Aerosmith (March 12,1998 at Yokohama Arena,Kanagawa)
やっぱり小さい会場はいい〜。センター席の横のほうだったが、サイドウォークに近かったので、だれかがそこに来るとかぶりつき状態。近くで見ても、みんなものすごく若くて、ものすごくかこよかった。私がいたほうのアリーナ席には、車椅子の人たちの席があったのだが、最後のほうではスティーブンがそこまで行ってみんなと握手し、女性には抱擁とキスまでして去っていくというおまけつき。ジョーもよく出てはくるのだが、彼はスティーブンと違ってあまりファンを見ない。髪を振り乱し、体を折り曲げながらギターを弾きまくるだけ。それでも、彼がそばに来るともうスティーブンのほうを見ている余裕がなくなる。困る。どっちも見たいのに〜。
スティーブンは、小さい会場でやるのがとてもうれしかったとみえて、「ないす、すもーる、ぷれいす。くろーすとぅゆー。ぱーふぇくと」と言っていた。彼、日本人が英語あまりできないのを知っているので、シンプルな言葉を選んで、ひとつひとつの単語をゆっくり発音してくれる。
セットリストも大幅に変えてきた。昔の曲、しかもかなりレアな曲がめじろ押しで、コアなファンは熱狂しまくり。ただ、どの曲もふだんあまり演奏していないからか、演奏そのものにはかなりミスが目立ち(特にジョー)、まとまりはあまりよくなかったと思う。"RATS IN THE CELLER"の後半、ジャムセッション風に決めるはずの部分では崩壊しかけていたように私には聞こえた。PAのバランスのせいかもしれないが。武道館のときには奇跡のようになめらかだったセットチェンジにも「間」が目立ったし、途中スティーブンがいらだってる様子がよくわかった。それでも最後まで投げることなく、自分自身を鼓舞して、会場を盛り上げようとしていた姿にプロのミュージシャンシップを見た思いがする。
それと同時に、バックの演奏が荒かったせいで、スティーブンのヴォーカリストとしての力を思い知らされた夜でもあった。彼、絶対音感の持ち主なんじゃないだろうか。演奏がよれても、リズムが狂っても、彼自身の歌には微塵も影響が現れない。むしろ、彼の歌を柱にして、まわりのメンバーがなんとか崩壊せずにすんだといっても過言ではない。こういう人物が中心にいたからこそ、いろんなことがあってもエアロスミスは現役のバンドとして成功し続けているんだなあ。
この日のスティーブンは赤い上着に黒のサングラスで登場。黒のTシャツとベストは9日と同じだけれど、下は黒に銀色プリントのひらひらパンツ。こういうパンツで、くるっと後ろ姿を見せてお尻をふってみせるポーズが堂々とできるなんて、元々の体質もあるのだろうが、やはり努力の賜物なんだろうな。鍛え方がちがうから、ステージの端から端まで走り回っても息の乱れもみせずに歌うことができるんだものね。
ジョーは黒の上着に黒のジーンズ、光る紫色のシャツ。黒い髪に映えてすてき。途中でスティーブンが両手を広げてジョーに近づいていき、ジョーも両手を広げて抱擁しあったのちにダンスを踊る、というひと幕があったのだが、このとき、ジョーの紫色のシャツとスティーブンの黒い上半身のコントラストと長い髪の輝きが実に美しくて、「ベルバラみたい〜(*^_^*)」と場違いなため息をついてしまう私なのであった(変態?)。横浜アリーナのように小さい会場では恥ずかしかったのか(?)、ジョーはアンコールでも上半身裸にはならず、黒の袖なしピチTで現れた。でも、この形のTシャツをかっこよく着こなせる人ってのもめったにいない。
ブラッドは黒のスキーウェアみたいな上下で、袖と足の両横に黄色い太い線が入っていて、なかなか派手。トムはカーキ色のピチTにビニールみたいな素材の同系色のパンツ、それに山の低いシルクハットみたいな黒い帽子をかぶっていた。トムもこの前の来日のときくらいからシェイプアップし続けていて、きょうみたいに帽子をかぶっていると髪の寂しさ(おいおい)もわからないから、えらくかっこいい。お尻のポケットに葉巻らしきものを何本かさしていて、それをファンにあげていた。
ジョーのコーナーでは1曲めにひさしぶりの"RED HOUSE"をやってくれた。うん、やっぱりこの曲のほうがジョーの声には合ってる。ちょっとしゃがれた感じに声をつぶして歌うのが、とてもかっこいいのだ。ただ、これと"MESSING AROUND"は似たタイプの曲なので、そのあたりがちょっとだれたかな。
"PINK"でのお運び役は、なんとPUFFYのかたわれ(ごめん、名前知らないの)! 渡したあとに「約束だよ」とか言ってキスなんかしちゃったものだから、会場からは「キャア〜!」という悲鳴が。あれは、「いいなあ」というよりは「くやしい〜!」とか「ずるい〜!」というニュアンスが強い「キャア」だったなあ(^^;)。でも、これもすごいことだと思う。だって、この前見たU2でも、ボノが客席の女性をステージに上げて、ぎゅっと抱きしめながら踊ったりしたんだけど、(この私も含めて)会場からのリアクションはもっと冷静だった。嫉妬の悲鳴を上げさせるだけのフェロモンを50歳をすぎても発散させるスティーブンという人はすごい。
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