SHOH's LIVE REPORTS

Humming Bird (July 29,1998, Takadanobaba AREA, Tokyo)


間ではアニメソングのバンドという認識が大きいようだが、BEATLESやQUEENをルーツとしたすぐれた楽曲と確かな演奏力の3ピースバンドだ。彼らのATTACK TOUR '98の初日に行った。私にとっては、昨年夏の渋谷ON AIR EASTでのSTEREO TOURの最終日以来、約1年ぶりのライブとなる。

高田馬場AREAは西友の隣り、目立たない入り口を地下に降りたところにあった。中に入るとステージ前のフロアと、一段高くなった部分とに別れ、新宿リキッドルームを狭くしたような作り。チケットに開演6:30と書いてあったので、6:15くらいには入場したのだが、まだお客さんは20人くらい。昨年のON AIRではほぼ満杯の盛況だったのに比べるとちょっと寂しい。でもまあ最終日と初日ではこのくらい差があるのかもしれないな。すでに学生は夏休みに入って旅行に行ったり帰省したりしているから、若いファンが多いバンドの場合そのへんも影響してるかも。

一段高くなった所の柵の部分に場所を確保し、友人たちを待つ。ドリンクをとりに行きたいがひとりなので動けない。隣りにやはりひとりで来ている女性がいたので、彼女の分のドリンクもとってきてあげるから場所をとっておいてくれるように頼む。

そのうち場内アナウンスがあり、なんと開演時間は7:00であったことが判明。な〜んだ、だから友人たちが来ないんだ。あとで聞いたところによると、メンバーもチケットに6:30開演と書かれているのを知らず、楽屋で急に気づいてあわてて着替えを始めるという騒ぎだったようだ。

そうこうしているうちに友人たちも到着、バンドも登場した。ヴォーカル兼ギターの福山さんは少し髪を切ったものの、相変わらずカーリーな長髪で、いかにもロッカーという感じ。ただし、首から下は相変わらずちょっとお肉つきすぎで、「気をつけないとイングヴェするぞ」状態だ。ほんと、ダイエットしてね(^_^)。ドラマーの麻生さんも少し髪を切って、とても若々しくなった。彼、東洋人の魅力である真っ黒な髪と切れ長の眼をしていて、それを自覚しているから、ちゃんと自分に合ったヘアスタイルをみつけてくるのね。ベーシストの古屋さんはきょうもバンダナで髪を包んだ海賊スタイル。彼の場合、もうこのバンダナとサングラスが顔の一部になっちゃってて、これがなかったら多分誰も彼だと識別できないんじゃないかと思う。

始まっていきなり感じたのが「ベースの音がでかい!」。が、決して不愉快なわけではなくて、むしろ気持ちのいい音。他の楽器の音もくっきり聞こえていて、こんな小さなライブハウスとは思えないいいバランスの音になっていた。おかげでライブの内容も素晴らしく、とても満足できるものになっていた。

福山さんの美しい高音が特徴のヴォーカルも絶好調で、とてものびやかに歌っている。やはり体重が増えると声もでやすいのかなあ。でも、なんだかんだ言っても福山さんの楽しそうに演奏し歌う笑顔っていい。見ているこちらも楽しくなってしまう。あれがハミングの魅力のひとつなんだろうな。 お客さんたちのノリもすごくいい。最終的には会場全体に人がいる程度に入っていて、特に下のフロアはかなりいっぱい。熱心な最前列のファンからはしきりと「ふるやさ〜ん」コールがかかる。古屋さん、人気あるんだあ。

相変わらずとぼけた古屋さんのMCが、いつもながら会場の笑いを誘いながらハミングワールドへと聴衆を引き込んでいく。それに答えるように返す会場からのリアクションも笑える。

初めてのスタンディング・ライブだそうで、そういえば前回は椅子のある会場ではあったが、全員立っていたからまあスタンディングと大差なかった。ただ、ハミングのファンてバラードになると一斉に腰掛けるという習性があり、今回はどうするんだろう、ひょっとしたら床にヤンキー座りでもするんだろうか、などと馬鹿な心配をしていたのだが、それは杞憂にすぎず、みんなちゃんと終始立ったまま盛り上がっていた(^^;)。

新曲"MAD MACHINE"も披露。これはバラードっぽく静かに始まって、中盤からドラマチックに盛り上がるという、私のツボにはまりまくりの曲で、とてもかっこいい。古屋さんも「そろそろ大人の曲もうやらなきゃ」なんてことを言っていたが、まさにそういうタイプの曲だった。ただ、私の個人的な好みから言うと、バラードが2曲続いたあとにやったのはちょっともったいなかったかも。もっと軽快で速めの曲のあとにやったほうが映えたんじゃないかな?

実はこの高田馬場でのライブはきょうと明日の2DAYS。というわけで、同じ曲はひとつもやらないのだという(リハーサル大変だっただろーな)ということで、アンコールも「ねここしゃん」に続いて「HAPPY BIRTHDAY」を美しく演奏して終了。これは、とてもきれいで余韻のあるエンディングだと思った。それなのに客席からは「あと1曲!」「まだ9時前だぞ」などと叫ぶ無粋は客が約1名。さすがに同調するファンはいなくて、本人かなり寒い思いをしたように見えた(^^;)。

満足しきって地上への階段を登っていると、前を歩く若い男の子の2人連れが「楽しかったなあ」「おれ、16日も行きたくなっちゃったよ」と言っていた。こういうふうに思わせることができたらライブは大成功だよね。翌日ベルギーに発つ予定だった私は、思わず「行け、行くのだ! 私の代わりに聴いてくるのだ!」と念力を送ってしまった。


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