とことんシビアなレイ ver.1.0  03/17 07:42




★ふたりめ「とことんシビアなレイ」

●基本的に

・概観

わたしの中ではこの「シビアなレイ」は文字通り「厳しい」(優しくない)
基本イメージは1〜12話辺りの、シンジに対して極めて関心の薄いレイだ。
とにかく無表情。周りに無関心でマイペース。「独善者」呼ばわりも無理はない。
他人に泣き言は言わない。独りの時ポツリと口から出るくらい。
よく見ると、かなりの強情張りだ。無駄口には、一言冷静な皮肉が返される。
自分にも他人にもほとんど気を使うということをしない。だから不器用に見える。
硬い氷の心の壁。壁の内側にはなにも見えない(のだが…後述)
彼女は言う「関係ないわ、私は私だもの」「幸せなんて、いらない」

#少女レイの氷の壁は薄く、女っぽいレイの壁は溶けている。まとめで。

●エヴァなお話に見る「シビアなレイ」(可能性の展開として)

・前書き

実際わたしのイメージだと厳しすぎる(汗)、「アヤナミストのための
小説補完計画」をざっと見てみたが、近そうなのでも2つほど…
もっとも極めてお話にはしにくい気がする(汗)
#こんなレイに一番愛情を持っている私は、ホントに綾波補完委員会
#委員長なのだろーかといつも疑問なのだが…(爆)

・文庫写真集「REI」

頭から反則(爆) だが…「シビアなレイ」に限らず本編で見たはずの
甘くない、そしてかすかに揺れる心を改めて見るためには、一番の
逸品だと思う。II章でぐさぐさ心に刺さるが、III章は厳しく、そして
切ない。

・SADAさんの作品群

「蒼き淵にて」他、シンジに対する想い(の表現か?)が極めてドライ。
シンジが戸惑うのも無理はないのだが、これがレイなんだろうなとも思う。

・「EVANGELION:SACRIFICE」

閉鎖されたのが実に惜しい。かなり内心は鬱屈したものがあるレイだが
表情は本編以上に無感情。想いはかなり深そうなのだが、それを絶対に
出さない。

・「7つ目玉エヴァンゲリオン」

全くの別物ではあるのだが…シビアというよりクール。シンジがとんでもない
せいか、悩むのはレイの方だったりするが(汗) 淡々と仕事をこなす所といい
美味しいところを結構持って行くところといい(爆)、出番の少なさといい(激爆)
何故かしら本編を彷彿とさせる。先行きが不安で楽しみ(汗)
…シビアなレイというより貞本さんのレイをぽけぽけじゃなくてさらに透明
無口にした感じなのだが…わたしのお気に入りと言うだけか?(爆)

・aLuckkeyさんの「ReiForce」シリーズ

大反則(爆)、元はゲームパロだし、レイではなくダミープラグのレイだし(爆)
シビアというよりすさまじく激情的で、ひたすらシンジに会いたい…なのに
その存在の痛さ、業、生死をも一眼だにしないその心は、極めて厳しい。
シビアなレイとは徹底した戦士なのかもしれない(汗)

#我ながら…バラバラ(汗)

●本編の始まる前の物語

・前書き

TV本編では1〜12話(5・6話除く)のレイは極めてシンジに
関心が薄い。大ざっぱに見ればゲンドウにしか関心がないように見える。
何故そう見えるのか?本当にゲンドウにしか関心がないのか?
本編が始まる前の状況を推測しながら、レイの性格形成を辿ってみたい。

・出生

如何様にしてレイが誕生したのか?はユイの実験、補完計画、初号機と零号機、
リリス、水槽レイ(クローン)など本編中で特に曖昧にされた部分で、
ゲンドウとユイの思惑を考えないとどうしようもないところではあるのだが、
それは別項。ただ、レイの存在が「(ゲンドウの)補完計画上、不可欠な部品」で
あったらしいこと。故にレイにとって「部品としての自分」ということが何より
最優先の事だと条件付けられた、ということではないだろうか。

補足だが、14話Bパートにおけるレイのモノローグなどから、レイ自身
ある程度は出生のこと、もしくは補完計画(ゲンドウの思惑)については
知っていたのだろう。
そのことをふまえると、レイ自身の本編における自己の定義は結局の所
「魂の器」(自分は容れ物)であり「偽りの心」(心は本来不必要)
なのだろうと推測する。

