日々のあわわ

● Mail Magazine 日々のあわわ 2003年07月08日(火) 第71号

〜○。今日のあわわ〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

 数に溺れて

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 だんだん蒸し暑くなってきましたね。私がアルバイトしている図書館に来る 子ども達のうかれぶりをみていると、次第に夏休みモードに移行しつつあるの が分かります。

 さて、夏と図書館といえば、私には忘れられない思い出があります。

 私は大学時代に図書館司書資格を取得するための講議を受けていましたが、 卒業するまでにどうしてもとれなかった単位がありました。それが資料分類法 と資料分類法演習でした(最近では昔の資料分類法と資料目録法の科目をあわ せて資料組織概説と資料組織演習という科目になっています)。

 分類法とは、簡単に言えば図書館で本を並べるためのルールのことです。図 書館では、本を探しやすくするために、書かれている内容によって本を分類し、 並べています。その分類の仕方を決めているのが分類法です。現在、日本の公 共図書館や学校図書館など多くの図書館では日本十進分類法(NDC:Nippon Decimal Classification)が使われています。本を0〜9の10のグループに分け (類)、それをまた10のグループ(綱)に、さらにまた10のグループ(目) にわけていきます。NDCでは本を000〜999までの1000項目に分類しますが、 それだけでは足りないので、「.」以下にも分類を設定しています。図書館の 本の背表紙には「914.6」(日本のエッセー)「007」(情報処理関係の書籍) など、3〜6桁くらいの番号を書いたシールがはってありますよね。請求記号 と言われているものですが、それが分類法によってつけられた番号です。

 資料分類法では分類法の理論を学び、資料分類法演習では演習問題をといた りしながら、分類法を身につけるものです。なんで、大学在学中にこの科目が とれなかったかというと、講議をさぼったり、不勉強だったりして、成績が悪 く、当然の結果として単位を落としたからです。しかし、このとき、まだ私は 安心していました。なぜなら、私は大学卒業後、教職の1級免許をとるために、 大学の専攻科(大学院もどきみたいなところです)というところに1年、通う ことになっていたからです。専攻科にいっている間に、大学で分類法をもう一 度、とろうと思ったら、なんと専攻科生は司書資格の講議を受けられないこと になっていました。私は驚きましたが、この科目だけのために司書の資格が取 れないのも、くやしすぎます。なんとかしたい思っていたところ、鶴見大学で 図書館司書の夏期講習があるときき、分類法だけ受講することにしました。

 夏の暑い時期、今度こそと思って、鶴見大学の講義室にはいって、私が最初 に目にしたのは、かつて分類法で私を不可にした先生でした。先生はこの夏期 講習でも教鞭をとられていたのです。

 「うひゃあ」と思ったのは私だけではなかったようです。なんと、先生も私 のことをおぼえていたのです。あとで、鶴見大学の職員の方とお話する機会が あったときに「先生が名簿をみて、この人は僕が落としちゃった人だけど、な んで大学の講議じゃなくて、ここの夏期講習に来ているんだろうと言ってたん ですよ」。大学の分類法の授業は人数が少なかったし、相当成績の悪い人間と して印象に残ったのでしょう。

 夏期講習の最初の授業の後、先生に挨拶にいったら、「君は去年、3年生じ ゃなかったの?」と聞かれました。私は「いいえ。去年、4年生でした。卒業 したんです」。「それで、ここに来たんだね。悪い事したね」と先生は笑って いました。もとはといえば、不勉強だった私が悪いんだから自業自得なんだけ ど、先生の笑顔を見ていると、私は、なぜか「今度こそ、負けるもんか」と心 に誓い、この夏期講習を密かに「分類法・夏の陣」と名付けていました。

 その講習はというと、期間が短いだけあって内容も濃く、みっちりと仕込ま れました。私の場合、分類法しかとっていないんだから、当然ですが、朝9時 から夕方5時まで、ず〜っと分類法だけ。分類法もきちんと理論を勉強してみ ると、その規則性や体系が分かってきて、つくづく合理的なものだなあと感心 しました。演習ではその規則性と体系を当てはめて分類するだけじゃないかと 思うのですが、それがなかなか一筋縄ではいきません。本の主題を見極め、い かに適切な分類をするかが、けっこう難しい。それは演習でなるべく多くの問 題をこなしながら、納得していくしかないのです。そんなこんなで、講議の間 中、頭の中でNDCの000〜999、「.」以下とか数字がかけめぐって大混乱で した。それまでの私の人生の中で、一番数字と格闘した時期だったと思います。

 講議の最後にテストがあり、出来具合いに自信はなかったのだけど、結果は 単位をとることができました。そこで、まあまあ合格ラインにいっていたのだ ろうと思っていたら、夏期講習の修了式で先生に「君のテストの点はほぼ満点 だったよ。やればできるじゃないか」と言われました。テストの点数には自分 でも驚いたのですが(本当に自信がなかった)、「先生のおかげです」とお礼 を言ったとき、心の中で「今度は負けなかった」と快哉を叫んでいました。

 かくして「分類法・夏の陣」は終わり、それからしばらくは夏がくれば思い 出す遥か彼方の蜃気楼になっていました。あれだけがんばったものの、技術っ て使わなければ忘れていくんですね。

 図書館のアルバイトについてから、再びたくさんの分類番号を目にするよう になったのですが、私が勉強したときとNDCも版が変っているし、アルバイ トである私が本に分類番号をふることもないので、まだ蜃気楼に近い状態です。 また、図書館でアルバイトしてみて、分類法だけでなく、図書館サービスや図 書館の在り方そのものなど、いろいろなところが変化したり、変化を求められ たりしているということ分かってきました。チャンスがあったら、また、図書 館のことを、少しずつ勉強してみようかなあなどと思っています。

〜○。あわわ後記〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

 鶴見大学はもともと曹洞宗の大本山・總持寺による学校法人で、いまでも、 図書館司書・司書補の夏期講習を開催しています。大学の隣には總持寺の立派 な建物があり、ここは石原裕次郎さんのお墓があることでも有名です。石原裕 次郎さんの13回忌法要のときには20万人近い人が訪れたとか。私が夏期講習 に通っていたとき、駅前のスーパーで袈裟姿のお坊さんがシャンプーとリンス を手にとってしげしげと眺めているのを目撃しました。シャンプーはともかく、 リンスっているのか? あと、キャンパスに「歯」と大書した石碑(歯学部が あるため、歯の供養か何かのためのものだったと思う)があったのですが、い までもあるのかなあ。

 次回は07月20日(日)を予定しています。

 どうぞ、よろしくお願いいたします。

                            真魚

                   e-mail:92104094@people.or.jp

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