GTI(Gottu Takaizo Ikaretara)”

(作者:宿院@兵庫GTI)

この文章は、宿院@兵庫GTIさんがBBSへ書き込みされたのを無修正で転移しております。他のメンバーの方々も何かありましたら、管理人まで投書願います。(’98/10/15更新)

 

 平成8年6月22日、ついに私はGTIを手に入れた。しかし、その日から、飽くなきトラブルとの戦いが待っていた。

 納車の帰り、調子よく回して走っていると、急にエンジン音が静かになった。「をーっ!なんですぅかー、こりはーっ!」私はのけぞった。

高速走行中にストールするとは・・・インパネのウォーニングランプがキレイに点灯している。「どっちにしても再スタートしないと。」そう思って私は、キーをスタートの方にひねり、セルを回そうとした・・・けど回らない。そう、私は、ゴルフのキーは、一度オフまで戻さないとスタートまで回せないことに、今気づいてしまった。セルをガリガリ鳴らさなくて済むニクいアイデアだけど、この時ばかりは、ホントに憎かったぞ。私は、ブレーキブースターの余力が何とか保ってくれる事を期待して、路肩に寄せて、ブレーキを踏んだ。

とりあえず、路肩に止めて呆然としてしまった。同乗していた妻が、「サービスエリアで停まればいいのに。」と、わけのわからんことをのたまう。幸いにして再始動可能だったので、停まるなよと祈りつつ、家まで帰った。後日、ヤナセの某営業所へ持ちこみ、診断依頼をする。サービスフロントいわく、「点火時期が相当狂ってます。」

「点火時期が相当狂ってます。TCIコンピュータが原因と思います。」

そ、そんな・・・私は、絶句した。実は、A2購入に際して、燃料噴射装置(KEジェトロニック)の資料を集め、とっさのトラブルに困らないようにしていたつもりだったのに、「そっちの」コンピュータだったとは・・・というのも、ご存知の方もあると思うが、A2のKEジェトロニック車は、燃料系コントロール用のコンピュータと、点火系(TCI)コンピュータが別個に存在する。(因みに、一つにまとめたのがモトロニック)と、いうわけで、そんなにしょっちゅうストールや加速不良が起きたら、命に関わるんで、納車早々10万円の出費は痛かったが、コンピュータ交換に踏み切った。続けてジェトロニックのコンピュータが壊れたらどうしようと思うと、夜も寝られず、昼寝しそうで怖い。

しかぁし、悲劇はこれからなのだ。

コンピュータ交換後、快調に突っ走っていた・・・と思ったけど、思い過ごしだったみたい。

時折、トルクが極端に細くなり、山道では市バスにパッシングされ、発進時、ローで発進したつもりがサードと間違えたかな?と思うほど、ぎこちない加速しかしない。私は、こんな時、表面的には、「うっわー」とか、「どっひゃー」とか、「どないしょー」とか取り乱したように見せて、内心、冷静に考えをまとめている。(妻は、決してそうとは信じてくれないが)

「ガソリンエンジンの三要素は、良い圧縮・良い火花・良い混合気・・・火花の問題(点火時期)は片付いたから、あえて言うなら混合気?どっかから空気でも吸ってるかな?」と考え、とりあえずインテークパイプを点検すると、一箇所だけひびが入って空気を吸ってるらしいところを発見し、そのパーツ(インテークエルボー)を○衆自動車商会(モ○タ○マガジンに良く広告が出ている、新品パーツがヤナセ経由ながら10%オフで通販してくれる、DIYの強い味方。)に注文したが、大○自動車商会の人いわく、「こんなパーツの注文のパーツが入るのは珍しいですねぇ。ヤナセに在庫照会したら、全国に3個しか在庫が無いそうです。在庫が有って良かった。」とのこと。本当にこれなんだろうか・・・交換の結果、症状は少しましになったものの、基本は同じ。考えた挙句、ヤナセに再入庫。しかし、いつになったらまともに走れるんかなぁ。

ヤナセから、トラブルの原因が判明したと連絡があったのは、それから一週間後の事だった。

ヤナセに赴くと、いつもどおり、「外車は結構壊れると高いけんね、高いけんね、メルセデスだったら、もーっと高いけんね。」と言うけんね攻撃的事実を、包み隠さず冷静に伝える役の人、そう、サービスフロントが、眼光鋭くバキバキ光線をこれでもかこれでもかと発射しつついわく、「原因は、タイミングベルトの歯飛びでした。そのため、バルブタイミングがずれてしまって、加速不良やエンストの原因になっていた。TCIコンピュータとの複合原因だった。」とのこと、うーむ、そうだったのか。わしは、納得した反面、一度に二箇所も故障してしまったGTIに対し、んなろーんなろー、今度故障したらひどいけんねひどいけんね。と、呟いた。