・1stレイ

1番目のレイを考えると「部品としての自分」も端から矛盾するのだが(爆)
描写としてはリリス(使徒)として、もしくは幼少の子供の、無邪気な残酷さ
が表現されているのだと思う。ある意味「本能に忠実」とも言える。
1番目のレイは「すげぇ女っぽいレイ」「象徴的なレイ」との関連で
述べた方が適切であろう。

・ネルフの置かれた立場と、人工進化研究所3号分室暮らしの時期

1.「使徒の再侵攻による人類絶滅」に対応するための機関としてネルフが設立された
ことは(建前としても)確実であろう。よって最優先事項はエヴァの構築と実験だろう。
故に、エヴァのデータ取得のためにも「実験体」としてレイはフル活用されたので
あろう。まして「過去の履歴は抹消」ネルフの外にはなんの係累もない。
倫理的に問題があるような実験も数多く成されたであろう。

2.まして補完計画、ダミープラグ、おそらくはレイ自身についての実験、検査
も数多く成されたのであろう。これらはレイ自身にネルフの裏で行われていることの
情報を多く与えたことだろう。

3.また、「使徒との戦闘」が予想される以上、エヴァ自体の知識や戦闘訓練、
レクチャーも、相当成されたはずである(このあたりはアスカも同じだろう)

その上で、どのような人格形成がされるだろうか?

レイはネルフの外を知らない、人間扱いされようがされまいが、ネルフという
環境(研究組織であり、特殊な軍事組織)を「当然のもの」と受け止めるのでは
ないか。ネルフやエヴァパイロットであること、補完計画に組み込まれている
こと自体は、レイにとってなんの価値でもない。#シンジ、アスカとの対比

また、「実験体」として扱われることで、「部品としての自分」という意識も
より強固になったのであろう。レイにとっては「自分の目的のために、ネルフが
存在する」のではない。「ネルフ(補完計画etc..)のために、自分が存在する」
のであろう。

つまり「部品としての自分」=「ネルフにおける役割」に徹すること。
これがレイの基本的な態度になったのだろうと推測する。

故に周りには無関心でいい。レイにとって重要なのは「ネルフにおける役割」
なのだから。レイが泣き言を言っても誰も聞きはしない。慰めるより重要な
ことは他に幾らでもあるのだから。

#6話「絆だから…」「…みんなとの」「わたしには、何もないもの」を、
#ネルフにおける人間関係、計画との関係の上において、自分の存在意義がある。
#しかし結局は「部品としての自分」にすぎないという自嘲とも聞こえる。
#まぁ異論はたくさんあるだろうが…

ただし、レイがネルフの表から裏まで知り得る立場(詳細にではないにしろ)
にいたことは重要だろう。それこそアスカやシンジはおろか、ミサト以上で
あったことは確実といえる。実際どうだったのかはわからないが、ネルフと
いう組織形態をレイなりに精通し、習慣として身についていたということは
あり得るのではないだろうか。

・ゲンドウとリツコ

ゲンドウとリツコが、レイにとっての Key Personであることは
間違いない、彼らがどのようにレイに対したかがやはり重要なのだが…
あまりにも情報が少ない(爆)

おそらくは、「(エヴァの、補完計画の、etc..)部品」であるという事が
最優先事項であることは常に忘れてはいなかったのだろうと思う。
しかし「部品」であることを前提とした中において、それなりの人間的
な接し方をしていたのだろうと推測する。
根拠はゲンドウがレイを学校に通わせた事、ネルフの外の402号室に
住まわせたこと(他の原因もあり?)、15話「食事にしよう」。
リツコの5話「とてもいい子よ、お父さんに似て不器用だけど」

ゲンドウとリツコがレイに与えた影響だが、レイ独特の口数の少なさ、
冷静さ、辛辣さは、かなりゲンドウとリツコの態度を、レイなりに
真似た?ところが大きいのではないかと推察する。ゲンドウの必要で
無いことは口にしないところ、滅多に感情を表に出さないところ、
おそらくは政治的な冷静さ。リツコの科学者としての冷静かつ辛辣な
判断(辛辣さはリツコの女としての…ということもあるかもしれない)。
等々…マイペースさ、「独善者」、強情張り、不器用…影響はやはり
濃いのだろう
#ゲンドウとリツコの態度に関しては推測である。念のため。

ただし、ネルフ自体がかなり効率を重視する組織であったろうし、
研究組織、軍事組織としての厳しさ、冷静さの雰囲気があったとすれば
そういう雰囲気にレイが知らず影響されたということもあるだろう。
(ちょっと自信がないが…組織集団の雰囲気は集まる人間次第だろうから…)

