徒然草 13    
「神の風音」  川崎 絵都夫 邦楽作品集3 解説

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1 星涼之譜(せいりょうのふ)

箏の高音域のきらきらした音を、子供の頃夢中になって眺めていた星の輝きになぞらえて作曲しました。
そして、星々を眺めている時に心に沸き上がる様々な想いをそこに託しています。

 

1 むずら星(冬) プレアデス星団。和名は昂(すばる)。

2 さそり(夏) 赤い無気味な色をした一等星アンタレスを中心にしたさそり座の姿。

3 真珠星(春) 乙女座のスピカの和名。美しい純白色。

4 天馬ゆく(秋) 秋の夜空の天頂近く悠然とはばたく天馬はペガサス座。

5 シリウス(冬) 冬の南東の夜空に輝く全天一明るい星。中国では天狼星と呼ぶ。

                                 (委嘱 筝五人展)

筝 1熊沢栄利子 2宮越圭子 3桜井智永  4山田明美 5城ヶ崎美保

 

2 酒林のうた(さかばやしのうた)

“酒林”とは酒蔵に吊られている杉の葉でつくられた丸いボ−ル状のもので、新酒が出来た時に
毎年新しいものと変えられます。そしてその色の変化によって酒の熟成度を知らせる役目がある
といいます。
日本の伝統的な酒蔵を音楽で表現するにあたり、ヴァイオリン チェロ 尺八 箏 三味線という
珍しいアンサンブルになりました。

第1楽章  酒林

永々と営まれてきた酒蔵の歴史を見つめ続けた酒林。曲中に南部杜氏の方々の故郷の牛追い歌や酒造り歌
も登場します。

第2楽章  おかみさん

明るく、けなげに陰から酒造りを支える“酒蔵のおかみさん”を想う曲です。

第3楽章  宴(うたげ)

和気あいあいとした宴は明日を切り拓く力を与えてくれます。酒はかく飲みたいものです。

                               (委嘱 長沢酒蔵)

Vn.松本克己 Vc.只野晋作 尺八 林真山 三絃 大田幸子 二十絃筝 熊沢栄利子

 

3 筝・ふたつ

余韻に耳を傾ければその響きは空間を柔らかく満たし、激しいタッチは楔を打ち込むような厳しさとなる。
そんな筝の持つ両面が、二重奏ではいっそう際立ち、複雑さを増すようです。意気投合し共に一つとなり、
また時に鋭く対立し相対する。そんな、ふたつの筝の息の通い会いがこの曲の聴かせどころです。

 

1 追憶

2 陽光の庭

3 対話   (委嘱 福原左和子、峰陽子の両氏)

筝 福原左和子 峰陽子 

 

4 間奏曲〜 三絃と筝の為の〜

“間奏曲”というのは、元来は歌劇の幕間などに奏される、気分を変えるための楽曲、というような意味を
持ちますが、ここでは、本格的な古典本曲や、シリアスな現代邦楽に対して、もう少し日常的なものの見方
の中から生まれた小品、という意味で用いています。(委嘱 新典音楽協会)

筝 熊沢栄利子 三絃 大田幸子

 

5 神の風音(かみのかざおと)

北川山人氏の詩集『ブナ林は縄文の匂い』から7遍を用い、6曲にまとめた曲です。
この詩は直接的には、白神山地のブナ林を謳っていますが、現在日本や世界中で進む森林の破壊を思うと、
これは一地域の話ではなく、全地球的な「緑」すべてに通じる詩であり、想いではないか…と思えて
なりません。自然に対する想いを歌と洋・邦楽器群に託しました。(委嘱 綾の会)

1 ブナの祈り

2 ヤマメの羽衣の舞い

3 森の禅僧

4 吹雪のブナ林

5 森の死

6 神の風音  

Sop.森本ふみ子 筝 浦上恵子・大久保智子 尺八 岩田恭彦 Vc.松崎安里子 Pf.牛田紗茅子

以上

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