ステップアップ・コンバータ
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- 2001.12.2
- DCコンバータの製作中に測定した変換効率などのデータを載せて置きます。測定対象は,特に断わりのないものは2001.2.25に書いたPB2400c用外付けバッテリパックに組み込んだものです。
これは電熱線を負荷として繋ぎ,出力電圧を24.01Vに設定し29.54Wの負荷で入力電圧を変えたときの効率です。
PB2400cを使いながらバッテリパックを充電(またはPB2400cを停止またはスリープ状態でバッテリを充電)している状態に近い負荷と思われます。入力電流は入力電圧10〜20Vで3.52〜1.55Aで,LT1170としてはまだ余裕があります。
外付けバッテリパックではDCコンバータの入力電圧は平均15V強なので,この負荷では平均91%位の効率です。リチウムイオン電池が5段直列(平均電圧19V弱)なら94%近い効率になりそうです。
これは出力電圧を24.25Vに設定してPB2400c(無負荷)を駆動した状態です。
入力電流は入力電圧10〜20Vで1.22〜0.58Aです。外付けバッテリパックでは平均93.5%位の効率です。リチウムイオン電池が5段直列(平均電圧19V弱)なら95%近い効率になりそうです。
これは出力電圧を21.01Vに設定してPB2400c(無負荷)を駆動した状態で,上の24.25VよりもPB2400cの消費電力が0.33W低い条件です。
測定範囲は外付けバッテリパックで使用した場合の範囲に絞っています。
このデータは無負荷のPB2400cを駆動している状態でDCコンバータの出力電圧を変化させたときのDCコンバータの入力電力です。DCコンバータの入力電圧は15.5Vです。このデータだけはDCコンバータをコンパクト化する一つ前のものです。
2001.2.10に書いた,PB2400cのACアダプタ端子へ供給する電圧によってPB2400cの消費電力が変化することにより,DCコンバータの出力電圧が低い程入力電力が少なくて済みます。
PB2400cの内部に,低い電圧を得るためにシリーズ(リニア)レギュレータを使っている所などがあるのかも知れません。
- 前に(下に)書いたDCコンバータの回路図のLT1170(1171)のFB端子の所の可変抵抗の繋ぎ方は,一般的には可変抵抗の接触不良などを考慮して回路図の通りにはしないと思われます(回路図の通りでは,接触不良の場合にDCコンバータが最大出力で動作して非常に高い出力電圧になり,負荷機器の破損やコンデンサのパンクが起きる可能性がある)。
普通はFB端子が絶対に浮かない様に可変抵抗を配置し,また可変抵抗が接触不良になったときの電圧変化が負荷機器の許容範囲に納まる様に各抵抗値や可変抵抗の配置を選択するのだと思います。(特に可変である必要がない場合は固定抵抗にするのが無難)
- DCコンバータ付きPB2400c用外付けバッテリパックはその後も特に問題ありませんが,先日ちょっと過放電させてしまいました。外付けバッテリパックでWebアクセス中に空になるのを忘れていて,画面がちらついたので気が付きました。直ぐにスイッチを切りましたが,一瞬バッテリ電圧(4段直列全体)が6〜3V台辺りを指しているのを見た気がします。
セルの電圧が低下したことでLT1170の電流制限の5A流れたためか,パック全体がほんのり温かくなっていました(30℃台位?)。暫く放置すると12V台まで回復したので,それ程ダメージはなかった様に思われます。
念のため,直後の充電は電流を大幅に絞って行いました。15Vを越えた辺りで一旦ばらして各セルの電圧をチェックしたところ最小と最大の差が3mVで特に異常はなく,その後は電流制限を緩めて充電しました。
その後放電時の電圧低下の様子を少しだけ測定しましたが,極端な劣化はない様でした。しかし,2月頃に比べると徐々に劣化している気配はあります。なお,PB2400c自体も消費電力の測定を初めて行った頃に比べると,HDD(IBM DJSA-230)の回転音の増大と関連あるのか消費電力が僅かに増えている気配があります。
- 2001.6.10
