○1 死体現象
超生現象
個体としての死が成立しても、全身の組織細胞の生命活動が
同時に永久停止をきたすものでないために起こる現象。
特発性筋収縮、電気刺激による筋収縮、薬物による瞳孔反射、汗腺反応。
即時性死体硬直
恐怖を伴って、強度に緊張があった場合、死んだそのままの形で
硬直持続し、腐敗が遅れる。
個体死
循環、呼吸、脳中枢機能の停止。
脳死の判定
脳波(−)、瞳孔散大、自発呼吸(−)、心拍出(−)、脳循環(−)
死の確徴
死斑、死後硬直、腐敗(呼吸(−)、心拍出(−)、体温低下、反射(−)、蒼白)
死の徴候
呼吸停止、循環、筋弛緩、反射消失、体温下降。
<腐敗>
Casperの法則
空気の供給の多い地上で最も早く腐敗が進み、水中、地中では
空気の流通が少なく、その進行が遅れる。
○2 損傷
Messererの骨折
大腿骨などの骨折は、楔状を呈す。一般に力の作用方向は、
楔型の底辺側から頂点に向かう方向。
ポケット形成
交通事故などタイヤに踏まれた際によく見られる創の形。
創洞は浅く、下層からの剥離を伴う状態をいう。
○3 損傷による二次的傷害
交差性塞栓
心房中隔欠損症等で短絡した右心房・心室と左心房・心室
との間で生じた塞栓
1次性ショック
外来刺激に引き続いて起こり、血管床拡大による。
2次性ショック
外来刺激後、数時間から数日後に起こり、広範な組織破壊。
○4 異常温度
9の法則
全身を100とした場合の火傷の体表面積を算出する方法。
○5 焼死
外傷性喉頭浮腫
火傷などによってでき、これが呼吸道を閉鎖し、窒息の原因となる。
○6 生活反応
胸鎖乳突筋起始部出血
縊頚による死体所見に見られるもので、生活反応のひとつ。
死んでからは見られないものなので、生存中に首をつった証拠になる。
○7 頭部損傷
逆行性健忘
健忘状態を引き起こす原因となった外傷や疾患を受ける前に起きた
事柄についての健忘のこと。
脳ヘルニア
頭蓋内圧が異常に高まったため脳組織が一定境界を越えて隣接腔へ
かん入した状態をいう。脳損傷の二次的現象としてみられる。
対側打撲
脳挫傷において打撃面の反対側に損傷が生じる場合で、
頭蓋骨と脳の相対運動のために起こった損傷と、空洞化現象を
含めた圧勾配発現による損傷。
ビスマルク現象
精神運動発作の症状の一つで、意識障害に陥り、変な動作を行い、
発作後、発作のあったことはわかるが、記憶はない。
Puppeの法則
頭蓋に出血が生ずるとき、前後する骨折で、後にできた骨折は
前にできた骨折線を越えない。
○8 射創
遠射、近射、至近射は、射創によって決められる。
遠射…欠損輪・汚染輪・擦過輪・伸展輪が見られる。
近射…欠損輪・擦過輪・伸展輪がみられる。
至近射…欠損輪・COHb輪・焼うん・煤うん・火薬によるいれずみが見られる。
硝煙反応
射手の手の皮膚面、手袋、着衣などに火薬まつの一部が
付着することから、射手を鑑別する。無煙、有機煙火薬の証明に用いる。
(亜硫酸反応)
○9 電気による障害
離脱電流(let go current)
直流で50〜70mA、交流で15mA。筋の痙攣が起こって逃げようと思っても
手が離せないような電流のこと。
○10 代謝障害
乾性飢餓
絶対飢餓ともいい、皮膚の乾燥がみられる飢餓。
戦争浮腫
不完全飢餓に見られる飢餓性浮腫の別名。戦争で不完全飢餓が
よく見られるためにそう呼ばれる。
○11 窒息
Tardicu斑
窒息によって、肺に見られる溢血点のこと。
Simonの出血
腰椎に見られる椎間板の出血で、縊頚の死体所見の一つ。
<溺水>
水性肺気腫
溺死の死体所見で見られるもので、水を吸ったために生じる。
水腫と気腫が混ざったもの。
Paltauf斑
水圧で毛細血管が破れたことによる、肺表面出血。
壊機試験
溺水の証明法 肺及び肝、人の組織片を発煙硫酸と濃硫酸で加熱し、
過酸素水素を加え、組織中のプランクトン、けいそう類を固定する方法。
水浴死
皮膚が冷水に触れたことによる刺激、飲酒などのショックにより、
意識不明となり、溺れて死亡する場合。
漂因皮化
手足の皮膚は数時間でシワシワとなり、2〜4週で手袋・靴下状に取れてしまう。
○12 嬰児殺
浸軟児
胎児が子宮内で死亡し排出されない場合、体組織内に羊水及び血液が
浸潤し全身が軟化してくること。
墜落産
陣痛が強く、産道抵抗が過小のとき、思わぬ場所(乗り物の中、便所など)で
全分娩作用が急速に終了すること。
初産婦より経産婦に多く、また、便つぼ内容を新生児が吸引していることが多い。
胃腸浮遊試験
胃腸管を一括して冷水中に投じ、浮遊の有無を見る。
未呼吸児は全部沈むが、呼吸児は嚥下された空気が胃から腸に
進入することによって、浮遊するという原理に基づく、生死産判別法。
○13 中毒
▽1 突然死
マルファン症候群
中胚葉組織及び外胚葉組織の先天性変化によるもので、主症状は、
骨格変化(クモ指症など)、水晶体転移、血管障害(大動脈の
解離性あるいは広汎性動脈瘤が主)である。
▽2 血液型
キメラ
血液型の異なる2種以上の赤血球を持っている人。
連鎖形成
赤血球が貨幣を積み重ねたように平らに重なって密着している状態。
不規則凝集素
正常人血清中には、α、β以外の凝集素は一般に存在しないが、
時にこれら以外の凝集素が認められる。
汎凝集反応
細菌の出す内毒素などによって赤血球表面は抗原性が変化を受け、
いかなる血清とも非特異的に凝集が生じるようになることをいう。
Acquired B
感染症にかかった場合、A型の人がAB型に変化すること。