日々のあわわ

● Mail Magazine 日々のあわわ 2002年09月27日(金) 第53号

〜○。今日のあわわ〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

 綴方教室

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 私がアルバイトしている図書館は、児童書が充実しているせいか、ふだんか ら子どもの利用者が多いのですが、夏休みになるとぐんと増えます。そのため、 図書館とは思えないほど騒がしい事もあります。もっとも、騒がしいのは子ど もだけじゃなく、子どもの親も騒がしかったりするんですけどね。以前、洗濯 機のパンフレットを見ていたら、静かさの基準として、「図書館なみの静かさ」 という記述があったのですが、「これが、私のいる図書館なみということだっ たら、そうとうやかましいな」と思ったものです。

 夏休み中にわんさと増える子どもたちのお目当ては、ほぼ自由研究や読書感 想文などの宿題対策用の資料です。読書感想文なんて、ほとんどが課題図書に 集中するから、軒並み返却待ち。本が貸し出し中だと聞くと、泣きそうになる 子どももいます。

 仕事仲間に「ほかの本を読むか、いままで、読んできた本のことを書けばい いと思いませんか」と言ったら、「みんなふだんは本を読まないもの。それで 何を読んでいいかわからないから、課題図書を選定したり、読書感想文なんて 宿題を設けるんでしょ」と言われ、なるほどと納得しました。そこで、ふと思 い出したのですが、私は、小中高と課題図書を読んだ事がなかったのです。読 書感想文はほとんど、課題図書ではなく、自分で勝手に本を選ぶ自由課題で書 いていたように思います。課題図書に目を奪われたという記憶がほとんどない ので、私の在学中に選定されたものがよほど、つまらなそうに見えたのか、そ れとも、わざわざ宿題のために本を買ったり借りたりするのはめんどくさいか ら、家にある本で間に合わせようと思っていたのか。前者の理由も少しはあり ますが、めんどくさがりやでケチという性格を考えると、どちらかと言えば後 者の理由が大きかったように思います。そう推測するには訳があります。それ は、私が読書感想文が大嫌いだからです。

 私は学校の勉強がまるでダメで、宿題も当然、できなかったけれど、それ以 上にダメだったのが、読書感想文でした。私は小学校から高校まで、読書感想 文にぶつかると常々、「おもしろかった。」と書くだけでは、どうしていけな いのか、と思っちゃってました。私に分析能力がなかった(というか、今もな い)からでしょう。本当に、読後の最初はそれ以上の感想を持ちようもなく、 それをどう膨らませて、原稿用紙数枚にすればいいのか、分かりませんでした。 ストーリーの要約や主人公の気持ちを勝手に想像したものなどを書いて、どう にか、こうにか、規定枚数まで原稿用紙の升目をうめていきました。こんな七 転八倒するような宿題は、なるべく避けたいものです。わざわざ、そのために 本を買ったり借りたりという手間をかけて用意するのも嫌だったのでしょう。

 そんなふうなので、読書感想文コンクールで賞を取る人など、私には雲の上 の人でした。賞を取った人たちの読書感想文が冊子になって渡されたこがあり ます。それを読んで、みんなすごいなあと思いました。どの作文も、話に感動 したのはもちろん、主人公に感情移入しつつ、自分の感情や日常と照らし合わ せて分析し、これまでの自分の生活態度を反省したり、将来に向かって目標を 定めたりなどを規定枚数内できちんと起承転結をつけて書いています。私は、 彼らの読んだ本の内容よりも、その文章テクニックに感動していました。今に して思えば、私が他人の感想文で感動した文章テクニックをきちんと覚えて、 それにならって書いてみれば、少しはマシなものが書けたのかもしれないと思 います。

 いまさら、気づいてももう遅すぎますが、とりあえず、当時の私にはとても できない芸当でした。なぜ、できなかったかのか。そりゃ、私に学習能力がな い、というのが一番の原因でしょう。ただ、当時はよく、分からなかったので すが、今となってはこれかな、と思い当たる事があります。受賞作を読み、み んなの文章のうまさに感動しつつも、私はいつも心にひっかるものがありまし た。

 「この本は、そんなに感動するのだろうか?」

 感想文の受賞作はたいてい、これ以外に感動できる本はなく、まるで人生の 転機になったといわんばかりの書き方をしています。たしかに、そのような本 に出会う事はあります。しかし、現在までの読書経験をふりかえってみても、 深い感動をおよぼし、人生の転機までも感じさせるような本って、そうそう、 お目にはかかれないと思うのです。

 読書感想文の受賞者は、たまたま、そんな本に出会ったのかもしれないので すが、私は小中高を通して、これで、感想文を書きたい、みんなにこの感動を 知らせたいというほど、感動する本に出会ってなかったようです。読んだ本は たしかにおもしろかったが、筆をとらせるまでの強い感情は起こさなかったの でしょう。要するに、モチベーションが足りなかったんですね。でもねえ、と 現在の私は思います。ただの宿題なんだから、そんな感情がどうのこうのと考 えなくてもいいのに。なんとかしようと思えば方法はあったのに、それを知ら なかったりして、きちんと課題をこなせなかったなんて、私は阿呆やねえと。 思えば、読書感想文の受賞者も本当に感動する本に出会った人もいるのでしょ うが、なかには、ただ、作文が上手なだけの人もいたかもしれないし、大人を 喜ばせる文章のコツを知っている人だったのかもしれない。

 それを思うと、私は本当に不器用だったのですね。もっとも、今も不器用な んですけどね。ほら、三つ子の魂百までってやつです。

〜○。あわわ後記〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

 読書感想文が苦手だったような人間がなぜ、ライターやってるのか、自分で も不思議な気がします。ライターに求められるのは、ある事実を媒体のカラー に合わせて書くということでがほとんどで、読書感想文に代表されるような批 評ではないからでしょう。そういえば、小学生のときに、読書感想文を「ドラ えもん」を題材にして書いた人がいて、先生に叱られていました。そうだよね。 小学生のころは、教育的ないいお話の課題図書なんかより、「ドラえもん」の ほうが数百倍もおもしろかったし、みんなに語りたくなっちゃいますよね。

 次回は10月06日(日)を予定しています。

 どうぞ、よろしくお願いいたします。

                            真魚

                   e-mail:92104094@people.or.jp

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