- 先日PB2400c用大形外付けバッテリパックの各段のセル電圧をチェックした結果,全段で16.820Vのとき,各段の電圧のばらつきは最大と最小の差が1.3mV,平均に対する差は最大0.8mVでした。バッテリを6並列×4直列に組み合わせてから4ヶ月程経過し,これまで15回位充放電を行ったと思われます。
電圧のばらつきは,最初にセルを組み合わせて電圧を調整した直後に比べて僅かに変化していますが,問題が発生しているセルはなさそうです。スペース面で可能であれば,切り換えスイッチで各段のセルの電圧も確認できる様にしたいところです。
- DCコンバータ動作中にデジタル電圧計の誤差が大きい件は,電圧検出端子間に100nFのコンデンサを追加(元は330pFのみ)することで解決しました。校正は16.8V近辺で行っていますが,電圧が下がったときでも数mVの誤差の様です。
- PB2400cを比較的軽い負荷(DCコンバータ出力が20.5Vで11W前後)で駆動した場合の大形バッテリパックの性能は,バッテリ(セル24本の単体性能)が164Wh,DC-DCコンバータの効率が93.5%,PB2400cへ供給可能な電力量が153Wh,辺りの様です。
- セルの劣化はまだほとんど無い様です。セルの劣化については,PB2400cのバッテリパックと比較して下記の様な点で有利かも知れません。
- セルが常温で均一な環境にある。充放電中も手で触って分かる様な発熱はない。DC-DCコンバータの発熱はPB2400cを駆動する程度ではほんのり温かくなる程度で,コンバータとセルの間の2mm厚のアルミ板(NP-F960のケースに納めたセルを固定)があることなどで僅かな熱も広い範囲に拡散する。
- PB2400cのバッテリパックはAC電源を繋いだままでも電圧が下がる度に補充充電が行われますので,劣化が早まるかも知れません。PB2400cのバッテリパックは制御回路の消費電力が多いのか,それとも熱の影響なのか電圧低下が速い様に思います。この点大形外付けバッテリは充電後3週間放置しても40mV程度しか低下しません。
- PB2400cのバッテリパックに比較してセル当たりの放電電流が数分の一しかない。放電時のセルの内部抵抗と放電電流によるセル1個当たりの発熱は,単純計算でPB2400cのバッテリパックに対して1/13程度しかない。
- 充電電流は,安定化電源の能力の関係で最大でも0.46Cで,これはPB2400cのバッテリパックをPB2400cを動作させながら充電する場合と同程度の比較的穏やかな充電である。
ちなみに,充電時に安定化電源の電圧を設定する際に使っているデジタルマルチメータ(高確度の方)は,SONYのリチウムイオン電池の充電電圧の許容範囲(4.2V +/-50mV)に対して十分な精度を持っています(誤差は 16.8V を計る場合 7mV 程度)。安くて確度の低い方は,仕様上ぎりぎりの精度です。この点,PB2400cのバッテリパックの充電制御がどの程度の精度なのかは気になるところです。
- 私の作成した大形外付けバッテリパックは,SONYのリチウムイオン電池のサイトにある情報によると,パック当たりのリチウム量(使用するセルの性能と本数で算出)が国連の航空輸送に関する規定における非危険物の範囲を越えています。(リチウム量が規定範囲でも,その他の安全対策の面で飛行機に乗せる気はありませんが)
18650タイプのセルの場合,リチウム量については12本(4並列×3直列など)なら2222mAhセルまでは非危険物の範囲に納まりますが,15本(5並列×3直列)や16本(4並列×4直列など)になると1800mAhクラスのセルでは非危険物の範囲を越えます。このため,リチウムイオン電池を使用した極端に大容量の製品がないのだと思われます。
- 2001.2.25
- その後,ステップアップ・コンバータを組み直して更に縮小(約36×60×20mm)し,液晶電圧計とその電源の9V乾電池を何とか1つのケース(130×40×180mm)に納めました。
DC-DCコンバータの縮小は,主にサイズ(直径と高さ)が小さいコンデンサを使い,パーツの配置と間隔を調整して行いました。
- コンデンサは入力側が220uF(φ8mm)を2個,出力側は330uF(φ10mm)を3個としました。スイッチングコントローラの放熱は,2×16×90mm位のアルミ板をDC-DCコンバータ基板の2辺に回路を囲む様に付けていますが,30W出力ではこれで十分です。トロイダルコイルは,今回は1重巻き(85〜90ターンくらい)のものを2個並列にしました。