うーむ、尊敬する椎名誠氏の文体を真似て書くのは、実に難しいので、ここからは普通に書きます。椎名さん、真似てすいません(見てるわけがないっつーの)。

因みに、修理に一週間もかかったのは、タイミングベルトの在庫がヤナセのサービスデポになかったので、ドイツオーダーで取り寄せたそうだ。それにしても、こんな消耗品をヤナセが切らすとは・・・インポーター撤退の影響は大きい。でも、国産車よりタイミングベルト交換の工賃が安いのはうれしかった。

修理の甲斐あって快調だったが、念には念をと、エアバルブを購入し、DIYで交換する事にした。が、値段を聞いて、愕然。あーんな、モーターみたいな単純な物が、よ、4万円以上もするか?それでなくても、最近、「マッサージ器状態」から脱するためにエンジンとミッションのマウントを交換して7万余りも

出費したばっかりなのに、このままでは、妻に頭を下げっぱなしどころか、下げすぎて地面に頭がめりこんでしまう。噂どおり輸入車は裕福でない庶民の財布には厳しいのかな・・・?

 何かと御難続きで、そろそろ御払いも考えている我がGTIだが、平穏無事に数ヶ月をすごし、またしてもトラブル発生。とはいっても、今回のは、走行不能に陥るようなものではないので、安心した(もはや、トラブルの発生に対してマヒしてるのだろうか?慣れは怖い。)

今回のトラブルはCATセンサーである。高速走行中、排気温警告灯(CATランプ)がボーっと点灯し始め、最後には点滅しっぱなしという、運転中気になって仕方の無いトラブルだ。奇しくも、この時、そろそろ抜けてしまったショックを交換しようと考えていた(とはいっても、黄色と青でおなじみのビルシュタインや、オレンジのシェルに赤いショックマークのコニとかではなく、雨蛙色のボーゲの「素」ショックである。)ので、ヤナセに入庫し、交換して貰い、都合一日の日帰りで開放。約12万円の出費だったと思う。費用の捻出は、共稼ぎなので何とかなるが、他の人のメール等見ていると、やはり輸入車維持のネックは配偶者らしい。因みに、私の妻はというと、幸いにして、こういう事にあまり動じない性格らしく、「費用が掛かりすぎるから捨てといで」などの棘のある言葉は今のところ回避できている。まるで、所ジョージの奥さんのような、無頓着・・・いや、出来た妻である。合掌・・いや、感謝。

CATセンサーを交換して、やっと平穏なインパネが復活したと安心していた矢先、新たなトラブルが・・・一体、いくつトラブルが発生すりゃ気が済むのか。ドイツ人は、こんなトラブルをどうやっていなしているんだろう。因みに、ドイツでは、中古車として流通するものの多くは20万キロぐらい当たり前に使われたもので、それを結構な値段をつけて売り、買い手も負けじと更に10万キロ以上乗りまわすという、実にストイックなものだと聞く。日本人とは、価値観も考え方も根本から違うのか・・・閑話休題、トラブルに戻るが、フル乗車(4〜5人)状態で、走行中に下回りから「ゴ―ッ」という怪しげな音が聞こえてくるというものだが、今回は気分を換えて、たまたま近所にあったDUOへ行ってみると、「GTIは車高が相当低いから、タイヤとフェンダーが干渉するんではないか」との答え。うーむ、ということは、この車の定員は3人ぐらいか?いっそのこと、ミニのように10インチでも履かせて見るか・・・でも、とても間抜けだ。しかも、地上高が更に下がって、VIPカーのようになってしまう。それも困る。

そして、葛藤する私を嘲笑うように、もっと困ったことが・・・

前の話で書いた異音の原因について、ディーラーの説明に今一つ釈然としなかった私は、兵庫県伊丹市に(余談ですが、南野陽子の出身地です)ある、知る人ぞ知るプロショップ、○ットハウス・ロ○にtelした。そのピッ○ハウス・○コのスタッフいわく、「それ、マフラーの吊りゴムがへたって、地面やアームと干渉してると思います。」とのこと。なーるほど、確かに、それは言える。後で、マフラーゴム、換ーえよっと、と、解決したつもりでいた。ところが、昼休みに用事で出たとき「んごごごーっ」と何かを引きずる音、「ばおぉぉぉぉぉぉぉん」というかつて聞いたことのない怪しい排気音、通行人は、多分、テールから飛び散る火花を見ただろう。(余談ですが、私は、20才の頃、突然マフラーが落ちて、火花を散らしたA1を見ました)なんと、マフラーのサイレンサーが折れて落ちた。マフラーが下がっていたため、余分な衝撃や振動が伝わって、耐え切れずに折れたのだろう。すぐには止まれないので、それを引きずって走る私・・・なんてついてないんだ。

 とりあえず、路肩に停車して、サイレンサーを外す。トランクにしまうと、ジャストフィットじゃないか。ゴルフよ、こんな物を載せる事を想定してトランクを作ったんではなかろうが、とにかく助かった。

職場まで「ばおぉぉぉぉーん」と言わせながら、整備不良の切符を切られないかとびくびくしながら帰る。

(実は、職場のすぐ近くに交番があるのだ)(つづく)