昨(2006/09/14 木)の産経新聞「正論」欄の 『製紙業界の買収騒動が残した
教訓:早稲田大学大学院 川本裕子教授』は面白い問題の提起だった。
(註)全文は 「http://www.sankei.co.jp/news/seiron.htm」で読めます。
内容の項目は 《考えるべきは企業価値の最大化》〈敵対・友好の判断基準とは〉〈挫折
したオープンな手法〉〈問われる製紙業界の将来〉だったが、私の興味は 内容の「製紙
業界の将来」では無く、教授が指摘する 「TOBの敵対・友好の判定方法」にある。
川本教授は 本来TOBは 企業価値最大化の方法に関する市場という公開の場で
の真剣にディベート(論争)されるべき≠ネのに、実態はそのプロセスが欠落し 愚かにも
その事柄の言葉の語感で左右される傾向が大きいと指摘する。
そしてその経緯を 次のように説明する。(前略)なぜ経営陣の判断で 敵対的か友
好的かが決まるのか。また「敵対的」という言葉は殺伐とした印象を強く与える。そこにさ
まざまな混乱や興奮の源があるような気がする。%魔ノ その通りだと思う。
しかし残念なのは この文章が「問題の 指摘」に終わっていることで、できれば具体的
な方法論に踏み込んで欲しい と思うのは私だけだろか。方法は 有るのに≠ナある。
「基本投入費原理」によれば 「企業価値最大化≒総合生産性極大化」である。
それがホリエモンの云うような 時価総額の拡大 では無い≠アとは、今はもう 誰も
が納得している。しかし 総合生産性指標によれば、企業価値ないし企業グループの価
値の最大化は すべて数値的に目標化されることは、誰も 知ら無いのである。
それは目標化だけで無く 具体的な投資や 雇用≠フ経営行動の意思決定にも使え
るのである。と云うことは 当にTOBなどの企業再編は その再編によって 当該企業
グループの総合生産性が向上するか否か≠セけを検討すれば良いことになる。
これが当を得れば 今後は「TOB区分」も、直接的な敵対・友好の前に そのTOBによ
る総合生産性の向上が確認され、それでもなお それを超えるような経営意思があるか
否か≠ェ問われることになり、様相が一変するかも 知れ無いのである。◇
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