DC-DCコンバータの効率は出力側コンデンサを3個並列で合計容量も大きくなったのが良かったのか,前回のものより若干改善されました。24V出力30W弱の出力では入力13Vで88.8%,17Vで92.9%。24V出力で無負荷のPB2400c/G3 400を駆動している状態では,入力13Vで92.7%,17Vで94.3%辺りです。実際のPB2400cの駆動時間はまだ計っていませんが,プロセッササイクリングOFFで一般的な負荷で12〜13時間,プロセッササイクリングONで無負荷(液晶最暗でHDD回転)なら18時間以上持ちそうです。ちなみに,前回のコンバータはその後SoundJam MPのMP3再生負荷で消費電力を抑えた設定(ただしプロセッササイクリングはOFF)で測定した結果14.4時間でした。
出力電圧は最終的に21Vにしました。これまでの実験では19.5Vでも安定していますが,PB2400cの駆動時間を優先して余り低くするとPB2400c側の電源回路の負担が大きくなったり不安定になりはしないか心配だったためです。
- ケース前面には,スイッチ,パイロットランプ(LED),バッテリ電圧計,充電端子,出力端子を付けています。PB2400cのACアダプタ端子へ繋ぐケーブルは着脱可能として,持ち運び時にケーブルが邪魔にならない様にしました。スイッチは,OFF/DC-DCコンバータ&バッテリ電圧計ON/バッテリ電圧計のみON の3段階です。
- 電圧計は,裏側にあるDC-DCコンバータに対して磁気的なシールドをしていないためか,DC-DCコンバータが動作していると10〜40mV低い電圧を表示します(DC-DCコンバータの出力が大きい程誤差が大きくなる)。
- 電圧計の電圧検出端子は常にバッテリに繋がったままですが,電圧計は10MΩ程度の抵抗があるため,漏れ電流はバッテリの自己放電より遥かに少なそうです(1800mAh×6並列=10800mAh分流れるのに何百年も掛かる計算)。パイロットランプのLEDは,DC-DCコンバータの出力に56KΩの抵抗をかましているのでその消費電力は8mW以下です。DC-DCコンバータの出力側コンデンサはローパスフィルタを含め1000uF以上あるため,スイッチOFF後1分近くLEDが点灯しています。
- ヒューズ,電圧/電流異常の検出と電流の遮断を行う回路などは付けていません。(スイッチOFFで保管している状態では,セルに繋がっているのは入力抵抗の高い電圧計だけ)
- ちなみに,エナックスのWebサイトを見ると,PowerBatteryの新タイプ(16V近辺のPC用)はDC-DCコンバータを使用したものになった様です。また,PowerBook用のPowerBattery24の型番が変わり,多少仕様に変化があった様です。(最高電圧は前は24.6V(セル当たり4.1V)だったのが25.2V(セル当たり4.2V)に,容量は3300mAhから3000mAhに減ったことになっているけど誤植かな?)。
- 2001.2.10
- その後,LT1170を使ったステップアップ・コンバータの特性を入力電圧を変化させながら測定したところ,入力電圧14V前後の所に段差があり,この部分でショットキバリアダイオードのリード線辺りが共振して高い音が出ていました。共振が起きる電圧は,コンデンサの容量とも関係している様でした。
このため,もう一度組み直し,コンデンサも大きなもの(入力,出力側とも220uF 63V を2個ずつ並列,ローパスフィルタのコンデンサは100uFで前と同じ容量)に変更したところ,8V〜18Vまでなだらかに変化する特性になりました。
組み直した後の特性は,出力24.28V 11.05Wの条件において,入力電圧が8〜18Vの範囲で入力電流が1592〜648.3mA,入力電力が12.74〜11.67W,効率が86.8〜94.7%辺りです。
- PB2400cに繋いだときに液晶がブラックアウトする件は,ローパスフィルタのトロイダルコイルの巻数を半分以下に減らしたところ起きなくなりました。巻数を減らしても,リップルは増えていない様です。
