マッジ・デスカー

Illustration:江神号

重量級マッジとは名ばかりの改装で納品されたカスタマイズマッジ。リティナ・ベイロック少尉に与えられるはずだったこの機体は少尉の趣向に合わず、受理されることすらなく別部隊に納品されることになった。

送られた先は「デスカー隊」。別名「節約部隊」と呼ばれる、ジャグラー・デスカー少佐率いる特務部隊だ。
「いかに機体を有効に使うか」をテーマに日夜検討を続けている彼らにとって、低コストでそこそこの性能アップを実現した「重量級マッジ」は理想的な検討機体だったのである。

「マッジ・デスカー」と改名されたものの、重量級マッジの設計をそのままに、盾の厚みだけを強化したにすぎないこの機体は、マッジの武装「スジキーリキ」での攻撃を縦方向に制限したことで、肩部、腰部の金属疲労を最低限に抑え、盾で重量バランスを取ることと、腰部パーツの追加により安定性を強化した重量級マッジの設計を引き継いでいる。また、接近戦での視界確保を理由に腹部に移動されたメインカメラだが、大幅に被弾率を下げる効果が期待できる為、そのまま腹部固定となっている。

盾の装甲板が追加されたことで、その重量で腕が上がらずパイルバンカーでの攻撃は不可能となってしまったが、強度は飛躍的に向上している。この機体を使ってデスカー少佐が発案した戦術はこうだ。その名も「ファランクス・デスカー隊形」。横一列に並んだ「マッジ・デスカー」編隊。大盾を正面にかざし、立ちはだかるもの全てをスジキーリキで粉砕しながら一歩一歩と前進するのである。

そもそもマッジは、装甲とパワーを優先するあまり機動力に難を抱えており、「どうやって接敵するか」が何よりの問題だったわけだが、デスカー少佐はローマの時代の密集陣形を利用することで、見事にこの問題を解決したわけである。未熟なパイロットでも高い戦果を上げられるということもあり、この「ファランクス・デスカー隊形」は提出された上層部でも高い評価を受けた。

だが「マッジ・デスカー」と「ファランクス・デスカー」は攻撃時にしか有効でなく、しかもその移動速度はマッジ本来のものよりも、足並みをそろえる分遅くなってしまうという
欠点を抱えていた。その汎用性の低さは致命的で、その事実に気付いてしまったデスカー少佐は、自らが提案したマッジ大量改修計画を急遽取り下げ、結果として「マッジ・デスカー」は重量級マッジを改修した一機のみが残ることとなった。


Illustration:江神号

<ジャグラー・デスカー少佐>

「効率的な作戦と対費用効果」がモットーの、節約大好き守銭奴少佐。節約のためなら知恵を絞り、結果、様々な貧乏臭くて効率的な作戦や機体を考案する。彼の考案した作戦や機体には「デスカー」の名が冠され、
貧乏臭いの象徴として、とくにエリート部隊などでは笑いものにされている。

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