、乏尿の改善
末梢循環不全、中毒症によるアシドーシスの改善
血液性状の改善(ヘマトクリット、血漿膠質浸透圧の上昇など)

○低張電解質輸液:体液より電解質濃度が低い
ブドウ糖を入れて等張にしているが、実際にはブドウ糖は代謝されて水になるため、
低張液を投与したことになる。
細胞内液を含む体全体に水分を補給することができる。

○脱水
病気で食事ができない、炎天下で長時間作業したなど、体全体から水分が失われたとき:
細胞内まで水分を補給できるKN補液や5%ブドウ糖液
(体液が徐々になくなる→体全体の水分が喪失)

怪我や手術による出血や嘔吐、下痢などで体液が急になくなるときは、
まず細胞外液から失われる→生理食塩液、乳酸リンゲル液

ひどい嘔吐の場合は胃液が多く失われる→Cl-を多く含む生理食塩液を主に投与
激しい下痢では、腸液の成分であるHCO3-の代用となる乳酸イオンを含む
乳酸リンゲル液を主に投与。
怪我や手術により出血した場合、血漿の電解質組成に近い乳酸リンゲル液を投与。
さらに出血が多い場合は、血管内に水分を保持する働きがある
デキストラン製剤の投与や輸血。
ショックが起こった場合は、まず乳酸リンゲル液を投与。

○消化液の電解質組成
Na+濃度:唾液<胃液<膵液
K+濃度:その反対の順

ちなみに、出血量が25g/Kgになると命を失うといわれているらしい。


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