● Mail Magazine 日々のあわわ 2001年08月07日(火) 第25号
〜○。今日のあわわ〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜
ライアーライアー
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みなさん、私、以前、考古学のねつ造は許せないという話をしましたよね。 ところが、私、そんなこと言う資格がないかもしれないんです。今回は発行が 遅れたこともあわせて懺悔します。
実は、私、仕事の依頼であるねつ造をやったのです。それは何かと言うと、 某女性誌に掲載された読者体験談数件と某情報誌に掲載された読者投稿です。
ある日、某女性誌の編集者から女性の健康問題について特集したいので手伝 ってほしいと言われました。その女性誌は知人に紹介してもらったところで、 それが初めての仕事でした。さて、ページの構成などを打ち合わせているとき に、「このページには読者の体験談をいくつか入れようと思ってるんです」と 編集者がいいました。そこで私は、その企画について編集部がアンケートをと っていたので、その回答の中から、何人かを取材するものだと思い、「取材の あてはついていますか?」と聞きました。すると編集者は「ここは適当に作っ ちゃってもいいと思うんですよね」と言います。そことは初めての仕事でした ので、こういうやり方をする編集部もあるんだなあと驚きを心の中だけにとめ て起きました。
で、どうしたかというと、編集者と私、友人、回答者が書いてくれた体験談 などなどを総合して、それぞれのテーマにそって読者体験談を作り上げました。 病気についての体験を綴り、最後には「メーカー勤務・25歳」とかつけたり したんですね。その作業の最中は「私がメーカー勤務・25歳の生理痛に悩む 女性で、そのつらさを投稿するとしたら…」などと考えたりして、小説を書く 時はこんなふうに別人になりきって書いたりするのかなあ、と思ったりしてま した。いろいろな人の体験談を総合しているので、話自体は全く想像の産物で はないのですが、いない人をでっち上げるのはなんだか良心がいたみますね。
もう一つは某情報誌で、編集者と話していた時のことです。仕事の話がおわ り、雑談になりました。私が、最近のテレビ番組を見ていて、面白いと思った ことを話したら、編集者が「それを読者投稿風に書いてくれませんか。次の特 集で投稿として使うから」とこともなげにいいます。「いいんですか?」と聞 くと、「次の特集は読者の投稿をたくさん入れたかったんだけど、なかなかユ ニークなものがなかったんです。だから、その話、おもしろいからいれましょ う。あ、もちろん、原稿料は払いますよ」。その雑誌は、投稿が採用された読 者には謝礼としてテレホンカードをあげることになっていました。私は、投稿 として使うと言われた時に、じゃあ原稿料じゃなくてテレカかしらと思ってい たら、原稿料をくれると言うので、安心するやら読者に悪いやら、複雑な心境 でした。
以前から、読者投稿を編集部やライターが作っているという話は聞いたこと があります。学生時代に某マンガ雑誌で編集のアルバイトしていた人が、「読 者の投稿コーナーの投稿が少なくて、おもしろいものがない時は作っちゃうん だよな」などと言っていました。また、知り合いの女性ライターからは、某エ ロ本から読者体験談を作るという仕事をもらったと聞いたこともあります。彼 女は「夜中に、ワープロに向かって『私のアソコが…』なんて書いてると、す ご〜く馬鹿馬鹿しくなってくるのよね」と、なかば投げやりに言っていました。 それらの話を聞いていた時に、私は、「そんなこともあるんだなあ。これから は読者投稿って、あまり信用しないようにしよう」と思っていたものの、よも や、自分が、同じ仕事をすることになるとは、想像していませんでした。
たぶん、私は、つきあいのある編集部や仕事の量が少なかったせいか、これ まで読者投稿や体験談を作るという作業に、なかなか巡り会わなかったのでし ょう。それどころか、新聞系の出版社から出ている某雑誌などは、すべてが事 実とデータに基づいていることが前提で(これは当然ですね)、「10の取材 で1の原稿」、とにかく、たくさんの人に取材し、数字的なデータも大量に取 得したあげくに密度の濃い原稿を要求するところだったりして、体験談を作る という話はみじんもでませんでした。他の雑誌でも、取材やデータの量は少な くても、投稿や体験談を作るという仕事には出会いませんでした。
それにしても、雑誌によって、編集部の姿勢もずいぶん変わるものだなあ、 とつくづく思います。それぞれの雑誌にあわせて原稿の文体を変えるのも、な かなかしんどいけど、読者投稿や体験談を作るのもしんどいですよね。それ以 後、投稿や体験談をつくってほしいという依頼はないので、ほっとしています。
だから、みなさん、読者体験談ってあまり信用しないほうがいいです。私が 言うことじゃあないでしょうが。
〜○。あわわ後記〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜
発行が遅れてしまってどうもすみません。
投稿というと、私、編集やってる時に、読者の投稿コーナーを担当したこと があります。そのとき、投稿を作ることはなかったのですが、もとの文章が読 みにくいときは句読点を変えたり、長過ぎる時は端折ったりしたことはありま す。編集の仕事は、一種の交通整理役といえるのですが、ライターや投稿の文 章を読みやすくアレンジするのも、その一つでした。
次回は8月19日(日)を予定しています。
では、また、よろしくお願いいたします。
真魚
e-mail:92104094@people.or.jp
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