● Mail Magazine 日々のあわわ 2001年01月14日(日) 第10号
〜○。今日のあわわ〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜
シベリア超特急
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おくればせながら、あけまして、おめでとうございます。
今年も、どうぞ、よろしくお願いいたします。
今回は前世紀のお詫びからです。まずは誤植で、あわわ後記に「1月11日 (日)」と書いてしまいました。14日(日)のまちがいですね。 次は内容について。ジョン・ウォーターズのプロフィルを映画監督というこ と以外にほとんど、紹介していませんでしたね。スピルバーグのような有名人 ならともかく、みなさんのなかには「誰、それ? どんな映画を撮ってるの?」 と困った方もいらっしゃったかもしれません。そこで、ウォーターズの簡単な プロフィルを紹介したいと思います。
ジョン・ウォーターズは1946年、メリーランド州ボルチモアに生まれまし た。裕福な家庭で育ちますが、どういうわけか、悪趣味(バッド・テイスト) なモノや人々にひかれ続け、それを題材に映画を撮っちゃうようになります。 彼の作品のほとんどは故郷のボルチモアが舞台です。インディーズで「モンド ・トラッショ」「マルティプル・マニアックス」など、趣味の良い悪趣味映画 を撮っていましたが、なかでも有名というか悪名たかいのは、世界一卑しい人 間の地位を競うという「ピンク・フラミンゴ」でしょう。最近ではメジャーに も進出し、「クライ・ベビー」「ヘア・スプレー」「シリアル・ママ」「I Lo ve ペッカー」などの、独特のテイストの心温まる作品を出しています。新作 は「セシル・B ザ・シネマ・ウォーズ」映画監督のほかにも写真やエッセイ でも活躍しています。
ということで、新年最初の号からお詫び満載になりましたが、こりもせずに また映画の話です。しかも、みなさんが、一生知らなくても、何の損もない映 画です。というか、知っているとかえって損になるかもしれません。その作品 の名は今回のタイトルにも出した「シベリア超特急」(以下、愛憎を込めて 「シベ超」と呼ばせてもらいます)、しかも、シリーズです。
「シベ超」の監督・主演・製作は映画評論家として高名な水野晴郎閣下、ま たの名(?)をMIKE MIZUNOです。タイトルから、お分かりになるかもし れませんが、「シベ超」はヒッチコックの名作「バルカン超特急」へのオマー ジュであり、サスペンスタッチの一大エンタテインメント…のはずでした。少 なくとも水野閣下はその予定だったのでしょう。ひょとすると閣下のおつむの なかでは、いまでも、そう写っているかもしれません。
ストーリーはというと、第二次大戦直前、ヒトラーと会見を済ませた山下奉 文大将(水野閣下)が帰国のために乗ったシベリア超特急で殺人事件に巻き込 まれ、それを解決するというもの。大戦前夜の緊迫した社会情勢、様々な人種 ・国籍の人々が乗りあわせた列車という密室……、とまあ、話がおもしろくな る要素がこんなにあるのにも関らず、ゆるゆるのオバカ映画になってしまった のは、ひとえに監督・脚本・製作・主演・主題歌と八面六臂の活躍をなさった 水野閣下の才能によるものでしょう。名作・駄作を山ほど見ている映画評論家 だからといって、かならずしも、みんながフランソワ・トリュフォーのような 映画が撮れるわけではないんですね。低予算だからスターが呼べなかったとか、 セットなどがきちんとできなかったという言い訳ではカバーしきれない、ゆる ゆるだれだれで安すぎるシークエンス、話のオバカぶりの凄まじさに、カルト 映画と化して、一部の人々の間で語り草になってしまいました。
だってねえ、列車の外壁を伝うシーンで列車が全然ゆれていないとか(後か らCG処理したわけではないと思う)、外国人俳優さんたちのやる気なさそう な安い芝居とか、ほとんど伏線なしで、突然明らかになってしまう人物の背景 とか、山下大将が、これまたほとんど伏線なしに神懸かり的に謎を解いてしま いヒーローになってしまうとか、唐突すぎる戦争反対メッセージとか、もう、 語らずにはいられないようなダメ部分がありすぎ!
