カチャンッ・・・・
ダイヤモンドリリー
意味がわからない。
なぜ、千石が倒れるんだ?
なぜ、千石は胸から赤を流しているんだ?
なぜ、俺は生きているんだ?
「千石!!!」
俺は大声で叫んだ、横のうざい男をなぎ倒して倒れた千石のところへ。
ファーストは目の前で何が起きたか判らず固まっている。
一瞬だった。
トリガーを引くほんの数コンマ前。
千石はクルッと銃、ブラストを反転させ自分の方を向けた。
そして。
「おい、しっかりしろよ!!おい!!」
俺はガクガクと千石の体を揺すった。
目を・・・目を開けてくれ。
「あー・・・南ぃ。」
「千石!待ってろ!手塚のとこ行こうな?あいつなら治してくれるからな!」
「うん・・・そ・・だね。」
俺は千石と話しながら服を脱ぎ止血をした。
が、血は止まらない。
次々と流れ出してきて千石の体温と体力を奪う。
「な・・・南ぃ」
必死に止血する、俺の腕を掴んで千石が言った。
「痛いのか?大丈夫だから、がんばれよ!」
「ちが・・・っ・・・痛みは・・・ないよ・・・・ちょ・・・寒い・・・だけ。」
「くそっ」
「ねぇ・・・南・・・聞いて・・・?」
「千石・・・?」
「お・・・れ・・・・。」
千石の声がだんだん小さくなっている気がする。
「なんだ?オマエがどうした?」
俺は冷たくなっていく千石の手を握った。
「み・・・なみ・・・のこと・・・・・」
必死に唇を動かす千石。
笑顔を作って必死に。
「す・・・ご・・・・・・く・・・・・・・ 」
最後の言葉は声にならなかった。
唇が少し動いただけ。
千石の手は俺の手から、ずるり、と滑り落ちた。
涙を浮かべて最後に笑った千石。
「千石ーーっっ!!!!」
その後俺は、ファーストを殺した。
そして、千石を抱いて、あの街へと向かった。
「ねぇ、パパ。また、あの人いらしてるわ。」
「そうか。」
「あのおはか、どなたのなの?」
「あれは・・・あの男の半身の墓だ。」
「千石。今年もこの季節が来たな。お前、秋が一番好きだったよな。」
そう言って、俺はダイヤモンドリリーの花を墓の前に置いた。
「お前が死んでもう五年か、早いな。」
にゃぁ
オレンジの毛のネコが俺の足にまとわりつき鳴いた。
「あぁ、悪い。じゃあ、行くな。千石。また、来年この場所で。」
END
アトガキ
はい、ちなみにダイヤモンドリリーとはネリネのことです。
花言葉は「また逢う日を楽しみに」と言う意味。(幸せな思い出って言うのもあるらしい)
年に一度彼らは再会するのです。
あ、あと、「ぱぱ」と呼ばれていた人は手塚さんです。
あー、終わり暗いなー。
他の結末を見たいという方は戻ってみてくださいね。
2002.11.5 ユウリ
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