PB2400cのACアダプタ端子への入力電圧は,19.5V位あれば取り敢えず問題ない様ですが,19VではPB2400cが温まっていないときのスリープからの復帰時にバックライトが明滅することがありました。PB2400cが温まっている状態では18V辺りでも問題ない場合もありました。
PB2400cのACアダプタ端子の消費電力を入力電圧を変化させながら測定したところ,入力電圧の変化に対応して消費電力がほぼ直線的に変化する(入力電圧が低い方が消費電力が下がる)傾向があることが分かりました。これはバックライトのインバータの特性の影響か何かでしょうか。
- その後,今回組み直したDCコンバータを出力19.5Vの設定でSONYのNP-F960 4個分のセル(24本)を6並列4直列にしたものに繋ぎ,これでPB2400cを駆動してみたところムービー連続再生で11時間16分動きました。この結果をPowerBook2400cの近況のページに書きました。
- 2001.1.27
- その後,LT1171(2.5A)の倍の定格のLT1170(5A)を使ったステップアップ・コンバータの実験をしました。主な変更は下記です。
- スイッチングコントローラをLT1171からLT1170(秋葉の千石で購入) へ変更。
- トロイダルコイルは,エナメル線を2重巻きし,巻数が減った分2個のコイル(巻き数は39回と41回位)を直列に。これで直流抵抗(銅損)が半分になり,磁気的にも余裕が増すのではないかと思います。
- ショットキバリアダイオードは40V 3Aを2個並列に。
- 出力端にローパス・フィルタを付加。
回路図は下記の様になっています。
結果は,24Vの設定で19.45Ωの負荷に繋ぐと,入力8V辺りまで出力24Vを維持し,このとき入力4.8A 38.4W,出力1.23A 29.4W辺りでした。効率は,入力8〜18Vの範囲では76.4〜89.6%,損失が9.05〜3.40W辺りです。トロイダルコイルの発熱は30W近い出力では入力電圧が低いときにまだだいぶ熱くなりますが,前よりは減った様です。
19.45Ωの負荷による29.4W出力の場合,出力側のローパスフィルターがない状態では60mV位のリップル(デジタルマルチメータにそれらしい値が出る所がある)がある様でしたが,ローパスフィルターを付けるとこれが測定限界(1mV)以下になりました。
- その後,中古で買ったPowerBook用ACアダプタ(サードパーティー製)のDC側ケーブルを付けてPB2400c/G3 400MHzを駆動してみたところ動きました。
ただ,DC-DCコンバータを繋いだときや通電開始したとき,DCコンバータの出力側の電圧/電流の挙動に問題があるのかPB2400cの液晶がブラックアウトしました(コンデンサの容量が小さ過ぎるとかローパスフィルターの特性が不味い?)。一瞬壊れたのか?と焦りましたが,起動/停止ボタンにより終了出来て,スリープ&復帰,バックライトOFFまで明度を下げて再度明度を上げる,などを行えば液晶が再点灯することが分かりました。
PB2400cを「プロセッササイクリングOFF,バックライト1/2,無負荷」の状態で駆動すると,出力側は11.03Wで,入力電圧が8〜18Vの範囲では入力電流が1621〜644mA,入力電力が12.97〜11.59W,効率が85.0〜95.1%,損失が1.94〜0.56W辺りで,トロイダルコイルやLT1170は少し温まる程度です。モデムを使った通信などを含めて2〜3時間使用した限りでは異常なしでした。
このDC-DCコンバータなら,入力電圧がある程度高ければPB2400cを2〜3台動かせそうです(複数のPB2400cが同時にバッテリ充電モードにならなければ)。
- 更にその後,PB2400cのバッテリパックのセル交換で取り出した純正リチウムイオン・セルをDC-DCコンバータに繋いでPB2400cを駆動し,バッテリの持ち時間を測定しました。
負荷はPowerBook 2400cの近況の所で行っているムービー再生負荷で,ACアダプタのDC側をデジタルマルチメータで測定すると13.9W位の消費電力の条件です。
使ったリチウムイオン・セルは,去年11月末にパックから抜き取って放置していたもので,自己放電は僅かの様でしたが一度8.4Vまで放電してから安定化電源で12.65Vまで最大1.5A位で充電し,充電電流が50mA以下辺りになるまで充電しました。充電完了後の解放電圧は12.552Vで,まだ充電が足りないかセルがある程度へたっているかも知れません。