でもね、一番すごいのは最後の「どんでん返し」なんですよ。公開当初のチ ラシには「ラスト二段のどんでん返しは誰にも話さないでください」と書いて あったそうです。結果は、話そうにも話す相手が見つからないほど、一般的に は話題にならなかったので、多くの映画ファンが救われたのですが。ふつう、 映画での「どんでん返し」というと「シックスセンス」や「ファイトクラブ」 のような、それを効果的に使った作品を思い出しますよね。しかし! 「シベ 超」では、そのどんでん返しは見ている人を、迷走させるだけのものだったん です。たぶん、誰も「シベ超」を見ないと思うので、言っちゃいますが、エン ドクレジットが出た後にも映画は続きます。しかも「カット」と声がかかって、 いきなり「シベ超」の撮影現場になり、打ち上げパーティが始まります。とこ ろが、そこでまた殺人事件が起こって、さらにそれには、仕掛けがあって…と いう次第。見ている人は、たぶん、何がなんだか分からなくなるでしょう。水 野閣下の世界から永久に抜け出せないのではないかと恐怖にすらかられます。
はっきりいってこのどんでん返しは「蛇足」。しかし、この大蛇足のどんで ん返しがあったがために、「シベ超」がカルト映画として語り草(といっても、 一部で)になったのだと思います。
そんな、誰もが(といっても、見た人はほんのわずかですが)記憶のかなた に葬り去りたかったはずの「シベ超」が、再び脚光(といっても、一部で)を 浴びるときがきました。なんと、続編が製作されたのです。それを噂で聞いた のは、1998年か1999年でした。「今度は『満州超特急』って言うらしいよ」 「ええっ、『満超』!」と、驚いたのもつかの間、それは噂ではなく、本当の 話だということが分かって、騒ぎ(といっても、一部で)になりました。その 続編のタイトルは「シベリア超特急2」! まんまや。これで、続編が作られ るのは必ずしも名作やヒット作だからというわけではない、という大人の事情 がお分かりいただけたかと思います。なんでも、水野閣下がどこから持ってき たのか、製作費を用意したのだそうです。
「シベ超2」でも、監督・製作・主演は水野閣下。しかし、前回と違うのは キャストに長門裕之さんや草笛光子さん、淡島千景さんなどの大御所や、国民 的美少女コンテスト優勝者の須藤温子さんや音羽屋御曹司の尾上松也さんなど フレッシュな顔触れもいること、そのうえ、ロケもしているということ(前回 は車両一セットだけだったからね)。ひょっとすると、「シベ超2」はまとも な映画になったのか?と、なぜか不安になったのですが、大丈夫、「シベ超」 と水野閣下は健在でした!
それは、どういうことなのか、というわけで次回はその「シベ超2」のお話 をしたいと思います。
ちなみに、現在、「シベ超2」は、東京では銀座シネパトス、新宿シネマ・ カリテなどのミニシアターで公開されています。といっても、決して見にいく ことを勧めているわけではありませんので、あしからず。もっとも、見たくて たまらないと言う人を止めたりはしませんが、後で私に「金と時間を返せ」と 怒らないでね。
〜○。あわわ後記〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜
いま、私の周りで風邪が大流行りですが、みなさんは大丈夫ですか?
かくいう私も、風邪を引いて、胃腸にダメージがきてしまい、胃の不快感、 吐き気、食欲不振に悩まされました。冬眠中の熊のように皮下脂肪はいっぱい あるので、多少食べなくても大丈夫ですが、胃の不快感と吐き気はつらかった ですね。昨日まで寝込んでいました。
で、病み上がりの一発目が「シベ超」というのは、私の性分が因業だから、 ではなくて、公開されたから、もういろいろ言ってもいいだろうということで、 書いてみました。ほかに書けるところもないし。読者のみなさんこそ、いい迷 惑ですね。
早く終わらせたほうが私とみなさんの為になると思いますので、次回は1月 21日(日)にしたいと思っています。
では、申し訳ありませんが、あとすこしだけ、おつきあいくださいね。
真魚
e-mail:92104094@people.or.jp
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