日々のあわわ

● Mail Magazine 日々のあわわ 2001年04月29日(日) 第18号

〜○。今日のあわわ〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

ホーリー・マウンテン

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ゴールデンウィークに入りましたが、みなさん、いかにお過ごしですか?

 私は仕事と季節外れの風邪と格闘しています。

 今回も、いつものことながら、時候の挨拶とは関係ない話をします。たまた ま、私用でキリスト教系の雑誌を探していて思いついたのですが、新興宗教の 出版社についてです。

 あ、断っておきますが、私が探していた雑誌はキリスト教の由緒ある宗派の、 まじめでリベラルな雑誌なので、今回の話に出てくる出版社や団体とはまった く関係ありません。

 宗教団体で出版部門や出版社を持っているところは、けっこうあります。

 オウム真理教(現アレフ)が地下鉄サリン事件を起こす前で、信者が大挙し て選挙に出た年(すいぶん前の話ですね)に、出版取次会社の関係者と話して いたら、オウムの出版社の話になりました。たいていの出版社は、事業を起こ すとトーハンや日販などの取次に取引口座開設を申し出ます。取次を通して本 を全国各地に書籍を流通させるためです。各出版社の口座開設の申し出を受け た取次は、会議にかけたうえで口座の開設の是非を決定し、取引が始まるとい うわけです。

 ある取次会社にオウムの出版社(当時はオウム出版と言っていたと思う)の 方がやってきて、口座開設を申し出ました。で、そのときにオウム側の人たち は、麻原教祖の空中浮揚の写真を見せたそうです。対応に当たった人は、もち ろんびっくり。とりあえずは申し出を受け取って、会議にかけましたが、『い かがわしすぎるんじゃないか』とメンバーの大半が頭をかかえたそうです。で も、『きっと信者が買うから、経営は大丈夫なんじゃないかなあ。そうすりゃ ウチだって儲かるし』という意見も出て、出版の自由ということもあり、口座 開設をするということになりました。後にサリン事件がおこったときに、口座 開設の対応にあたった人はさぞや、感慨深く思い出したのではないでしょうか?

 さて、次は直接、面識はないのですが、信者でないのに宗教団体の出版社に いたことがある人のお話です。ライターをしている友人から聞いた話で、彼の 幼なじみの女性の身の上に起こったことです。

 その女性、仮にAさんとしておきましょう。数年前、Aさんは勤めていた編 集プロダクションを辞め、職を探していました。そんなとき、職業安定所から 紹介されたのが某出版社でした。Aさんはそこが、どういう出版社なのか知ら ず、面接に行ったのですが、編集部に入ると、入り口に置いてある見本の本を 見てびっくりしました。教祖の顔がにこやかに微笑む自己啓発的というかオカ ルトな本がずらり。そこは、ある新興宗教の出版社だったのです。「しまった」 と思いつつも面接を受けたAさん。面接に当たった方は、入信は強制しないし、 教団の集会などに出席したりもしなくていいし、勧誘もしないと言いました。 そこで、経済的にもひっ迫していたAさんは入社を決めました。信者は9時、 信者でない人は9時半と出社時間に差があったそうです。その時間差はなぜな のか、Aさんもあえて確かめようとしなかったので謎のままです。たぶん、お 祈りかなんかしていたのでしょう。もっとも、信者でない人はAさんだけ。あ とは全員信者です。

 Aさんの仕事は、当然ですが教祖の本を作ることでした。先日、法の華事件 で福永法源の本がゴーストライターによって書かれたものであることが、報道 されていましたが、Aさんの出版社でも教祖の本はゴーストライターが書いて いました。だいたい、教祖の過去の本やインタビュー記事などをまとめて、新 しく文章を作り、本にするそうです。なんだか、ライターとして楽そうな仕事 なので、私の友人は「俺にもやらせてよ」と言ったら、Aさんは「つらい仕事 よ。教祖の過去の本だって記事だってつまらないし。友人には、こんな仕事さ せたくない」とマジな顔で断られたそうです。法の華事件のときに、多くの人 が被害にあったのは、教祖の世迷言を垂れ流す本の仕事を引き受けたゴースト ライターにも道義的責任があるのではないか、という報道もありましたが、そ んなことも考えるとAさんの言葉も説得力があります(もっとも、マスコミに 『道義的責任』なんて言われる筋合いはないとも思いますが)。

 その教団では定期的に教祖の主宰する有料セミナーがあり、信者の編集部員 は、ほぼ毎回、申し込んでいました。なんでも、教祖が遠い宇宙のナントカ星 まで行って、そこから、地球に向けて念を送るというセミナーで、受講料は1 回10万円。Aさんも、時々ですが誘われることがありましたが、「10万円も 余裕はないから」と断っていました。ところが、セミナー当日になって、編集 部に教団から、今回は受講料が10万円から2万円に下がったという電話がか かってきました。信者の編集部員は大喜び。その様子を見ていたAさんは「最 初はわざと高い値段をいっておいて、あとで下げたんじゃないか?」と半ばあ きれたそうです。そんなAさんの胸のうちを知ってか知らずか、信者の編集部 員が「Aさん、2万円なら出せるんじゃない」と、誘ってきました。

 Aさんは、とっさにですが、いろんな含みを持たせて「私、今日は金星に行 く用事があるからダメで〜す」と言いました。すると、信者の編集部員の方達 は大笑いしたそうです。

 「Aさんたら、冗談ばっかり。おもしろい人だね」

 それを聞いてAさんは「なんで、私が金星に行くのは冗談で、教祖がナント カ星に行くのはホントだと思えるの?」と、腹立たしくさえなってきました。 その日は仕事もそこそこに帰ったそうです。

 ほかにも、いろいろと困ったというか、楽しい体験をした後に、Aさんはそ の出版社を円満退社。現在は出版とは違う職種についています。Aさんの話を もっとくわしく聞いていた私の友人は、「出版社を紹介するから暴露本を書い てみないか」と言ったそうです。しかし、Aさんは「私がネタ元だってばれる と困るし、訴訟を起こされるだろうから、よほど大手でお金があまってないと、 そこまで守ってくれる出版社はないと思うよ」と断ったそうです。

 最後のお断りですが、宗教団体の出版社が全て、こんなところばかりではあ りません。今回、紹介したのは、聞いていて、ここはちょっと変わってるかも しれないなと思った所です。ほかにも、私はこんなめにあったとか、こんな話 を知っているとか、教祖のゴーストライターをしたことがある、という人はお 知らせください。

〜○。あわわ後記〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

 知りあいのカメラマンが「ハンニバル」のプロモーションで来日したアンソ ニー・ホプキンスの写真を撮ったそうです。

 「どんな人? 気難しくなかった?」と聞くと、「全然。きさくで冗談ばか り言う大男でした」とのこと。ということは、気難しそうだったのは「ニュー スステーション」の久米宏さんのインタビューのときだけだったのかなあ。聞 いてるほうがハラハラした久米さんのインタビューが悪いんだと思うけど。

 リドリー・スコットは最初「ハンニバル」と聞いて、ローマのハンニバル将 軍のことだと思ったそうです。それを聞いて、ハンニバル将軍のアルプス越え の映画も見たくなりました。「グラディエーター」のように、CGを上手く使 えば歴史大作もかなり、迫力あるものができるのではないでしょうか?

 では、次回は5月13日(日)を予定しています。

 どうぞ、よろしくお願いいたします。

                            真魚

                   e-mail:92104094@people.or.jp

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