・包帯少女、病院

レイの初期イメージとして「包帯」「病院」は欠かせない。
数々の実験や訓練によって、彼女は相当病室の世話になったことだろう。
なにもなくとも検査づけの毎日だったのだろうとも思うが。
#3号分室も402号室も、汚くなった病室のイメージがある

そのことの影響を考えてみる(かなり自分の思いこみを投射すると思うので容赦(汗))

ひとつに「医者には結局逆らえない」(爆) といった感覚がわたしにはある。
慣れてきたり、体験上の知識とかでいくつか言うこともできるが、
特に検査とかでは医者に任せる他はない。
レイの場合それこそ実験づけ、検査づけであったろうから、「命令にただ従う」
ということが習慣化しても無理はない。

次に「自分の身体に対し、意識的になる」ということがあるように思う。
わたし自身が病弱だっただけかもしれないが、しょっちゅう身体をおかしくすれば
否応なしに意識的に自分の身体をコントロールすることを、ある程度覚えるし、
また時折自分の身体の具合を注視してしまうようになる。レイがクローンの如くな
出生や、「(自分の身体は)魂の器」と考えているならばなおさら、
自分の肉体に対して考えることは多かったのではないかと思う。

最後に、やはり病室に1人でいること(レイも多かったであろう)は
やることがないため、なんだかんだ考える(爆) 自分のことについて
考えることも多いだろう。余計なことを妄想して苦しむこともあれば
落ち着いて客観的に自分を見つめることもある。そういうことの繰り返しや
「部品としての自分」の自覚が、レイに「自分を冷静に客観視する癖」
を身につけさせたのではないか…
#この節ほとんど妄想(爆)

・零号機事故…ゲンドウの眼鏡

レイとゲンドウの関係が、色濃く活写されたエピソードだが、レイの心情に
ついてのみ考えてみようと思う(ゲンドウについてはいずれ…)

零号機の暴走の原因は「レイの不安」ということでいいと思う。
レイは「部品としての自分」に徹していたと思うし、そうしようとして
いたのであろう。「自分は部品でいい」と。
しかしやはり満たされないものがある。
「自分は部品でいい。でも、自分はここにいていいのか」
といった不安があったのではないかと思う。
部品としての存在価値は実は空虚なものであることを感じ取っていたの
ではないだろうか。(「わたしには、何もないもの」)
ただの「綾波レイ」に価値があるわけではない。
また、レイ自身が望んで「ここにいる」というわけではないのだ。
(「無に還りたい」)
意識的であったかどうかはわからない。
しかし何らかのキッカケで、「部品としての自分」の空虚さへの不安が
出てしまったのが零号機事故だとわたしは考える。
(キッカケ自体は今は考えないでおく)
そしてゲンドウの必死の救助と笑顔。壊れた眼鏡。
レイはそのゲンドウの姿に「自分がここにいていい理由」を見いだしたのでは
ないだろうか。
そして、「自分がここにいて良い証」としての眼鏡、それはレイを「ここ」
に繋ぎ止める大事な「碇」であり、レイ自身の意思でもある。

…かなり恣意的な解釈だろうとは思う(汗)
でもわたしとしては、
 5話のシンジへのビンタ、6話ラストのゲンドウを思い浮かべての笑み、
 23話Aパートのゲンドウの姿を見ての死、Bパートの眼鏡を握りながらの涙、
 3人目の諦めたような表情、EoEでの眼鏡の破壊
これらが
「ゲンドウ、ゲンドウの眼鏡が、レイの『ここにいていい理由』にだった」
ということで説明がつくように思うのだ(汗)

・後書き

シンジがネルフに来るまでのレイの性格形成について大まかに辿ってみた。
これを読んで「レイの人形化」「レイのシビア化」どちらの面も読みとる
ことが可能だろう。
どちらが正しいというわけではない。
その両面をもちつつ、決して一面にとどまらない立体的な存在。
それがレイなのだろうと思うから。
#立体的な存在であることはシンジもアスカも同じ

●最後に…わたしの想い

おそらく…この「シビアなレイ」に対して私は一番深い想いを抱いている。
その厳しさの裏側にある「寂しさ」に、抱きしめて泣きたくなる。
側から離れたくないと思う。だけど彼女は言うのだ。
「寂しいのは、あなたよ」   ………
-------------------------------------------------------------------
つーわけで、完成バージョン。お返事は期待しないが(爆)
読んでる人はそこそこいるのであろう。
出生からシンジが来るまではツッコミ欲しいけどね(汗)
はぁ…先はながいぞぉ〜〜〜


-ANNEX-  

mail to <mal>