結果は,電圧が8.400Vに落ちるまで76.7分で,この間の電圧の変化は下のグラフの通りです。
持ち時間は,セルがバッテリパックに入っていたのときの70.6%です。大幅に減った理由としては下記などが考えられるでしょうか。1800mAhセルを使ったりセルの直列数を増やして入力電圧をあげればもう少し効率があがりそうです。(単に効率だけを考えるなら,セルを6段直列にしてセルから直接供給するのが一番ということになると思いますが)
- DC-DCコンバータの入力電圧が低いため効率がかなり落ちている。
- ACアダプタ駆動の場合,PB2400c側の効率が悪い。
- ACアダプタ駆動の場合,バッテリパック駆動のときとPB2400cの省電力機能の働きなどに違いがある。
- 以上により,PB2400cのバッテリパックで使用するときと比べてセルの放電電流が大きくなり,その結果セルの内部抵抗による損失が大きく(セルの電圧が低く)なるので取り出せる電力量が更に減る。
ちなみに,ACアダプタ駆動では,PB2400cのノーマル180MHz,G3 240,G3 400とも停止やスリープ状態で0.80〜0.85Wも消費しています(G3 400MHzのスリープだけ1.02Wでちょっと多い)が,停止状態でバッテリパックからこれほど消費することはなさそうです。
- 2000.12.30
- LT1171を使ったステップアップ・コンバータの実験は,その後トロイダルコイルの巻数を95回に増やしたところ出力24Vの設定における約25Ωの負荷で入力電圧10.6Vまで出力電圧24Vを維持できました。このとき入力電流は2.6AでLT1171の定格を越えています。効率は入力10.6Vで81%,入力12Vで85%,15Vで87%,18Vで91%で,入力電圧が高い程効率があがります。効率の算出は,電流測定でマルチメータによる電圧降下がある様なのでその分補正しています。
入力電圧が低い時の効率の低下は,入力側の電流が増えることで,コイルの直流抵抗(マルチメータは低い抵抗値の測定は苦手の様ですが,0.13〜0.15Ω位でした)による損失の増大や,コアの磁気的な飽和,スイッチングトランジスタの損失増大などで起きるのかも知れません。エナメル線を二重や三重にし,2つのコアを使うか更に特性の良いコアを使うなどすれば,直流抵抗やコアによる損失をもう少し減らせるかも知れません。
現状の性能でも普通の負荷のPB2400cなら駆動出来そうですが,PB2400cがバッテリの充電中の負荷などでは足りないかも知れません。PB2400cのACアダプタの容量(初期のが45Wで後期のが36W)以上の出力を出すには,前記の点の改善を行って更に定格が5AのLT1170を使う必要がありそうです。
- TIのTL497Aの方も簡単な回路構成でステップアップ・コンバータとして動かしてみました。コイルは先に作った50回ちょっと巻いたもので,24V出力の設定で600Ωの負荷では,5V位の入力でも24Vを維持していました。(入力電流は0.2A位で,定格の50%以下の負荷なのでまだ余裕がある様です)
TL497Aは発信周波数を外部のコンデンサで決められますが,用意出来た220pFのコンデンサを使用したところ54kHz辺りで動作している様でした。スペックシートによると外部のFETをドライブすることも可能な様です。ただ,TL497Aの入力電圧の推奨範囲は12Vまでなのでリチウムイオン電池の3段直列だとこの範囲を少し越えます。(最大定格は15Vで,ここまで上げても取り敢えず動いていました)
- 2000.12.23
- ステップアップ・コンバータの実験
PowerBook2400cの近況のページで,外付けバッテリパックに関連してスイッチング電源(ステップアップ・コンバータ)の話を書きましたが,私の様など素人にも作れるのか実験してみました。
PB2400cのページで紹介した様な電子工作のWebサイトや,メーカーのスイッチング電源用のICのスペックシートやアプリケーション・ノートを見たり,トランジスタ技術のスペシャル版を何冊か買って情報を仕入れたところ,割り合い少ない部品で出来そうだということが分かりました。
