Hothouse Flowers (Oct 23,1998 at Laforet Harajuku,Tokyo)
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ひさしぶりのHOTHOUSE FLOWERS。メンバーが減ってしまい、サックスのレオがいなくなったことで、音楽性も変わってしまったし、どんなライブになるのか見当もつかなかった。ツアー用のメンバーを連れてくるのかもしれないとも思っていたが、盛大な拍手に迎えられてステージに登場し、客席に向かってお辞儀をしたのはリアム、フィアクナ、ピーターの3人だけだった。ステージに用意されていたのもプラグはさしてあるものの、アコースティックギターとピアノ、それにシンセサイザーだけ。そうか、やっぱりアコースティックで通すつもりなんだ。
それにしてもピーターの変わったこと。髪は頭に張り付くほど短く、その分頬から顎にかけては無精髭、体は2回りくらい大きくなって、洗濯しすぎて短くなってしまったようなシャツ(断じてチビTではない)とダボダボのコール天のズボンで立っているところを見ると、そのへんのパブで飲んでそうなおっさんに見える(^^;)。
リアムは相変わらず髭面(鼻の下にも顎にも)だけど、髪は少し伸びていて、新譜のカヴァーにあるような坊主頭ではない。足元は例によって裸足。よれよれのグレーっぽいシャツにカーキ色の作業服のようなパンツで、およそ洒落っ気とは程遠い。
フィアクナがいちばん変わっていないかなあ。もちろん髪は初来日の頃に比べたら短くなってしまっているけど、体型はそれほど変わっていないし、フランケンシュタインみたいな雰囲気も同じ(^_^)。
ステージ正面奥に置かれたピアノに向かって歌い出したのは1stからの"THE OLDER WE GET"。いきなりの懐かしい曲で心は一気にHOTHOUSE WORLDに。が、彼のマイクのハウリングがひどい。少し近づいて歌うたびにひどい騒音が出るので、気の毒でハラハラしてしまう。ふつうだったら最初の雑音が出た時点でスタッフが出てきてなんとかしそうなものだが、誰も出てこない。リアムはときどき目を真ん丸にして驚きを表現しながらも、怒ったふうでもなく歌い続けている。
1曲目が終わったところで「不愉快な音を聴かせてしまって申し訳ない」とリアムが謝罪した。彼のせいじゃないのに〜。
一緒にいた友人が前日、イギリスのロックバンドのライブでやはり音が悪く、ヴォーカリストがキレて怒り狂ったという話を聞いていたので、あまりの違いにちょっとおかしくなってしまう。アイルランド人のほうが気が短そうな気がするけどね(^^;)。
2曲目が終わったあたりで一度、スタッフが出てきて、少し機材をいじったりしていたが、特に改良された気配はない。ピーターやフィアクナも自分たちの回りを見回したりしてチェックしているが、何が原因かわからないみたい。曲が終わってステージが暗くなったときに、ピーターが袖に向かって「あの音はどこから出てるの?」と声をかけた。すると奥から「マイクロフォン」という声が。原因がわかってるならなんとかしろよなあ(^^;)。それとも直しようがないのかしら?
