SHOH's LIVE REPORTS

Anthrax (September 27,1998, Shinjuku Liquid Room, Tokyo)


しいライブだったなあ。うん、ほんとに「楽しい」としか言いようがない。

3時半頃にリキッドの前に着いたのだが、ちょうど入り口のところにバンが止まって、メンバーがぞろぞろと出てきた。さっそく握手攻めにあっていたが、みんな意外に小柄だったのにびっくり。特にジョン・ブッシュがステージだと大きく見えるのにちっちゃくて可愛かった。

「今からサウンドチェック? まさかなあ、30分しかないし。きっと先にすませて食事にでも行ってたんだろう」って思ったのだが、どうやらそのまさかだったようで、少し開場が遅れた。

が、そんな短時間のサウンドチェックしかしていないとは思えない演奏の素晴らしさ・・・さすがにベテラン・ライブバンドだ。

バーカウンターのあたりのうしろのほうで見ていたのだが、前のほうすごいことになってて、怪我人でも出るんじゃないかと思ったほど。ただ、実際に前に行ってしまえばそれなりに秩序があったようで、最前にいた友人はそれほど痛い目には遭わなかったらしい。しかし、中央前よりの人の飛び具合は半端じゃなかったけどね(^^;)。

途中、ステージ袖から腰を折るような姿勢で遠慮がちに出てきた男性が、コーラスに参加していた。前回公演時にもゲスト出演していた日本のバンドCOCOBATのベースの人らしい。かなり仲がいいんだろうなあ。でも、2度も引っ張り出されて、ちょっと逃げ腰だった。

なにしろ狭い会場に人がいっぱい入って興奮しているので、暑さは半端じゃない。ステージの上は汗でびしょびしょみたいだ。スコットやフランクはわざとスケートをしてみせたりして遊んでいる。

必死で床を這ってふいてるローディに、ジョンは「お前がちゃんと拭かないから滑るんじゃねーか」みたいなことを言っていたが、私は「きみが汗っかきなのが一番の原因でしょーが」と心の中で反論していた。だってジョンのパンツ、途中から濡れ雑巾になってたもんね。

スコットは相変わらず、やんちゃ坊主のように飛んだり跳ねたりしながら弾いている。顎の2本のひげにビーズが巻いてあるらしく、動くたびにそれがゆらゆら揺れて、なかなかかっこいい。MCもときどきとっていたが、攻撃的なジョンと違ってほのぼのした感じが対照的でよかった。

フランク・ベロは、最後のほうで歌舞伎の「暫」みたいなポーズ(右手を前に出して足を開いたまま斜め前にたたらを踏んでいく・・・わかるかなあ?)でステージ右の袖に入っていったが、あれ、なにをしてたんだろう? 機材の調子でも悪かったのか。顔は笑っていたから、単に遊んでいただけかも(^^;)。

それにしてもこの連中のタイトなことといったら。こういうバンドってライブでは粗くなりそうに思われがちだが、とんでもない。全員が飛んだり跳ねたり頭を振ったりしているのに、演奏そのものは実に見事に決まっている。掛け合い部分の声出しももうぴったりのタイミングで、「う、気持ちいい!」って感じ。客の声もよく出ていて、バンドとの絶妙のバランスを作り上げていた。こういう部分がライブを引き締まったものにするんだと思う。

私が後ろにいたせいかもしれないが、ヴォーカルの音量が少ししぼり気味で、ジョンが遠くで歌ってるように聞こえたものの(クリアには聞こえたのだが)、その分、他の楽器の音はとてもよく聞こえた。ちゃんとスコットとポールのギターの音が聞き分けられたし、ドラムもベースもクリアだった。そのせいか、今まであまりひとりひとりのプレイは気にしたことがなかったのだが、スコットのギターがとてもきっちり弾けてるのに驚く。モナコに聴かせてあげたいと思った(^^;)オイオイ。


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