「TOBの 敵対・友好の判定」 (歯痒末説 ver93.1)

  昨(2006/09/14 木)の産経新聞「正論」欄の 『製紙業界の買収騒動が残した

教訓:早稲田大学大学院 川本裕子教授』は面白い問題の提起だった。

(註)全文は 「http://www.sankei.co.jp/news/seiron.htm」で読めます。

                                          《末説一覧へもどる》

 内容の項目は 《考えるべきは企業価値の最大化》〈敵対・友好の判断基準とは〉〈挫折

したオープンな手法〉〈問われる製紙業界の将来〉だったが、私の興味は 内容の「製紙

業界の将来」では無く、教授が指摘する 「TOBの敵対・友好の判定方法」にある。

 

 川本教授は 本来TOBは 企業価値最大化の方法に関する市場という公開の場で

の真剣にディベート(論争)されるべき≠ネのに、実態はそのプロセスが欠落し 愚かにも

その事柄の言葉の語感で左右される傾向が大きいと指摘する。

 

 そしてその経緯を 次のように説明する。(前略)なぜ経営陣の判断で 敵対的か友

好的かが決まるのか。また「敵対的」という言葉は殺伐とした印象を強く与える。そこにさ

まざまな混乱や興奮の源があるような気がする。%魔ノ その通りだと思う。

 

 しかし残念なのは この文章が「問題の 指摘」に終わっていることで、できれば具体的

な方法論に踏み込んで欲しい と思うのは私だけだろか。方法は 有るのに≠ナある。

「基本投入費原理」によれば 「企業価値最大化≒総合生産性極大化」である。

 

 それがホリエモンの云うような 時価総額の拡大 では無い≠アとは、今はもう 誰も

が納得している。しかし 総合生産性指標によれば、企業価値ないし企業グループの価

値の最大化は すべて数値的に目標化されることは、誰も 知ら無いのである。

 

 それは目標化だけで無く 具体的な投資や 雇用≠フ経営行動の意思決定にも使え

るのである。と云うことは 当にTOBなどの企業再編は その再編によって 当該企業

グループの総合生産性が向上するか否か≠セけを検討すれば良いことになる。

 

 これが当を得れば 今後は「TOB区分」も、直接的な敵対・友好の前に そのTOBによ

る総合生産性の向上が確認され、それでもなお それを超えるような経営意思があるか

否か≠ェ問われることになり、様相が一変するかも 知れ無いのである。◇

                                           《末説一覧へもどる》

-------------------------------------(歯痒末説 ver90.1)-----