そんなことがあったので、最初のうちはリアムもあっちこっち試しながら音を出しているという感じで、見ているこちらも落着かなかった。それでも彼がピアノの所を離れ、ステージ前のスタンドマイクのほうに出てきて歌いだしてからは、そんなこともすっかり忘れてしまったけれど(^_^)。
新譜からの曲がほとんどになるのかと思っていたが、意外に過去の3枚のアルバムからもまんべんなくやってくれて、うれしい誤算。ただ、サックスが効果的に使われている曲はさすがに断念したらしく、私がいちばん聴きたかった"IF YOU GO"はなし(;_;)。
ときどきアンチョコみたいなノートを出して、「こちらはピーターさんです」とか「こちらはフィアクナさんです」とかメンバー紹介を日本語でするところがラブリー。フィアクナはどうやら結婚したばかりらしく、リアムがMCでそう言うと、左手の指輪を客席にアピールしていた。しかし、彼って確か、前にも結婚してたような気が(^^;)。
客席とのコミュニケーションのとり方の上手さは相変わらずで、ごくかんたんでシンプルなコーラスを客席を分けて歌わせ、そこに自分たちの歌をのせて、実に見事なものに仕上げてしまったのには舌を巻いた。ただ一緒に歌わせるというのではないのだもの。このほうが客の満足感はいっそう高くなる。
また、かなり酔った女性客がものすごい悲鳴(ほんとに人が殺されるときみたいな声だった)を上げたときには、驚いて心臓がドキドキしたようなフリをして見せ、マイクに向かって口で「どくどく」という心臓の鼓動そっくりの音を出してみせた。そしてそれを導入にして次の曲に入るという、神業みたいなことも見せてくれた。「ああ、この人の生活はもうすべてが音楽になってしまうんだなあ」と感動してしまった瞬間。
アコースティックギターだけでもつのかという疑問は早々に払拭され、ピーターはときどきブズーキも弾くし、ギターの音もときどき片方はほとんどベース音に近い音にしたり、ティン・ホイッスル、バウロンといった民族楽器もいつものように巧みに使いこなし、5人のバンドでもここまで出来ない連中もいるよなあ、と思うほどがんばっていた。それでもやっぱりドラムは欲しいし、レオのサックスが恋しい私も片隅にいたことはいたんだけど(^^;)。
1時間くらいたったところで休憩が入った。「5分か10分休むからお茶でもしてて。ビールはだめだよ(^_^)」と冗談をかましてから消えるリアム。自分たちはどうなんだ(^^;)?
で、再登場したフィアクナとピーターはしっかり手にサッポロ黒ラベルの缶を手にしていたのだった(^_^)。
後半のハイライトは新譜のボーナストラックとして入っていた"THIS IS MAN'S MAN'S WAORLD"かなあ。相変わらず調子の悪いマイクと戦いながら絶唱するリアムはさすがだったが、実は私、どうもこの曲は彼には合わないような気がしてならない。この歌のもつドロドロしたまでの暗い愛の情念ってリアムにはないんじゃないかなあ(^^;)。なんか幸せに育ちすぎてるし、性格もよすぎるし、回りにもあまりいやな人いなそうだし(^^;)。でも、きっと彼はこれを歌うのがすごく好きなのよね。そんな感じのパフォーマンスだった。
私が個人的にこの日のハイライトだと思ったのはアンコールの最後2曲だな。最初の"I BELIEVE"は、これこそリアムのためのバラードという気がする。絶唱がしっくりくるのだ。彼の声の凄さは何度聴いても驚かされるが、ただ声量があるとか声域が広いというだけではないのよね。声に生命がある。なにか脈打つものを感じる。
そして最後の"CATHAIN"、これはドーナルのライブでおなじみだったんだけど、なんと今回はシンセでピーターが出すサンプリングの音に合わせたインダストリアル風味のヴァージョンだった。リアムの叩く生のバウロンとサンプリングとの掛け合いがもう尋常じゃないはまり具合で、背筋がぞくぞくするほどスリリングでエキサイティング。こういうのがスッと出来ちゃうところが、彼らの凄いところだなあ。ただの民族音楽愛好バンドではないのだ。
最初のうちは会場のクーラーがききすぎて、上着を着ていても寒いくらいだったのに、最後には会場の熱気がわっと上がったせいか、汗ダラダラ。歌いすぎて喉もからからで会場を出たら、なんと11時近くなっていた! 3時間近くもやってたんだ、彼ら。それもアコースティックで。それだけの時間をちっとも長いと意識させず、客席の集中力を保ったまま最後までひっぱっていった彼らの実力はまさに本物だと実感した。
SET LIST
- THE OLDER WE GET
- GIVE IT UP
- BE GOOD
- POP SONG
- AT LAST
- TRYING TO GET THROUGH
- SIOBHAN NI DHNIBHIR
- BANISHED MISFORTUNE(INSTRUMENTAL)
- THE LAKES OF PONCHARTRIN
-INTERMISSION-
- RED DEAD
- ?(INSTRUMENTAL)
- TROUBLE DOWN YONDER
- IT'S A MAN'S MAN'S WORLD
- THIS IS IT(YOUR SOUL)
- IT'LL BE EASIER IN THE MORNING
- FOREVER MORE〜SUSPICIOUS MINDS
- HALLELUJAH JORDAN
- YOU CAN LOVE ME NOW
-ENCORE-
- FIND THE TIME
- I BELIEVE
- DON'T GO
- CATHAIN