SHOH's LIVE REPORTS

King's Call(Tribute for Phil Lynott) (Jan 4,1996, Dublin)


Part 8

THERAPY!のメンバーを紹介するぜ!」とサイクシーが告げると、ギター&ヴォーカルのアンディとベーシストが登場。アンディは、髪がマッシュルームカットのようになっていて、とても可愛らしく、まるで別人のよう。クリスマス休暇に実家に帰るので、母親受けを狙ったのか?

THERAPY!は、ちょうどアイルランド・ツアーの最中で、確か大晦日はベルファストでライブだった。ASH とのカップリングで、ちょうどその日ベルファストにいた私は、行こうかどうしようか迷ったのだが、ベルファストのスタンディングでTHERAPY!というのにびびって、結局ポートラッシュに行ってしまった。

元々アイルランド出身のバンドだから、客の歓迎ぶりは暖かい。あとから考えると、このときドラマーが来なかったのは、このあとすぐの脱退と関連してたのね。

THERAPY!が加わっての曲は「BAD REPUTATION」。もっとはちゃめちゃになるかと思ったけど、バックの演奏がそのままだから、歌が調子っぱずれかな、という程度のアレンジに終わってしまった。ブライアンのドラム・ソロ、日本公演では無理だと思っていたけど、この夜は聴けるかと期待してたのにだめでした。やはり体力的にむずかしいのかなあ。

さてさて次なるゲストは……ヘンリー・ロリンズ。「COM'ON HENRY!」というサイクシーの呼びかけに、ほんとに出てくるかなあ?と半信半疑で待っていたら、さっきとはうって変わり、上半身裸&刺青見せまくり状態で出てきた。

先ほどの怒りを思いっきりぶつけるかのように咆哮する「ARE YOU READY」は、"MOTHER FUCKER"だの"FUCK"だのがてんこ盛りの迫力ヴォーカル。これにはさっきブーイングで彼を追い出した観客も大ノリにノって、盛大な拍手と歓声を送ったのであった。最初からこれでいけばよかったのに。

ここでサイクシーから悲しいお知らせ。

「残念なことにブライアン・ロバートソンは来られなくなりました。彼のお母さんがとても重い病気なのです」

(;_;)(;_;)(;_;)

客席からの落胆の声を消そうとするかのように、「STILL IN LOVE WITH YOU 」の美しいギターの音が響いた。そうか、ほんとはここでブライアンが出てきて弾くはずだったのね。

そうそう、書くのを忘れていたけど、サイクシーのこの日のギターは、もちろん黒のレスポール。

倉庫を改築した会場だというのに、音響はものすごくよくて、ギターソロではあまりの美しさに涙が出てしまった。

客席にはライターの炎がキャンドルのようにともり、それはそれは美しい。これは日本では絶対に見られない光景で、「ああ、来てよかった」って心から思う。サイクシーもこれには感動したようで、歌に戻る前に「THANK YOU」 とうれしそうに言っていた。最後のスコットのソロも信じられないくらい決まって、きっと天国で聴いているフィルは喜んでくれてるだろうなあ、なんてまた涙。


つづく

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