日々のあわわ

● Mail Magazine 日々のあわわ 2001年11月11日(月) 第32号

〜○。今日のあわわ〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

見出された時

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 「日々のあわわ」の2001年09月02日(日) 第27号で、私はプルーストの腕時 計を探す話をしました。つい、先日、その腕時計を手に入れることができまし た。今回はその経過を記したいと思います。

 *これまでのあらすじ*  「舌の上のプルースト」(木下長宏著/NTT出版)で、プルーストの「失 われた時を求めて」の冒頭文が渦巻き状にアレンジされた文字盤の腕時計があ ると知った私は、本に出ていたオルセー美術館に問い合わせのメールを出す (8月5日)。オルセーから「うちにはないが、ルーブルに聞いてみては」と ルーブルのメールアドレスをしるした返事をもらった(8月6日)。そこで、 ルーブルにメールを出してみたところ(8月7日)、10日たってから、ルー ブルのMarieさんから「ある」との返事(8月17日)。しかし、メールには 「注文できるデパートメントストアのメールアドレスを教える」とあったのに、 そのアドレスがない! 私は「アドレスを教えて」とメールするが(8月17 日)、2週間たっても返事はないのであった……。

 メールが届かないのか、バカンスにいっちゃってるのか、ウィルスと間違え られて削除されたのか、それともただ、忘れられてるだけなのか?と思った私 は、9月6日にもう一度、Marieさんにメールを出しました。すると、同じ日 にルーブルのショップ係のThibaultさん(この名前、なんて読むのでしょう。 ティボルト? シーボルト? ティボー?)からメールが来ました。

 「プルーストの腕時計は2種類あって、銀色のメタルのものと、金色で革バ ンドのものとある。両方とも値段は400,13フランスフラン、または61ユーロ。 どちらがほしいかいってくれれば、送料なども計算したオーダーフォームを送 ります。支払いはクレジットカードで」

 この返事を受け取って、いよいよ時計に近付いてきた!と私は小躍りしまし た。竹野内豊と反町隆史の区別がつかなかなくても、1ユーロいくらか知って て役に立つことだってあるじゃあないか(2001年02月06日(火) 第12号参照)。 それにしても、すぐにThibaultさんから返事が来たってことは、やっぱ、Mar ieさんは忘れていたのか?と一瞬、思いましたが、それは、もうどうでもいい ことです。日にちが変わらないうちに、すぐに私は、革バンドもメタルも両方 ほしいこと、オーダーフォームを送ってくれるようにと返事を出しました。

 しか〜し、Marieさん同様、Thibaultさんもなかなかお返事をくれない人で した。それとも、フランスのお店は、客にすぐ返事をしないものですか? そ こで、9月15日、もういちど同じ内容のメールを出してみました。

 それに返事がきたのは10月1日。そこには、2本分の時計の代金と税金、 送料などの合計金額と、クレジットカードの詳細を郵送かファクスで、Thiba ultさん宛に送ってほしいとありました。なぜ、郵送かファクスかというとク レジットカードの種類、番号、期限のほかにサインがいるからだそうです。私 は、その日のうちに商品と合計金額、カードの詳細とサイン、住所と電話番号 を記した用紙をファクスしました。誰が見るか分からないファクスで、カード の番号などを送るのはちょっと軽率だったかもしれません。郵送のほうがよか ったかなとも思いましたが、まあ、気がせいていたわけだし、もしも、何かあ ったら、それはそれで、いい体験談になってまたメルマガに書いてやるわいな どと居直ることにしました。

 で、どきどきしながら、また日にちが過ぎて、どうなったのかなあと不安に なりはじめた10月19日、「昨日、郵便で送ったから1〜2週間で届くと思う」 というメールがきました。やった! こんどこそ、ホントにやった! 1〜2 週間ってずいぶんブランクあるけど、でも、いいや。私、待つわ。

 と思っていたら、アメリカで炭疽菌テロが盛り上がり、日本の郵便局でも海 外からの郵便物に注意しているとのニュース。「うわあ、どっかの集配所でと まってたらどうしよう」。当然ですが、私の頭の中には、郵便物に炭疽菌が入 ってるかもという心配は全くしていません。ひたすら、届かなかったらどうし よう、ということしか思いうかんでいません。それよりも、一番の不安は写真 などを送ってもらえなかったので、本当に私の思っているような時計が届くの かどうかでした。

 そして、今日かな明日かなと落ち着かない日々が続いて、11月1日、家の インターホンが鳴りました。「郵便です。印鑑をお願いします」。玄関に出る と、小包をもった郵便配達の係員がちょっと不安そうな顔で立っています。係 員のその表情が気になりましたが、「おおっ、ひょっとして届いたか」と私の 胸は高鳴りました。係員はその小包を私に差し出すと、宛名をさして「ここ、 番地とお名前の綴りが少し、違ってるのですが…」。たしかに、番地の数字が 一字違っていますし、名前のつづりも一字違っています。郵便番号と私の名字 が正確だったため、なんとかついたようです。差出人はDU MUSEE DU LOU VRE。ルーブル美術館です。

 「これで、大丈夫ですか?」と係員。いま話題の不審物だったらどうしよう という表情です。

 「ルーブルですよね。大丈夫です」

 私は受け取りに印鑑をおし、荷物をうけとると、一目散に部屋に帰りました。 そして、そっとガムテープを剥がしました。幾重にも重なって分厚くなってい た包み紙をひらくと、黒い細長いプラスチックの箱が二つでてきました。箱を あけると、そこには、待ちわびていた時計が鎮座していました。

 銀色のメタルのフェイスとバンド、金色に縁取りされたフェイスに黒革のバ ンド。文字盤には「失われた時を求めて」の有名な冒頭部分が渦巻き状になっ ている。思っていた通りのものです。

 やった! ほんとうに手に入れたんだ。このうれしさは、どう、表現してい いかわかりません。

 最初にメールを出してから3ヶ月近くたっていました。長くかかったような 気がするけれど、その間、メールのやり取りやら何やらで、ちょっとしたスリ ルを味わうことができました。

〜○。あわわ後記〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

 竹野内豊で思い出したんですけど、10月くらいに、映画館で「冷静と情熱 の間」って映画の予告編を見ました。イタリアが舞台になった恋愛映画だそう です。で、フィレンツェのドゥオーモ(大聖堂)が映って「ドゥオーモに一緒 にのぼってくれる?」という台詞があったんですね。それ聞いたとたんに私が 思ったのは「ホントに階段500段も昇る気か?」。

 ドゥオーモのクーポラって昇れるんですけど、狭くて暗くて急な階段が500 段あるそうです。それを聞いて、しかも、階段入り口には行列ができているの を見て、根性と時間と体力もない私はクーポラには昇りませんでした。500段 昇ったら、500段降りなきゃならないし。情熱的な恋人たちには階段500段な んかなんでもない、という話なのか、500段が試練の道で、一段一段踏み締め ながら愛を確かめるという話なのか、なんだか妄想ばかりふくらみました。

 予告編では「ドゥオーモに昇った恋人たちは幸せになれる」という言い伝え があるとも言ってたのですが、教養のない私は、それを知りませんでした。た しかに、500段昇り降りすれば愛が深まるか、ケンカになるかどっちかのよう な気はします。

 次回は11月25日(日)を予定しています。

 どうぞ、よろしくお願いいたします。

                            真魚

                   e-mail:92104094@people.or.jp

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