「ゴーンの 教訓」(歯痒末説 ver90.1)

 電車の中の吊広告で 下記の記事に気を惹かれ、駅で求めて 一読してみた。下記は 

INTERNET WEDGE(http://www.wedge.co.jp/c_1.html)での紹介文だが、その復活宣

言から10ヶ月の現在 日産は、主要市場の販売動向が 日本・北米・欧州を中心に極度

の不振に陥っていると云う。

 

 ゴーンの業績は 既に神話化されている趣があるが、もともと実態は そう不思議なこと

を遣った訳では無い。在来の日産の経営者は 権柄づくだったが、ゴーンは何より 自身

が自動車が 好き≠ネのが良かった。経営が 好き≠ヘ 権力型になるが、自動

車が 好き≠ヘ否応無しに「技術指向」になり それが好循環したのである。

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 「技術指向」は それまで「財務権力」に抑圧されていた開発力の蓄積を 再生・解放

し、それが顧客に受けて 売り上げを伸ばし、工場の稼働率を上げ 極限までの資材の買

い叩きと相俟って、損益(だけ)は 一部工場の閉鎖効果を併せて採算ベースに乗せた。

しかし問題は ラクダの瘤を食い果たした後の開発の 継続≠セったのだ。

 

 今回の事態は (別途に数字を持た無いので そのまま信じれば)結局 「技術指向」

が「在来財務」の壁にぶつかった≠ノ過ぎ無いと考える。WEDGEの解析は 断定はして

い無いが、販売不振の原因を ほぼ新車開発の低調・遅れであることを匂わせる。それだ

けでは無かろうが 私も(販売不振が 世界的なことから)それが原因だと思う。

 

 結論的には これはコミットメント(必達目標)達成の宣言が 早過ぎた≠ニ云うことで

ある。その原因は ゴーンにしてやはり、在来財務の 罠に堕ちた≠ニ云うことなのだ。

経営を 損益だけで見て、「基本投入費原理」で「基本投入費」に算入すべき 「研究開発

費」を算入せず、「総合生産性」を確認し無い 達成宣言は浅はかと云うより無い。

 

 最近の日産の研究開発費は WEDGEの本文を参照願いたいが、もし必要な研究開発

費を算入した総合生産性を確認したら、とても 達成宣言など行える情況では無かったの

だ。経営者は かほどに損益の辻褄は 合わせ易い(それも実は 大変なのだが)≠ア

とに思いを致すべきだろう。以って ゴーンの 教訓≠ニする次第である。◇

 

《「墜ちた偶像」カルロス・ゴーン 行き詰まる錬金術経営》 (WEDGE/8月号より)

〈堀江・村上にも重なるか 短期志向のカネ稼ぎはファンドと同じだ〉

 日産自動車の「救世主」ともてはやされてきたカルロス・ゴーン社長に「墜ちた偶像」の気

配が濃厚に漂ってきた。

 昨秋以降、内外での販売が低迷するや、V字回復の担い手だったコミットメント経営のめ

っきが剥げ、「技術よりカネ」、「短期志向の計画作り」といった、日本的なモノづくり経営と

は相容れない実像が明るみに出てきたのだ。

 お雇い外国人経営の限界を露呈したゴーン流経営の実体に迫った。2005年9月22日。

東京・東銀座の本社で記者会見した日産自動車のカルロス・ゴーン社長兼CEO(最高経

営責任者)は中期経営計画「日産180」(02〜04年度)の最後のコミットメント(必達目標)

であった世界規模での100万台増販が達成でき、「日産の復活は完了した」と高らかに宣

言した。……(本文より)◇                          《末説一覧へもどる》

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