日々のあわわ

● Mail Magazine 日々のあわわ 2001年04月15日(日) 第17号

〜○。今日のあわわ〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

ハウス

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前回で収納の話をしましたが、今回もお片付けの話です。  私は、家で仕事をしているため、よく夕方のニュース番組を見るのですが、 その番組の特集で収納と並んで、最近、よく目に付くのが「かたづけられない 女たち」特集です。

 「片づけられない女たち」という本がベストセラーになっていたのにちなみ、 視聴率アップを狙って始まった特集だったのでしょう。好評なのか、くりかえ しやっています。最初のころは「片づけられない女たち」などを例にひいて、 整理整頓が苦手なのはADD(注意欠陥障害)の疑いがあるという話も付け加 えていました。でも、最近では、とにかく、すご〜くちらかったというか、ご み箱と化した部屋とその主を紹介することに始終しているようです。

 たしかに、紹介される部屋はすごいものばかり。寝室や台所など全ての部屋 に、新聞、雑誌、衣類、食べ物、ビニール袋や紙類などのゴミが脈絡無く散ら かっています。何年も掃除していない人もいて、それらのゴミ類がさらに折り 重なって地層のようになっているケースもありました。もちろん、ネズミや虫 のかっこうの住み家にもなっています。

 で、そのような部屋にレポーターがいって、「すごいですねえ」と驚き、ス タジオのアナウンサーの方々もおぞましそうに同調するというもの。ADDの 説明はほとんど出てきません。私のように、たまたま最初のころの回を見てい た人なら、この部屋の主たちはADDで悩み、困っているんじゃないだろうか? と思いをはせることもあるでしょうが、いきなり、この回だけ見た人は「すげ ー、だらしない女がいる」くらいにしか思わないかもしれません。

 しかし、何よりも、私が不思議に思ったのは、なぜ、紹介されるのが「女」 だけなのか?ということでした。ADDは性別による障害ではありませんし、 ADDでなくても、だらしないとか整理整頓が苦手というのにも性別は関係あ りません。それに、男性でも女性でも、仕事が忙しかったり、子供が小さかっ たり、介護しなければならない人がいたりすれば、部屋が散らかるのはあたり まえ。「かたづけられない男」もいっぱいいるはずです。

 また、番組で紹介される女性は独身の方が多いのですが、なかには結婚して いる方もいました。その場合、夫の責任が問われないのも不思議でした。家庭 のことは夫婦の共同責任のはずです。夫婦そろって、片づけなくても平気とい うのならいいのですが、夫は「困ってます」ということを言ったりします。で は、この夫は片づけに協力するとか、妻の相談相手になるなど、なんらかの努 力をしたのでしょうか? しかも結婚して働いている女性もいるのです。だっ たら、なおさら、夫は妻といっしょに努力をせんかい!です。番組では、その ようなことは描かれていませんでした。

 ただ、「男やもめにうじがわく」という言葉から見て取れるように、男性は 散らかしていたり掃除しないのは当たり前のような認識があります。そして、 「男やもめにうじがわく」の対句は「女やもめに花が咲く」です。これまで、 好むと好まざるとにかかわらず、家の掃除は女性の役割とされていたため、女 性はきれいずきで当然ということにされていたのでしょう。だから、番組で紹 介するには、男性よりも女性の片づいていない部屋のほうが、インパクトがあ るとされているのでしょう。

 もしも、片づけられない女の特集を見た人が、「私だけじゃなかったんだ、 良かった」と安心するとか、「私もADDかもしれない。お医者さんに相談し てみよう」と思ってくれたりするのならいいのですが、最近の番組では、「さ らにすごい部屋を発見」などと言って、まるで珍獣を紹介するような雰囲気に なっていたので、とても、安心感を誘ったり、ADDの啓発に役立っていると は思えません。

 「男女参画会議」「セクシャルハラスメント裁判」などのニュースを伝える 一方で、「かたづけられない女」特集が組めるなんて、この番組のスタッフは 矛盾を感じたりはしないのでしょうか? 世間ではジェンダーバイアス(生物 学的性別ではなく、たとえば男は外で仕事、女は家庭で家事というような、社 会や文化から後天的に与えられる性別役割によって生じる偏見)がまだまだ強 固であり、それに拍車をかけるようなことも多いのだなあと憂うつになります。

〜○。あわわ後記〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜

 「ハンニバル」を見ました。

 人気があった人物が出てこなかったり、結末が違ったりと、小説とは多少違 う作りになっていました。フィレンツェでは変な日本人も出てきたりして、ま あまあ、おもしろかったです。ただ、公開前に多くのメディアが書いてたよう に「傑作」かどうかは疑問が残ります。

 この1月、私はある雑誌に「レクター博士と歩くフィレンツェ」という企画 を持ち込み、編集者は「やりましょう」とのってくれたのですが、タイミング とかもろもろの事情でお流れになりました。でも、いま「ハンニバル」を特集 しているメディアではこぞって、フィレンツェ観光案内をしているので、やっ ぱ、みんな同じことを考えるのね、と、自分のオリジナリティのなさにがっく りしているところです。

 では、次回は4月29日(日)を予定しています。

 どうぞ、よろしくお願いいたします。

                            真魚

                   e-mail:92104094@people.or.jp

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