秋葉の千石でLT1171というチップ(端子が5つしかなくて外付け部品がかなり少なくて済む)を売っていたので,これで作ってみました(千石にはLT1171以外のスイッチング制御用チップも幾つかありました)。部品は LT1171,基板(46.5×71.5mm),ショットキ・バリア・ダイオード(3A 40V),フェライトコア(外径18mm,内径10mm,幅10mm),小さなヒートシンクを千石で買い,その他にストックしてあった故障ビデオの電源部などから取り出したコンデンサや抵抗を使いました。
コイル(トロイダルコイル)は,千石で買ったフェライトコアにいらないトランスから取り出したφ0.6mm位のエナメル線を50回ちょっと手巻きしました。インダクタンス値は測定手段がないので不明ですが,LT1171のスペックシートのステップアップ・コンバータの応用例では 50uH と書いてあるものがあります。
回路図は下記の通りです(書き方が合っているか分かりませんが(^ ^;)。抵抗値はマルチメータによる実測値です。コンデンサはコンデンサに表記してある値で示していますが,マルチメータの測定では表記値の98%位の物が多かったです。LT1171 の FB端子へ出力電圧をフィードバックする部分の抵抗と可変抵抗は,手許に在った抵抗で出力を24V辺りである程度変更出来る様クラリスワークスの表計算で組み合わせを決めました。計算上可変抵抗で14V〜36V辺りの範囲で設定可能です。出力側にスイッチングノイズをカットするためのローパスフィルターは付けていません。
組み立て後,電源を繋いでみると,取り敢えずほぼ安定した電圧が出力されました。
トロイダルコイルは最初は上に書いたのと別のコア(同じく千石で買った外径 12mm の塗装してある小さいコア)に手巻きしたものを使ったところ,負荷を掛けたときの出力電圧の低下が激しかったので上に書いた大きいコアに替えました。トロイダルコイルの交換後は,出力24Vに設定した状態で25Ω位の負荷に繋ぐと,24V出力を保つために入力電圧が13V程度必要な状態で,まだトロイダルコイルのインダクタンスが足りないのかも知れません。
この25Ωの負荷では,入力 13.54V,2.02A,27.35W に対し,出力 24.06V,0.95A,22.92Wでした。損失 4.42W,効率 83.8% ということでまずまずの結果と思います。このとき,LT1171 のFB端子の電圧は 1.2428V でほぼ仕様通りです。測定はデジタルマルチメータで各々の値を個別に計ったので,その時々の接続部の接触抵抗などの違いによる誤差が含まれるかも知れません。また,他の条件でどう変化するのかは未確認です。
この負荷で暫く動かすと,ヒートシンクが温まり,トロイダルコイルは大分熱くなります(トロイダルコイルの発熱が一般的なレベルなのか,それともエナメル線が細いとかコアの質が悪かったりサイズが足りない等の理由により良くない状態なのかは判断付きません)。出力電圧はマルチメータで見ると1mVの桁がふらついていますが,オシロがないので細かい状況は不明です。トロイダルコイルの+側と回路のGNDにデジタルマルチメータを接続して周波数を見ると,100.2kHz辺りで動作している様です(このマルチメータの測定範囲は99.99kHzまでという仕様ですが一応表示されたので計測出来ているのかな?)。
トロイダルコイルのインダクタンスを更に大きくしたり,より適したコンデンサなどを使用すれば,もう少し低い入力電圧でも24Vで更に大きな電流を維持したり効率を改善できるかも知れません。そうすれば,PB2400cを3直列のリチウムイオン電池(9〜12.6V)で楽に駆動できそうです。
LT1171は Max 2.5Aですが,千石には Max 5A の上位の型もあったと思います。今回TIのTL497Aという小出力のものも買いましたがこちらはまだ試していません。TL497Aはスイッチングトランジスタに加えてダイオードも内蔵していて(それを使うか外付けにするか選択可),今回試したLT1171より更に部品数を少なく出来ます。今回紹介したチップで可能なのか良く分かりませんが,低ON抵抗のFETでスイッチングするものもやってみたいと思っています(ちょっと調べたところ,FETのスイッチングを素早く行わせるためのゲートドライブ方法などに色々手法がある様です)。
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